Google I/O 2025考察 - Google Play Consoleがマーケティング実務者のものに-

中野 竜太郎
中野 竜太郎
2025.05.23
Google I/O 2025考察 - Google Play Consoleがマーケティング実務者のものに-

目次

日本時間の2025年5月21日に開催されたGoogle I/O 2025。「What's new in Google Play」セッションでは、すでに公開済みの情報が多かったにも関わらず、「Google Play Console」の大幅アップデートがフィーチャーされていました。
本記事では、Google Play Consoleのリニューアルが、アプリマーケターの実務にどのようなメリットをもたらすのかを、アプリ運用の経験を基に解説します。

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再構築されたダッシュボードがもたらす業務効率の向上

「Google Play Console」のダッシュボードは、4月のアップデートによって4つのカテゴリ(「テストとリリース」「モニタリングと改善」「ユーザーを増やす」「Google Play で収益化」)に再編され、主要なKPIが一目で確認できるようになりました。

アプリデベロッパー、マーケターにとってKPIの変動に最も敏感になるのは新バージョンのリリース直後です。そんなときにでもダッシュボードを見るだけで、クラッシュ率の変化や異常値、MAUの変動、売り上げなどを瞬時に把握できるようになっています。

多くの企業、サービスはアプリ運用を非常に少人数で回しています。アプリ事業のマーケティングをひとりで担当しているなんてことも少なくありません。意思決定のスピードを早められるこのような改善は非常に価値のあるものだと感じます。

■再構築されたGoogle Play Consoleのダッシュボード【図】再構築されたGoogle Play Consoleのダッシュボード※画像引用:From dashboards to deeper data: Improve app quality and performance with new Play Console insights

■ダッシュボードに表示されるカテゴリと各KPI

カテゴリ 表示されるKPI
テストとリリース 日次クラッシュ率、インストール数、インストール割合
モニタリングと改善 クラッシュ率、ANR率、平均評価
ユーザーを増やす ユーザー獲得数、MAU(Monthly Active Users)、アンインストール数
Google Play で収益化 総売上、ARPPU(課金ユーザーひとり当たりの平均売上)、購入者数

品質管理・リリースの安全性強化が高速PDCAを実現する

2025年に行われたアップデートなかでもうひとつ注目すべきは、品質問題の事前チェックの拡張です。プライバシーポリシーリンクの欠落やログイン要件の不備、大画面表示の問題までが自動で検出され、リリース前に潜むリスクを大きく低減できるようになりました。

リリースリジェクトの要因を人力で探すのは非常に手間がかかるものです。事前チェックや対応優先度を提示し、その解決方法までを提案してくれるこの機能は、開発の迅速化に大きな貢献をもたらすでしょう。

■品質問題の事前チェックパネル【図】品質問題の事前チェックパネル※画像引用:From dashboards to deeper data: Improve app quality and performance with new Play Console insights

さらに、緊急時には既に100%公開したリリースも即座に停止できるようになり、不具合が拡散するリスクを最小化できるようになりました。アプリ開発者、マーケターにとって、新バージョンリリース時のリスクは重い足かせになっています。ユーザーに迷惑をかけるわけにはいけませんし、ミニマムなところでは不具合発生時の社内手続きの煩雑さとも戦わなければなりません。

■アプリリリースの緊急停止機能【図】アプリリリースの緊急停止機能※画像引用:I/O 2025: What's new in Google Play

直近、公開された品質管理、リリースに関する新機能を使いこなすことは、よりライトなアプリのアップデートを促進することに繋がり、サービス、プロダクトの改善をよりスピーディなものにしていくはずです。

■品質管理の新機能と実務上のメリット

品質管理の新機能
実務上のメリット
事前チェック機能の拡張 リリース前の問題検知と修正の迅速化
緊急リリース停止機能 事故発生時の対応スピード向上
優先度付き品質問題パネル 重要な問題に素早く集中対応可能

ユーザー獲得関連のレポートの進化がROI改善を支援

Google I/O 2025のプレゼンテーションのなかでは詳細な説明はなかったものの、2025年に実施されたGoogle Play Consoleのアップデートのうち、私が最も評価しているのは、ユーザー獲得関連のレポートの進化と新指標の追加です。

ユーザー獲得レポートは従来の単純なインストール数やチャネル別成果レポートではなくなりました。起動数、起動率が新たな指標に追加されたことで、リテンション率までを追えるようになっています。課金ユーザー数と組み合わせればより深いファネル分析も実現します。

流入チャネル評価がインストール後のユーザー行動に紐づくようになったことで、広告予算の効率的な分配や改善施策の迅速な立案が行えるようになりました。特にどの流入経路が長期的な価値を生み出すかを把握できるため、ROIの最適化が容易になるはずです。

さらに、事前登録数のカウント方法がアクティブデバイスに限定されるようになったことも大きな変化です。ゲームアプリでは事前登録数の把握が非常に大きな意味を持ちます。事前登録数でそのアプリのグロース規模をある程度予測できるからです。

これまでは非アクティブなデバイスがカウントされていたことで、予測に精緻さが失われるケースがありました。このアップデートによって過大評価や無駄な投資を避けられるようになっています。

【実務上のメリット】

  • 流入経路別のリテンションデータを活用し、費用対効果が高い広告チャネルへの投資を増やすことでROIを改善できる
  • 収益化までの各ファネルの離脱率を特定し、即座に改善策を実施することが可能になる
  • 国別にユーザー獲得パフォーマンスを詳細に把握できるため、地域ごとの特性に合わせたキャンペーン戦略を策定しやすくなる

これらの進化した分析機能は、アプリマーケティングの意思決定を加速させ、施策の成功確率を高めてくれるでしょう。

Google Play Consoleはアプリマーケターのものになる

これまでGoogle Play Consoleは、アプリマーケターにとって近くて遠い存在でした。プロモーションの成果をモニタリングしたければ「MMP(モバイル計測パートナー)」を利用したほうが正確な分析が可能ですし、アプリの公開プラットフォームという立ち位置でもあるため、開発者にしか権限が渡されないというケースもあったのが現実です。

しかし、2025年に立て続けに行われたアップデートによって、Google Play Consoleがマーケターのものになるかもしれません。

例えば、MMPとは以下のように明確に使い分けができるようになりました。Google Play Consoleはストア内の獲得状況や品質管理に特化し、MMPは広告ネットワーク全般の分析や高度な不正検知に対応するという役割分担が理想です。両者を併用することで、アプリマーケティングの精度と効果を向上させることが可能になります。

■Google Play ConsoleとMMPの使い分け

  Google Play Console MMP
分析範囲 Google Play ストア内に特化 広告ネットワーク全般
アトリビューション ストア内チャネル単位 クロスチャネル高度分析
不正検知 Googleポリシー依存 AIベース高度検知
導入コスト 無料 有料(機能制限あり)

近年、Google Play Consoleのアップデートはマーケターにとってあまり期待感のあるものではありませんでした。現実として、Google Play Consoleを日常業務ではほぼ活用していないマーケターも多いはずです。

しかし、2025年は急激にマーケティング、収益化観点での進化が増えており、Googleの方針や注力度に大きな変化を感じられます。まずは毎日ログインすることから始め、マーケティング活動への有効活用を検討し始めることをおすすめします。

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