アプリ広告やASO(アプリストア最適化)対策を実施する際、絶対に実施しなければならないのがアプリ詳細ページのクリエイティブ改善。いくら、アプリ詳細ページへのアクセスが増えたとしても、インストールが発生しないと意味がないからです。
そこでReproでは、「アプリのインストール行動についての実態調査」を実施し、アプリ詳細ページのクリエイティブがどのようにユーザー行動に影響するのかを明らかにしました。本記事では、特に「アプリ詳細ページにアクセスしたにも関わらず、離脱が起きる理由」について解説していきます。
インストール行動に大きな影響を与える評価スコア、説明文、レビュー
アプリ詳細ページにアクセスしているということは、少なくともそのアプリに興味を持っている状況です。インストールへのモチベーションは、他のシチュエーションに比べて非常に高いといえます。にもかかわらず、なぜ多くのユーザーはインストールせずに離脱してしまうのでしょうか。
そこで紹介したいのが、アプリをインストールする際に「アプリ詳細ページのどんな情報を参考にするのか」を尋ねたデータです。アプリ詳細ページを構成する要素ごとに、ユーザーへの影響度を下のグラフにまとめています。
■アプリをインストールする際にユーザーが参考にする情報
出典:「アプリのインストール行動についての実態調査」Repro株式会社
最もアプリのインストールに影響を与えていると考えられるのが「評価スコア」。44.6%が「かなり参考にする」と回答し、39.3%が「少し参考にする」と答えています。ほどんどのユーザーがインストール時に評価スコアをチェックし、インストールすべきかを判断していることがわかります。
次点として挙げられるのは「説明文」と「レビュー文章」です。それぞれ、「かなり参考にする」が36.1%と39.1%、「少し参考にする」は45.1%、41.5%となっています。デベロッパーから機能紹介、ユーザーからの評価と情報の発信元や性質は異なりますが、テキスト情報もしっかりとユーザーの行動に影響を与えているのです。
「かなり参考にする」という回答はさほど多くないものの、「少し参考にする」という回答が多く、無視できない要素といえるのが、「タイトル」「スクリーンショット」です。アプリ詳細ページの上部に表示され、強いアテンションを期待できるものなので、シンプルな魅力づけに取り組むのが適切かもしれません。
評価スコア、レビューによる離脱は当たり前。説明文にもっとこだわるべき
アプリ詳細ページの構成要素のユーザーへの影響をさらに深堀りしてみましょう。下のグラフは「アプリのインストールをやめるきっかけになった情報」を尋ねた結果です。
■アプリのインストールをやめるきっかけになった情報
出典:「アプリのインストール行動についての実態調査」Repro株式会社
「評価スコア」「レビュー文章」を見て「インストールをやめたことがある」人は、全体の約64%。大きな離脱要因になっていることがわかります。
注目したいのは、「説明文」にも「インストールをやめたことがある」と回答した人が集まっていることです。実に51.8%に上ります。ASO対策の文脈で説明文について検討するとき、検索順位の改善を目的とすることが少なくありません。しかし、説明文の品質がインストール行動に大きな影響を及ぼしていることも覚えておいたほうがいいでしょう。
キーワードの詰め込みに終始するのではなく、ユーザーにとって有益な情報は何なのか、どんな情報やトンマナがユーザーのモチベーションを高めてくれるのかを真剣に追及すべきです。
もう1点、興味深いのは「スクリーンショット」を見て「インストールをやめたことがある」人が35%にとどまったこと。アプリ詳細ページのCVRを改善するためには、スクリーンショットのクリエイティブ改善が必要不可欠です。魅力的なスクリーンショットは確実にCVRを高める効果があります。一方で離脱を防ぐという観点で見ると、優先度は説明文の改善よりも低い可能性があるのです。
評価スコア4点以上を目標にUX改善するのが鉄則
続いて紹介するのは「アプリをインストールする際に不安を感じる評価スコア」を調査した結果です。
■アプリをインストールする際に不安を感じる評価スコア
出典:「アプリのインストール行動についての実態調査」Repro株式会社
