はじめに
前回のTwitter連載1では効率的なTwitter運用に欠かせない3つのステップをご紹介し、例として自社オウンドメディアへの流入数増加を目的としたKPIツリーの作り方についてご紹介しました。
今回は、前回作成したKPIツリーを元に、KGIの目標値を達成するための「Twitterのシミュレーションモデル」を作る重要性とその作り方について解説します!
シミュレーションモデルを作る重要性
シミュレーションモデルとは
シミュレーションモデルとは一言でいうと目標達成するための計画表です。受験勉強やダイエットと同様に、Twitterの運用においても目標に向けた計画表を作ることが大切です。
シミュレーションモデルを作るメリット
目標値を達成するまでの道筋が明確になる
シミュレーションモデルを作ることで、各KPIをいつまでに、どれくらい達成すれば最終的なKGIの目標値に到達することができるのか把握することができます。
施策の効果測定が効率的に行える
効果測定時に実績値と目標値を比べることで、KGIの目標値が達成できているか簡単に把握することができます。そして目標値に到達していない場合はどのKPIを伸ばす必要があるのか検討し、計画表をアップデートすることで着実に目標達成できるような運用ができます。
シミュレーションモデルの作り方
ここでは、前回の記事でご紹介したKPIツリーをもとにExcelでシミュレーションモデルを作っていきます。下の図が前回ご紹介した自社オウンドメディアへの流入数増加を目的としたKPIツリーです。赤枠で囲ってあるのがKGIのドライバーとなる主要KPIです。以下で詳しく説明していきます。
1.KGIのドライバーとなる主要KPIを決める
まず、KPIツリーの中から自社の努力量や施策変更によってコントロール可能であるもの、KGIであるクリック数の増加に大きく影響を与えるものを主要KPIとして設定します。今回は以下の3つをTwitter運用の主要KPIとしました。
- インプレッション数(Total impression)
- ツイートのクリック率(CTR)
- フォロワー数 (Number of 1st follower)
KGIであるクリック数はツイートを見る回数(Total impression)とそのツイートをクリックする割合(CTR)で決まるため、インプレッション数とツイートのクリック率は重要なドライバーとなります。
インプレッション数は自社アカウントのフォロワー数(Number of 1st follower)とアクティブなフォロワーの割合(Active%)で決まりますが、アクティブ率が高くてもフォロワー数自体が増えなければインプレッション数は底上げされません。
したがって、インプレッション数のドライバーとなるフォロワー数を3つ目の主要KPIとしました。それぞれの主要KPIとKGIの数値を出すために必要な構成要素を整理したのが下の図になります。
2. 仮定値を入れる
KGIのドライバーとなる主要KPIとその構成要素が整理できたら、次は目標値を出すために各要素のセルに仮定値を入れていきます。仮定値は今までの運用実績を元に予測をつけておく数値です。
例えば「a3. 手動フォローで増えるフォロワー数」であれば、何人フォローすると何人がフォローバックしてくれるのかを今までの運用実績から導くことができます。弊社のアカウントでは100人フォローすると約20人がフォローバックしてくれることがわかったので、ここでは「1週間に200人フォローする」というTwitter運用によって40人がフォローバックしてくれると予測し、a1の値を100、a2の値を20%としました。(下の図を参照してください)
また、「b1. フォロワーのアクティブ率」は、ツイートした瞬間にアクティブだったフォロワーの割合の平均値を取ることで算出することができます。例えば、フォロワー数100人に対する平均インプレッション数が50ならアクティブ率は50%となります。仮定値はシミュレーションモデルを作った後も変動がある数字なので、他の数字と識別するために青字で入力します。仮定値だけまとめた表が以下になります。
3. 枠を作り、計算式で表を埋める
仮定値の入力が終了したら、仮定値の隣の列に計算式を入れていきます。ベタ打ちは使わず、必ず計算式だけで埋めるようにしてください。計算式にすることで、後で仮定値を変えたとしても自動的に全ての数値に反映されます。最初の行に計算式を全て打ってしまえばあとの行はコピペをするだけです。以下が計算式を説明した図になります。
仮完成図が以下になります。今の状態だと仮定値を元にして作られたモデルなので、実際に達成しようとしている目標値とシミュレーションモデルを作って割り出した目標値との間に差がないか確認する必要があります。差があった場合は、実際に達成しようとしている目標値になるように仮定値を調節します。
完成後は、施策の効果測定をする際にシミュレーションモデルの目標値と照らし合わせてどこが改善すべきKPIなのか確認します。そして目標値を達成するためにはどのコントロールできるKPIを伸ばすべきなのか定期的に仮定値を確認し、シミュレーションモデルをアップデートしていきましょう。
シミュレーションモデルはこのようにPDCAを回して運用していくことが重要です。実際にどのようにこのシミュレーションモデルを活用できるのか以下で一つ例をご紹介します。
例えば、6/6の週は1週間のクリック数の目標値が118になっていますが、実績値は70だったとします。そして他のKPIを確認してみると、フォロワー数は目標値に達しているのにクリック率とインプレッション数は達していなかったとします。その中でも一番達成率が低いのはインプレッション数なので、改善すべきKPIはインプレッション数になります。そこからインプレッション数の仮定値に戻り、伸ばせそうなKPIがないか考えます。
例えば、インプレッション数を構成する仮定値ではフォロワーのアクティブ率を65%としていますが、投稿時間数をより最適化することで70%に変えることができるかもしれません。このようにシミュレーションモデルを作って数値をモニタリングし、さらに実績値をもとにシミュレーションモデルを改善していくことで確実にKGIの目標を達成できるような運用ができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?シミュレーションモデルは作るまでは少し手間がかかりますが、一旦作ってしまえば目標値を管理する強力なツールになります。シミュレーションモデルを作ることで目標値を達成するまでの道筋が明確になります。また、効果測定時に実績値と目標値を比べることで、KGIが目標値に達成していない場合どのKPIを伸ばす必要があるのか検討することができます。そしてまた計画表をアップデートすることで着実に目標達成できるような運用ができます。
次回はTwitterアナリティクスを使ってこのシミュレーションモデルの各KPIを計測する方法をご紹介します!お楽しみに!第三回はこちら!
Twitterアナリティクスの基本的な使い方を学ぼう