RFM分析とは?マーケティングに活用される重要な顧客分析手法を解説

Repro Journal編集部
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2020.02.12
RFM分析とは?マーケティングに活用される重要な顧客分析手法を解説

目次

IT化が進み、ビジネスモデルや生活者の行動様式が変化した昨今、顧客の状況をより的確に把握する分析業務の重要性が高まっています。分析手法にはさまざまなものがありますが、今回ご紹介する「RFM分析」は優良顧客の分類に非常に効果的な手法です。少子高齢化による国内ターゲット層の減少が見込まれる中、ロイヤルカスタマーと呼ばれる優良顧客の重要性は高まっています。そのため、まずは顧客分析を行って自社の優良顧客を洗い出すことが大切です。

今回はRFM分析の概要や活用法、分析の際の注意点について解説します。RFM分析の導入を検討している方や、取得したデータの活用法を知りたい方は必見です。ぜひ参考にしてみてください。

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RFM分析とは

RFM分析とは「Recency(購入日)」「Frequency(購買頻度)」「Monetary(購買金額)」の3つの指標を用いて顧客を分析し、優良顧客や休眠顧客といったようにグループ化する分析方法のひとつです。各項目に対してスコアリングをすることから、「RMFスコア法」と呼ばれることもあります。

元々は1960年代にアメリカの通信販売事業を中心に広まったとされていて、カタログ販売やダイレクトメールの応答率を向上させるために用いられていました。顧客分析の手法の中でもベーシックな分析手法のため、CRMや各種分析ツールの中にも機能として搭載されていることもあります。

では、それぞれの指標に関して解説します。

R:Recency(直近の購入日)

最後に製品を購入してからどれくらいの期間が経過しているかをあらわす指標です。

RFM分析では、2カ月前に購入記録がある場合は「R2」、5カ月前に購入記録がある場合は「R5」というように分類を行います。Rの数値が小さいほど再購入の見込みが高い顧客として考えられるため、自社の製品に対する顧客の関心度を測る指標として活用できます。グループ化を行う際には、自社製品の特徴や優良顧客の定義などをしっかりと把握したうえで分類することがポイントです。

F:Frequency(購入回数)

製品の購入回数をあらわす指標です。

RFM分析では、購入回数が2回の顧客を「F2」、10回の顧客を「F10」として分類を行います。Fの数値が大きいほど再購入の見込みが高く、販促施策に対するレスポンス率も高くなりやすい傾向があります。他の指標と組み合わせる場合、直近の購入日が近ければ優良顧客、遠ければ継続顧客、もしくは休眠顧客として扱うことをおすすめします。どのような基準をもって休眠顧客とするかは製品の種類や業態にもよりますが、最初は休眠期間を1年とする会社が多数を占めているようです。

M:Monetary(累計購入額)

製品の総購入金額をあらわす指標です。

金額が高いほど良質な顧客であると考え、顧客の購買力を測る指標として活用できます。RFM分析では、直近の購入日および購入回数と組み合わせることで顧客をグループ分けする指標として扱われます。購入回数が少ない場合は優良顧客になり得る新規顧客として扱い、購入回数が伸びている場合は優良顧客として扱うことで、顧客の傾向に合わせた販促施策を行いやすくなるメリットが見込めます。

RFM分析を行う目的

RFM分析を実施する目的としては、販促施策に費やすコストの最適化、および自社製品の売り上げを最大化することが挙げられます。自社の顧客を購買状況に応じて分類し、それぞれのグループに適した販促施策を実施するというのがRFM分析の概要であり、おもな目的です。

どの顧客が・会社の売り上げにいつ・どれだけの頻度で・どのくらい貢献しているかをRFM分析によって明確にすることで、顧客を購買状況に応じてグループ分けができるのです。自社の売り上げに貢献している顧客をRFM分析によって可視化することで、ターゲット層の絞り込みが行いやすくなります。売り上げにつながる可能性が高い顧客層を見定め、少ないコストで効率的に販促活動を実施できるよう役立てましょう。

RFM分析の活用方法

RFM分析によって得られた顧客情報は、自社の売り上げにつながる有用なデータとして活用できます。では、実際に活用する際、具体的にはどのような方法があるのでしょうか。詳しく確認してみましょう。

