2021.01.27

アプリにおける適切なユーザーテスト

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ユーザーテストは実験室でやる必要もなければ、専門家や高額な費用も必要ありません。例えば、自社のレスポンシブWebサイトに合うアプリや新しい機能を思いついたとします。しかし、まだしっかりとした方法でテストするほどのリサーチ予算や余裕がなく、クライアントがユーザーテストを全く信用しないこともあるでしょう。それでも諦めてはいけません。1日20ドル程度で、潜在顧客の10-15人にリーンモバイルユーザーテストを行うことによって膨大な顧客フィードバックを手に入れることができるのです。

本記事では、それをどうやって実現していくのかお伝えします。スティーブ・クラッグは15年以上前に『Don’t make me think!』というユーザビリティについての名著を書きました。その中で彼は、「内製のユーザーテストはどんな会社でもできるし、やるべきだと。」と述べています。しかしながら、今日では多くのチームが内製のユーザーテストを行わず、設計段階でようやくテストをしたり、ほとんどの機能がユーザーテストされずにリリースされているのです。私はユーザーテストが避けられる理由は3つの陰険な「ユーザーテストの迷信」のせいだと考えています。もしユーザーテストを効果的に行いたいのであれば、今すぐこのような思い込みを捨てるべきです。

この記事で分かること

3つの迷信

迷信その1:モバイルにおけるユーザーテストは実験室でやらなければいけない

私の経験上、実験室ほど実際のユーザビリティから縁遠いところはありません。実験室は他の参加者の行動や人間工学、状態などに大きく影響を与える様々な装置やカメラが置いてある人工的に作り出された環境です。それよりも何気なくスマホを使っているような自然な状態でいるユーザーと話したほうが、もっといいデータや率直なフィードバックを得ることができます。

例えば、病院の待合室やバスや電車のホームなど、あなたのアプリが実際に使われるであろう場所です。個人的に好きなのは朝のコーヒーショップでの列です。そこではみんな退屈で、イライラしているので、彼らは喜んでコーヒー1杯と引き換えにあなたのアイディアに対して率直なフィードバックをくれるでしょう。さらにコーヒーカウンターに着くまでの3~5分の間にも彼らに尋ねることができます。その待ち時間には多くの人がスマホを利用しているからです。

迷信その2:モバイルデバイスを運用するには本当に優れたプロトタイプが必要

全くもって間違いです。”1ドルから始めるプロトタイプ”で私が書いたように、プロトタイプの完成度はプロジェクトの完成度と対になっているべきです。つまり、あなたがまだ「これは市場に適したプロダクトなのか?」と悩んでいたり、情報設計やコピーライティングを頑張っている途中なら、完璧なプロトタイプに移行する必要はないということです。

私の経験上、モバイルテスト初期の大部分で行われるような付箋に鉛筆で書くシンプルなプロトタイプは大幅な時間と努力の節約になります。なぜなら付箋を使ったプロトタイプなら、デザインとプロトタイプは一つだからです。そしてあなたが考えたデザインのアウトプットをそのままユーザーテストに取り入れることができます。

sticky-notes-prototype

大げさに言うつもりはありませんが、付箋を使ったプロトタイプなら考えながらデザインを起こしていくことができます。テスト中に問題が特定されれば、すぐに鉛筆と消しゴムでその箇所を修正するのです。完璧なプロトタイプを持たないことのさらに良い点は、参加者がアイディアに貢献しやすく、フローに役立つ示唆をしてくれるという点です。それこそあなたがユーザーテストを行う理由ですよね。そして最後に、迷信の中でももっともタチの悪いやつを見ていきましょう。

迷信その3:ユーザーテストを実施するにはユーザービリティ調査の専門家が必要

3,000年以上前、人々はデルフォイの信託の巫女だけがアポロの口からでた予言を伝えることができる人だと信じていました。今日でも、多くの人が似たような神話を信じています。ユーザービリティ調査の専門家だけが顧客の口から確かな情報を引き出せるということです。

