本音ベースで、出店者とユーザーの信頼関係を築く【くらしのマーケット・加藤隆彦さん】

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2025.07.01
本音ベースで、出店者とユーザーの信頼関係をつくる【くらしのマーケット・加藤隆彦さん】

目次

連続インタビュー「Marketers' Café:成功へのステップと発見」。Webサイトやアプリを活用してビジネスをグロースさせるため、日々、マーケティング活動に奮闘する現場のマーケターの生の声をお届けします。今回は暮らしにかかわる400ジャンル以上のサービスを提供する「くらしのマーケット」のアプリを開発・運営するみんなのマーケット株式会社 執行役員マーケットプレイス事業部長の加藤隆彦さんにお話をうかがいました。

Service-
インターネット商店街とは?

cafe-market-05暮らしにかかわるサービスが集まる「くらしのマーケット」
WebiOSAndroid

――「くらしのマーケット」について簡単にご説明いただけますでしょうか。

「くらしのマーケット」は生活関連の出張・訪問サービスに特化した日本最大級のインターネット商店街です。現在、ハウスクリーニングや不用品回収、引越しなど400ジャンル以上の暮らしに役立つサービスを揃え、ユーザーと事業者を繋げています。2011年にサービスをスタートし、累計出店者数10万を超え、求めているサービスに到達しやすい規模に発展してきました。

ただ「くらしのマーケット」の最も特徴的なところは規模感ではなく、事業者とユーザーが安心して取り引きできるような仕組みを提供しているところです。こういう時代ですから、ユーザーとして利用するとき、訪問サービスって少しドキドキしますよね。だから、料金相場を事前に明示したり、作業風景や事業者自身の顔写真を見せたりしながら、口コミと料金でプロを比較できる仕組みが、「くらしのマーケット」の一番の特徴です。

口コミ評価というのは単なる星の数ではありません。自分の実力やお客さんからの支持を可視化できる大事な資産だったりします。この透明性こそが、弊社の創造している価値ではないでしょうか。口コミの価値は10万円と評価する出店者もいれば、星1は勲章であると宣言している出店者の方もいます(笑)

これらの詳しい話は、くらしのマーケット大学のSpotifyを聞いていただけると背景も含めて楽しめ
ます!我々は様々なチャネルでコンテンツマーケティングを実践しています。

Mission-
「くらしのマーケット」を誰もが知る国民的ブランドにすること

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――加藤さんの現在のミッション・役割について教えてください。

くらしのマーケットの事業責任者として、ブランド戦略の立案、新規顧客獲得、出店者へのコンサ
ルティングなど業務は多岐にわたります。常に念頭にあるのは新規会員登録数で、「くらしのマーケット」を誰もが知るような国民的なブランドにすること。そこを見据えて、出店者の方やユーザーとの関係性づくりを重視しています。

長期的な信頼関係の構築に必要なのはプロダクトやサービスのクオリティを高めることです。AIの飛躍的な進化により、データという宝の山は、特別な知識がなくても誰もが活用できる共有財産となりました。今こそ、かつて日本の製造業を世界一に押し上げたTQC(トータル・クオリティ・コントロール)の精神を、みんなで磨いていこう、もっと口に出していこうと。

全員参加型の品質向上。みんなでつくる顧客体験。みんなが「もっと良くできるはずだ」という想いを持ち、声を上げる組織文化を創ることが大切です。もはやマーケティングは、一部門の専売特許ではありません。従業員一人ひとりが、お客様との接点を創り出す「マーケター」となる時代が到来しているのです。

――もともと加藤さんはマーケター出身ですか?

いえ、もともとはシステムエンジニアとして働いていました。それから「もっと上流を見たい」という気持ちが強くなり、商品企画やコンサルタントなど守備範囲を変えながらいろんなプロジェクトに参加してきた、という感じです。みんなのマーケットにジョインしたのも「生成AIが活用できる業界でチャレンジしたい」というのが理由なんですよ。

Motto-
多くの口コミがあるから実現できる「期待値のコントロール」

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――「くらしのマーケット」でユーザーとのコミュニケーションにおいて重視していることはありますか?