顧客の分類に応じた施策の実施

RFM分析で得られたデータを元に、顧客の分類に応じた販促施策を行うことが重要です。データをより有益なものにするためにも、まずは自社がどのようなデータを必要としているかを事前に洗い出して、RFM分析の実施効率を向上させることが大切です。

例えば常連顧客がどれくらい自社の売り上げに貢献しているかを把握したい場合は、購入回数が伸びている顧客の平均購入額を調査する必要があります。

実際にRFM分析を実施する際には、顧客のグループ分けをどの程度細かく行うかも重要なポイントです。細分化しすぎると販促施策を考えるコストが高くなるので、目的に応じて適切なグループ分けを実施する必要があります。RFM分析によって必要なデータを取得した後は、いよいよ販促施策を実践するプロセスに移行しましょう。

RFM分析の結果に応じた対策について、いくつか具体例をご紹介します。

まず、直近の購入日が遠く、購入回数が多い顧客は、徐々に自社から離れている可能性がある顧客です。新製品の案内メールやセール情報など、自社への関心を引き戻す施策が有効です。

また、R・F・Mすべての項目でスコアが高い顧客は自社の優良顧客にあたるため、関係を維持し続けるための施策を行いましょう。具体的には、優良顧客限定の案内など特別感を演出するものが効果的です。

一方で、累計購入額が低く、直近の購入日も遠い顧客は、優先度を下げて低コストで実施できるメールやDMなどを用いた施策を実施すると良いでしょう。

傾向として、このような顧客は既に競合他社に流れている可能性が高いです。そのため、現時点で自社への関心が低いと考えられる顧客は、累計購入額を参考にして、販促施策を行うかどうか判断することをおすすめします。RFMすべての値が低い顧客は自社に引き戻せる可能性が低く、広告費をかけて引き戻してもあまり収入が見込めないと考えられます。したがって、マーケティング対象から除外して広告費用を節約するのが適切です。

RFM分析は優良顧客に注目するとともに、すでに流出したと思われる顧客を見極めることで、広告費を最適化する効果も期待できるのです。

RFM分析の注意点

RFM分析は短期的な売上アップに役立つデータを効率的に得られる調査法です。しかし、RFM分析で得られる情報には限りがあります。ここからは、RFM分析を実施するうえで注意すべきポイントについて解説します。

各顧客への継続的なアプローチがおろそかになる

RFM分析は、調査を実施した時点での顧客状況を把握できる調査法です。しかし、顧客の購買傾向や直近の購入日は日々変化していきます。

購買頻度によって顧客をグループ分けしている場合、定期的に購買行動を行う顧客を把握することが困難です。RFM分析を実施した時期と購買行動があった時期が離れている場合、RFM分析では定期購入を行う顧客を判別できなくなります。結果として、会社の売り上げに貢献している顧客に対して継続的なアプローチを行えず、顧客の流出を引き起こす可能性が高いです。

顧客に合わせた販促施策を継続していくには、定期的にRFM分析を実施していく必要があります。調査目的に応じて必要な集計期間は異なりますが、まとまった量のデータを取ることでさまざまな観点から自社の売り上げを確認できるようになります。RFMそれぞれの数値の移り変わりを可視化することは、自社に足りない要素や必要な販促施策の把握にもつながるため、定期的な分析を怠らないよう心掛けましょう。

なお、RFM分析は調査の実施時点における優良顧客を探し出す分析法です。調査時点で購買頻度や購入金額が低い顧客は除外して考えるので、将来的な優良顧客を見つけ出したり、新規顧客を開拓したりするのには適していない分析法です。

より高い精度で顧客の購買傾向を分析したい場合は、RFM分析以外の調査方法を併用することをおすすめします。売り上げが高い順に商品をソートするABC分析や、顧客が初購入を実施してから離反するまでの購入金額を見るLTV分析など、さまざまな調査方法をRFM分析と併用することで調査の精度向上が見込めます。定期的に調査を実施することに加えて、多面的に顧客の傾向と特徴を見ていくことが自社の売り上げを長期的にキープし、向上させていく秘訣です。