勘違いしないで欲しいのですが、ユーザービリティ調査の専門家をチームに持つことは非常に素晴らしいことです。ただ、ユーザーテストを一つの「正式な方法」を通じて数時間行うだけにしてしまうのは、ユーザーエクスペリエンスの仕事とは言えません。プロダクトチームというのはユーザーがあなたのプロダクトと使ってどんな体験をするのか責任を持つ必要があるのです。

設計が悪く、イライラするプロダクトの数の多さを見てみてください。それがスタートアップが失敗する一番の理由です。彼らは誰も欲しがらないプロダクトを作っているのです。ユーザーの調査にほんの少し投資するだけで、こういった問題を防ぐことができます。UXチームにおいてデザインとユーザーテストの担当者が別々であることは事実です。しかし、優秀なUXチームは多くの場合、役割を相互に絡め合わせます:全員が全力でユーザー調査に参加するのです。

さらに、ユーザー調査を外部のユーザービリティ調査の専門家にやってもらう仕事として分けられておらず、設計プロセスの中心であり、チーム全体の中心的な問題として扱います。つまり、デザインをテストするのにデルフォイの信託を待つ必要はないのです。自分で実施して良いのです。実際、付箋を使って表現された2、3個の画面が用意でき次第、テストを始めることをお勧めします。そして残りの画面は潜在顧客から得たフィードバックを元に設計すればいいのです。

ユーザーテストを正しく始めるための5つのコツ

モバイルにおけるユーザーテストを取り巻く大きな迷信のいくつかを一掃してきたわけですが、今度はどうやって効果的なモバイルにおけるユーザーテストを行うのかを見ていきましょう。

人とのつながりにフォーカスする

インタビューというのはシンプルなものですが、だからといって簡単というわけではありません。私が UXデザイナーとしてキャリアを始めた頃にユーザーインタビューに挑戦した時は、ぎこちなく、全くスキル不足でした。それはまるで超人ハルクがフラワーアレンジメントをしようとするかのようでした。

しかし私は忍耐強く続け、その技術を向上させることができました。ですからあなたでもできます。インタビューは課題や献身、そして多くの練習を必要とする活動です。しかし、そのインタビュー活動の中で乗り越えることになる一番重要なことは、共感と相手との人間的なつながりです。一旦ユーザー調査を人とのつながりとして捉えてアプローチし、他のことは二の次であるということを学べば、全てのプロセスは上手くいきます。その他は細かいテクニックにすぎません。そういったテクニックは練習で上手くなるのです。

ユーザーに失敗させる

どんなにあなたのプロダクトが素晴らしくても、理解できないひとはいるでしょう。もしテストが設計初期のデザインに関するものであれば、ユーザーが困惑やイライラする瞬間は必ずあります。身につけるべき重要なスキルの一つは、テストの参加者に失敗してもらい、彼らの体験から学ぶことです。テスト開始時に、できる限り少ない言葉でタスクを説明し、観察するのです。彼らにどうやったらタスクを達成できるのかインターフェースを使って考えてもらうのです。ただリラックスして注意深く見ていてください。参加者が完璧に詰まるまではヒントを教えないでください、教えるにしても最小限にしましょう。効果的な方法は、事前に質問を用意しておいて相手に聞かれたら答えるというやり方です。

質問に答えるときに逆質問する

参加者が質問形式で困っている状態を説明してくると、インタビューは特に難しくなります。例えば、「次に何をすればいいの?」や、「ここにあるのは何?」などです。ユーザー調査に慣れていないころは、多くのインタビュアーが質問に答えなければ失礼になってしまうのではないかという罠にはまってしまい、不注意に質問に答えて参加者を誘導してしまいます。

しかし人の質問を無視するのは失礼なので、参加者のどんな質問にも答えられるように自分自身で返事を考えておく必要があります。例えば「次に何をすればいいの?」という質問には標準的な対応として「あなたはどう思いますか?」と返答できます。参加者を手元の作業に戻すように「アクション」や「する」といった言葉を強調することによって答え方はさらに効果的になるでしょう。