上のグラフを見ると、4点未満で不安を感じる人が全体の80%以上を占めていることがわかります。スコア改善の目標は4点に定めるのが妥当といえるでしょう。なお3点未満になると急激に不安を感じるユーザーが増大する可能性が高いため、早急な改善が必要です。
機能・サービスは説明文で詳しくチェックされている
説明文を見てインストールをやめたことがある人に対して、その理由を尋ねた結果が以下のグラフです。説明文で何を表現すべきかが浮き彫りになっています。
■説明文を見てアプリのインストールをやめた理由
※複数回答可。割合は534名に対する各選択肢の回答比率。
出典:「アプリのインストール行動についての実態調査」Repro株式会社
インストールをやめた理由として最も多くの回答を集めたのが、「機能やサービス内容が不足していると感じた」というもの。みなさんのアプリ詳細ページには、ユーザーが求めている機能が過不足なく記載されているでしょうか。スクリーンショットに載っているからと安易に省略したり、宣伝文句ばかりを羅列したりしてはいないでしょうか。
アプリ詳細ページのUXを考えると説明文が長大になるのは避けたいところであり、使用できる文字数はおのずと限られてきます。ユーザーのニーズをしっかりと分析し、優先度とその詳しさを絶えず調整しながらアプリ詳細ページの説明文は運用すべきでしょう。繊細なコピーワークのスキルが求められています。
また、「日本語の表現が不適切で不安に感じた/日本語対応していなかった」という人も42.3%存在しています。海外発のローカライズアプリを運用している人は、正しい日本語の説明文が掲載されているかを今すぐに確認してください。
ユーザーはスクリーンショットでアプリのUIも見ている
アプリ詳細ページに掲載するスクリーンショットは、最も訴求力がありサービスの魅力を伝えるのに最適な要素です。CVRを向上させるために、多くのアプリがキャンペーン情報や独自の機能、新機能の紹介に注力しています。これは正しい認識であり、適切なアクションです。
一方で離脱を防ぐという観点に立つと別の側面も見えてきます。「スクリーンショットを見てインストールをやめた理由」を尋ねたところ、「使いづらそうな画面であると感じた」という人が68.1%も存在したのです。
ユーザーは冷静でシビア。キャンペーンや目立つ機能だけではアプリをインストールしません。継続的に利用することを前提として、そのUIもしっかりと確認しているのです。
■スクリーンショットを見てアプリのインストールをやめた理由
※複数回答可。割合は534名に対する各選択肢の回答比率。
出典:「アプリのインストール行動についての実態調査」Repro株式会社
アプリ詳細ページの各要素の役割を理解して最適化を
本調査では、いくつかの重要なユーザーインサイトが浮き彫りになりました。
ひとつは答え合わせといえるようなものなのですが、アプリ詳細ページにおける最重要ポイントは「評価スコア」「レビュー文章」であるということ。このふたつにユーザーは注目しており、そこで抱く不信感は「インストールしない」という判断と直結しています。
ふたつめは「説明文」の離脱防止に対する有用性。アプリの機能紹介をスクリーンショットだけに頼ってはいけません。ユーザーは説明文をしっかりと確認してどのようなアプリなのかを確認しようとしています。機能説明をおろそかにせず、PDCAを回していくことで機会損失を削減できるようになるでしょう。
3つ目に挙げておきたいのは、「スクリーンショット」に求められる役割です。ユーザーはスクリーンショットで、そのアプリの使いやすさをイメージし、インストールするか否かの判断を下すケースがあります。インストールの促進、魅力づけだけを目的としたクリエイティブだけでなく、継続利用を後押しするようなクリエイティブも検討するといいかもしれません。
ユーザーがアプリをインストールする過程で、必ず経由するのがアプリ詳細ページです。継続的な改善は必要不可欠。しかし、掲載できる情報には制限があり、自由な情報提供ができません。各構成要素がユーザーに対してどのような意味を持っていて、どのような情報を掲載すべきなのか、徹底的に検証し、最適化を図ることが“勝つアプリ”になる近道となるはずです。
■調査概要
- 調査名:アプリのインストール行動についての実態調査
- 調査期間:2024年1月26日~1月28日
- 調査方法:インターネットアンケート調査
- 調査対象:iPhoneを日常的に利用している方
- 有効回答者数:1,030名