2025年7月25日、最新の海外アプリマーケティングニュース。今週の注目はAppsFlyerの調査で明らかになった、“トランプ関税”による中国ECアプリのアメリカ離れと、Appchargeによる「アプリ外決済に関するユーザー行動調査分析」です。後者は現時点ではとても貴重な調査レポートなので、ぜひチェックしてください。そのほか、iOS 26のパブリックβ公開や英 CMAによるビックテック規制についても紹介しています。
※本記事での日時の記載は、特別な断りがない限りすべて現地時間です。
「ECアプリマーケティングの現状 2025」を発表 - AppsFlyer
2025年7月22日、AppsFlyerが「ECアプリマーケティングの現状 2025(The State of eCommerce App Marketing – 2025 Edition)」を発表しました。最大のトピックは中国ECアプリの急激な欧州シフト。中国ECアプリのiOSにおける新規ユーザー獲得広告費が、イギリス、ドイツ、フランスで7倍以上に増大しています。一方でアメリカでの広告費は32%減少しており、明らかに“トランプ関税”の影響です。
全世界で投資された新規ユーザー獲得広告費(iOS、ECアプリ)のうち、85%を中国ECアプリが占めています。これは巨大すぎるほどの規模。現在は欧州がターゲットになっていますが、地域的な相性を考えれば、日本への投資増大も十分に考えられます。特に日本はiOS依存度が高い地域なので、動向を注視したほうがよいでしょう。
iOS 26 パブリックβとUIデザインキットを公開 - Apple
2025年7月24日、AppleがiOS 26のパブリックβを公開しました。Repro Journalでも既報の通り、コントロールセンターや通知センターの文字の視認性などが問題になっていましたが、開発者向けβ2、β3、β4を経て大きく改善が見られています。コントロールセンター、通知センターを開くと、壁紙が自動的に暗く表示され、白い文字を認識しやすくなる仕組みです。
正式版の公開は2025年9月になる見込み。「Liquid Glass」の採用という大きなUI変更を迎えたiOS 26。エンジニアだけでなく、アプリマーケーターもβ版で事前に体感しておいたほうがよいかもしれません。
また、7月18日には、「Figma」「Sketch」用のiOS 26、iPadOS 26デザインキットも公開されています。デベロッパーがiOS 26に容易に対応できる環境が整ってきました。
アプリ外決済(自社Webサイトでの決済)に関する分析レポートを発表 - Appcharge
2025年7月22日、決済プラットフォームを提供するAppchargeが、ゲームアプリにおける5億ドルものアプリ外決済を分析したレポート(「What processing $500M in transactions taught us about DTC web stores」)を発表。Apple、Googleという2大アプリプラットフォーマーへの規制が強まり、アプリ外決済への注目度が高まるなか、有用かつ貴重なデータと考察が掲載されています。
調査のポイント
- 好まれる決済手段は地域によってまちまち
オランダでは「iDEAL」が68%、ドイツでは「PayPal」が64%を占めるなど、ユーザーに好まれる決済手段は地域によって異なります。
- プレイヤーがWebサイトでの初回購入をするまでの期間
ほとんどのプレイヤーは初回訪問時に購入することはありません。データによると、初回訪問者の80%は30日以内に再訪、コンバージョンまでの平均日数は2.6日です。
- Webサイトへのリピート率
初回購入をしたプレイヤーの半数は2回目の購入を行い、そのうち50%は7日以内に戻ってきます。購入回数が増えるほどリピート頻度も高くなります。
画像引用:What processing $500M in transactions taught us about DTC web stores
「潜在的マーケティングメディア価値調査 2025」を発表 - QuestMobile
2025年7月22日、中国のマーケティングリサーチ事業者であるQuestMobileが「潜在的マーケティングメディア価値調査 2025(2025潜力营销价值媒介研究)」を発表しています。新しいトラフィックを生んでいる注目すべきメディアとして紹介されているのが「AI生成コンテンツ・ツール」と「ショートドラマ」。それぞれ前年比で66%増、126.8%増となっています。
興味深いのは、「天気予報」「健康管理」「写真撮影」「読書」などのツールアプリを潜在的マーケティングメディアとして評価している点です。これらはスティッキネスが高いアプリ群であり、1ユーザーに対して高頻度でアプローチできるのが魅力。日本でも、アプリのユーザー獲得競争が熾烈を極めています。新しい集客メディアとして念頭に置いておくとよいかもしれません。
画像引用:QuestMobile 2025潜力营销价值媒介研究
英 CMAがAppleとGoogleにアプリ配信の公平化を要求 - Reuter 報道
2025年7月23日、イギリスの競争・市場庁(CMA)がAppleとGoogleに対して、アプリ配信方法の公平化を要求したと、「Reuter」が報じました。「アプリの審査プロセスに一貫性がなく、予測不能なことや、アプリストアの検索順位に一貫性がないこと、一部のアプリでの購入に最大30%の手数料を課していること」に懸念を示したといいます。
今後、2025年10月までに、AppleとGoogleを「戦略的市場地位(SMS)」として指定するかの判断が下され、仮にSMS指定を両社が受けた場合は、規制当局による様々な介入が予想されます。ビックテック企業に対する規制強化はもはや押し戻すことができない流れ。アメリカ、EUに続いてイギリスにも変革の波が押し寄せています。
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