それは、「期待値のコントロール」です。みなさんそうだと思うのですが、こういう訪問サービスはイメージと現実の乖離が大きすぎるとガッカリしますよね。だから、そのギャップを埋めるコミュニケーションは常に意識していることです。具体的には、料金相場を比較検討できたり、作業内容や時間をしっかり伝えたり、出店者とユーザーが細かいテキストコミュニケーションを取ることができるようにしたりしています。その結果、リアルな声が口コミとしてどんどん届く。口コミはミスマッチをなくすための大切な資産であり、出店者やマーケットプレイスの資産です。

――口コミを見て、ユーザーは適切なサービスを選び取りやすくなる。期待値とのギャップが少なくなるということですね。

そうです。そして、マッチング精度向上のために、AIを活用できないか試行錯誤しているのが今です。今は出店者の応答速度やキャンセル率、口コミの質などを人間が評価してスコア化していますが、忖度のないAIを使えばもっと得られる情報が増えるはず。出店者の強みやユーザーの感動など、両者の本音を浮き彫りにすることができるはずなんです。レコメンドの精度向上、出店者とユーザーの相性予測など、AIで可能になることはたくさんあります。

――AIを積極的に活用されているんですね。

AIがプラットフォームやサービスの強みを解析してくれれば、マーケターは施策を考える時間を短縮できます。そして、それを使えばマーケターではない立場の人でもAIの解析を根拠にしてアクションを即座に起こすことができる。これって、先ほど僕が話したTQCという考え方に近いんです。

ただ、AIのアウトプットというのは、人間のインプットに大きく依存します。たとえば、「楽をしたい」と「楽しい」というのは字面こそ似ていますが、まったく別の価値ですよね。扱う人間がどんな視座や態度でインプットを行うかで、AIで得られるものは大きく変わってきます。「くらしのマーケット」では、価値を創造するんだというスタンスでAIを扱うことを求めていきたいと思っています。

Marketing-
出店者が登場するCM動画が全方位的に信頼感を醸成

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――マーケティング施策やユーザーとのコミュニケーションで、「これは成功だったな」といえる取り組みがあれば教えてください。

具体的に何かを挙げるとすれば、実際の出店者の方に出演いただいたCM動画ですね。くらしのマーケットに出店したことで「仕事にどんな変化があったのか」「お客さまからどんな声をかけていただいたのか」など、実際のご自身の仕事について語ってもらっています。出店者が話す仕事のやりがいは、出店者にもユーザーにも刺さるものに仕上がり、全方位的に好評でした。信頼感の醸成という意味でも、効果は抜群だったと思います。

――サービス利用者の声ではなく、出店者の声なんですね。

まず前提として、「くらしのマーケット」はユーザーにいいサービスを提供することだけではなく、技術を持っている方が自由に働ける場をつくることも大切にしている価値なんです。素晴らしいサービスを提供している出店者におくるために、「くらしのマーケットアワード」という表彰の場をつくったり、成長支援コンサルも行ったりしています。感動的なサービス品質の出店者に多く集まっていただければ、それだけ信頼度も向上しますからね。

――ありがとうございます。逆にうまくいかなかった施策はありますか?

多すぎて特別何かを挙げることはできないのですが……。でもひとつ言えるのは、失敗を隠さずに結果を記録しておくことが大切だと思います。記録に残しておけば、ここでもAIが戦略のオプションを提示するなど、高速でPDCAを回す補助をしてくれますから。だから失敗しても、そこが次へのスタート地点だと考えればいいんです。それって、間違いなく前進していますよね。

Input-
自社サービスの戦略や価値創造に関連する本を読む

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――加藤さんはご自身の成長のために、どのような方法で情報収集を行っているのか教えていただけますか。

まず、読書は有効なインプットの方法だと思います。私は『すべては、消費者のために。』(トランスワールドジャパン、2006年)という和田浩子さんの本をおすすめします。和田浩子さんはP&Gのブランディングを成功させ、ダイソン日本法人社長、日本トイザらス代表取締役などを歴任された方です。この本で改めて学べたことは、「マーケティングは現場で何が起きているのかをどれだけ理解しているか」が重要だということ。

だからこそ、「くらしのマーケット」でも、出店者さんの仕事現場に同行させてもらったり、ユーザーと出店者の両者の本音にふれることを心がけています。

――そのほかにおすすめの本はありますか?

そうですね、同じような顧客視点での学びを得るなら、『カスタマーサクセスとは何か』(英治出版、2019年)という弘子ラザヴィさんの本もおすすめです。チームと組織文化のことを知りたいなら、毛利英昭さんの『スターバックス流 最高の育て方』(総合法令出版、2019年)もいいですね。まずは、自社サービスの方向性やマーケティング戦略に関連するような書籍を読んでみるのがいいのではないでしょうか。

――なるほど。本を読むときのコツはありますか?

私が情報収集をする目的はシンプルで、自分の中の「なにかの役に立つもの」を増やしたいだけです。本に限らず、インプットを増やすことで「いつか誰かの役に立つかもしれない」という知識や視点が蓄積されていきます。この「なにかの役に立つもの」が多ければ多いほど、仕事での打ち手も自然と増え、より多くの選択肢の中から、リソースを柔軟に配分できるようになります。情報収集によって多様な視点を得て、こうした良いサイクルを生み出せれば最高ですよね。

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※本記事は2025年5月27日時点の情報です。掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。

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