施策の実施対象顧客が偏る可能性

直近の購入日が近い、購入回数が伸びている顧客など一部の優良顧客に対しての販促施策を重視するRFM分析では、販促施策の対象となる顧客が偏りやすくなります。調査時点における優良顧客をターゲットにする手法は短期的な売上増加が見込めますが、顧客の数が限られやすいことが欠点です。一部の顧客へ繰り返し購買を促していると、やがて顧客側のレスポンス率が下がり、売り上げが停滞する可能性が高くなっていきます。

加えて、常連客を重視する分、新規顧客や休眠顧客に対するフォローが疎かになりやすいことも生じやすい問題です。結果として、RFM分析を導入する前後で売り上げが変わらない、もしくは下がるという結果を招きやすくなります。RFM分析に頼りすぎるのではなく、自社の売り上げを維持・向上していくことをもっとも重要な命題として顧客分析を実施するように意識しましょう。

また、どのような場合でも新規顧客に対するフォローは丁寧に行うように注意を払うことをおすすめします。なぜなら、新規顧客はメーカーに対する思い入れが少ない傾向があり、すぐに競合他社へ移ってしまう可能性が高いからです。新規顧客の流出を防ぐには、購入後2~3カ月程度はEメールやDMなど、比較的実施しやすい販促施策を複数回実施する方法が有効です。顧客に対して自社製品を印象付けることが重要であり、製品の買い替えをする際に自社製品が候補に上がるように誘導できれば、新規顧客向けの販促施策は成功であるといえるでしょう。新規顧客を自社に引き寄せることは売り上げを伸ばすうえで必須となるプロセスです。

会社の売り上げを継続的に伸ばすには、最近購入履歴がない常連客や、購入単価が高い顧客などにも適切な販促施策を行う必要があります。RFM分析の結果だけを重視しすぎるのではなく、顧客の新規開拓、および優良顧客へと育成していく取り組みを多面的に進めていくことが継続的に売り上げを伸ばす秘訣です。

顧客が「何を購入したか」が考慮されない

RFM分析では、顧客が購入した製品の内容を把握することができません。結果として定期的に製品を購入する優良顧客を見逃しやすく、顧客の流出や売上低下などにつながる可能性があります。

製品を購入した顧客に対してレコメンドを表示するサービスを導入している場合、RFM分析のみで対象者を判断していると、ひとりの顧客に対して同じ製品を繰り返しレコメンドすることになりかねません。同じ顧客に繰り返し販促活動を実施していると客離れが起こりやすく、常連客やリピーターになる見込みがあった新規顧客を逃してしまう可能性があります。

RFM分析でより多数の優良顧客を見つけ出すには、顧客が購入した商品の内容、および購入時期などの情報を合わせて確認する必要があります。例えば、暑中見舞いの時期にのみ必ず購入する顧客がいた場合、RFM分析では購入頻度が低い離反顧客として扱われます。しかし、実際には定期購入を実施してくれる優良顧客なので、購入時期を見て定期的にフォローアップを実施していくことがポイントです。

一度購入したら半年ほど買い替えない製品を購入した顧客の場合であれば、買い替えの手前である購入から5カ月程度経過したタイミングでメルマガやDMを送るようにすると、広告宣伝費を抑えながらリピーターを獲得できる可能性が高まります。

紹介した例は初歩的なものですが、RFM分析の実施方法を誤るとリピーター候補を見つけづらくなり、気づかないうちに顧客を失ってしまう可能性があるので気を付けましょう。

まとめ

RFM分析は顧客の購買力を図るのに適した分析法です。直近の購買日、購入回数、購入額の3種類のデータを組み合わせることによって、自社製品の売り上げを効率的に伸ばす施策を探すことがRFM分析の目的です。

しかしながら、RFM分析は調査時点における既存顧客を抽出する分析法です。そのため、自社の売り上げを最大限に伸ばすには、複数の分析法を用いて多面的に顧客を探していく必要があります。

この点に気をつけつつ、RFM分析を用いて、既存顧客へのアプローチを最適化していきましょう。

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