例えば「私がもしここにいなかったらどうしていましたか?」などです。「する」という言葉を若干強調するように意識してください。これは参加者を理想的な方向に誘導するのに使えるインタビューにおけるTipsです。実際に参加者が行ったアクションは発言した内容よりも、ずっと価値があります。

意見ではなく、行動にフォーカスする

テスト中に参加者がどのような行動をするのかは、彼らの意見よりも価値があります。なぜなら行動データは非常に一貫性があるからです。もし一人の参加者が画面の文言に戸惑って「たまたま」違うボタンを押してしまったとします。それは他の何千という同じ年齢層、経験、教育を受けた人が同じようなことをする可能性があるのです。この行動の一貫性こそがユーザーテストを価値あるものにしているのです。一方で、「このアプリは好き」や「青い色は嫌い」というような一般的な意見は人によって大きく異なります。小規模のユーザーテストを行う場合、こういった意見は情報源として信頼性がなくなってしまうのです。テストから最大限の結果を得たいなら、注意深く参加者がどのようにタスクを達成させようとしているか観察してください。参加者がタスクを完了させたあと、さらに彼らの行動を理解するためにもクオリティの高い質問でフォローアップしましょう。

クオリティの高い質問をする

インタビューする側として、クオリティの高い質問をすることは重要なスキルです。また、最もマスターするのが難しいスキルの一つでもあります。幸いなことに、上達するための方法は非常に簡単です。ひたすら練習あるのみです。以下にインタビュー時に聞くであろう典型的な質問があります。これらの質問は最も誘導的な質問からそうでない(つまり、よりクオリティの高い)質問の順に並んでいます。

* 最も誘導的
「なぜこのアプリを気に入ったのですか?」
* 誘導
「このアプリを気に入りましたか?」
* 少し誘導的
「このアプリは気に入りましたか、それとも気に入りませんか?」
* 最適
「使ってみてどうでしたか?」または、「〇〇というタスクをやってみてどうでしたか?」、「どのユーザー体験が際立っていましたか?」

「このアプリが好きですか?」のような誘導質問をすれば、あなたのエゴは満たされるでしょうが、もらえる答えにはほどんど価値がありません。それは全くの推論だからです。最終的に参加者がアプリをダウンロードしたり、課金するのか、もしダウンロードしたとして使うのかまではわからないでしょう。

モバイルにおけるユーザー調査で特に使える魔法の質問が、「このアプリにいくら払いますか?」です。この質問は潜在顧客とプロダクトに対する親和性を測ってくれます。 価格はセンシティブな問題であり、この質問をすることで多くの場合、手に入りにくいあらゆる詳細な情報を明らかにしてくれます。実際にどのようにこれが機能するのかもっと知りたければ、私の『1ドルから始めるプロトタイプ』の Youtubeチャネルで、モバイルにおけるユーザーテストの調査をしている大学の卒業生のビデオがあるので見てみてください。

実行することが何よりも大事

これでモバイルアプリ、またはwebサイト調査に必要な基本的ツールは全て揃いました。あなたを思いとどませているあらゆる非生産的なユーザービリティの迷信を捨ててください。それよりも、実行あるのみです。

いますぐ15分を投資してモバイルプロトタイプを作るために付箋にスケッチしましょう。次の朝コーヒーショップでユーザービリティセッションを少し計画してくださいーもちろんエクストラショットのバニララテを楽しんだ後で。 変に気負わないで、ただ数分間あなたのプロジェクトについて楽しく話すのです。失敗するかもしれないことを認めて、それよりも参加者それぞれと人間的な繋がりを持つことにフォーカスしてください。共感と熱意に身を任せ、練習し続けてくださいーそうすれば顧客と話すことによって得られる素晴らしいアイディアや洞察を楽しめるようになります。

この記事は、UXMAGAZINEのブログ “*How to Perform Your Own Lean Mobile Usability Testingを著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on UXMAGAZINE**?in English under the permission from the author.*

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