2023.05.17
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Webサイトやアプリの改善点を発見する手法として、「ユーザーテスト」が注目されています。 ユーザーテストは問題点を見つけるだけでなく、その時のユーザーの心理も抽出することができる手法です。課題や心理が浮き彫りになることで、サイトやサービスの課題解決に活かすことができ、ひいてはコンバージョン率の向上につながる可能性も秘めています。 今回は、ユーザーテストの概要から実施における重要なポイントをご紹介します。
ユーザーテストとは、アプリやWebサイト、製品を一般ユーザーに試してもらって評価を受け、改善点や良い部分を洗い出すテストです。利用時の発言や行動を観察することで、ユーザー心理やサービスの使い方、比較検討時の行動を含め、コンバージョン達成までの一連の課題を抽出することができます。
Web・アプリサービスだけでなく、家電や工業製品、テレビCM、チラシなどの制作現場でも実施されています。
ユーザーテストを行うメリットは主にふたつあります。
ひとつ目は、ユーザー心理を理解できる点です。ユーザーテストはアクセス解析と違い、利用時のユーザーの様子を観察できるため、「なぜそうなったのか」という原因を洗い出すことができます。
例えば、アクセス解析ではページの直帰率を把握できますが、ページを閲覧しているユーザー心理は把握できません。つまり、直帰率が高まる理由までは、知る術がないのです。
しかし、ユーザーテストでは、テスト実施後にヒアリングを行うことで、行動の理由や心理を知ることができます。
ふたつ目は、自社サイトのみならず、他社サイト・プロトタイプのサイトでも実施できる点です。クセス解析の場合、他社サイトから得られるデータは限定的で、詳細はわかりません。プロトタイプも一般に公開されるものではないため、どういった操作を行うユーザーがいるのか、知ることができません。
しかし、ユーザーテストでは、他社サイトとプロトタイプでも実施することができます。サイト同士の使い勝手を比較してみたり、プロトタイプを実際に使ったりすることで、ユーザー目線の課題が浮き彫りになるはずです。
以降ではユーザーテストを実施する際のポイントについてご紹介します。 実際に始める前にぜひチェックしておいてください。
ユーザーテストを実施するのに効果的なタイミングがあります。必要とされる場面は大きく4つのシーンに分けることができます。
アクセス解析を見ても、ユーザーが本当は何を求めて利用しているのか、そして何が見つからずに離脱しているのかまではわかりません。ユーザーテストを行うことで、心理やニーズを理解することができます。
成果を出すためには、ユーザーがなぜコンバージョンしなかったのか原因を探る必要があります。
「関心がなかった」「不安や疑問が解消できなかった」「意欲がなかった」など、何らかの原因が考えられます。そうしたときにユーザーテストを通して原因を突き止めることで、適切な改善策を打つことができるのです。
何らかの課題を抱えており、アクセス解析を行っても原因がわからない場合には、ユーザーテストを併用して課題の深堀りを行いましょう。
アクセス解析では課題をみつけることまではできますが、なぜその問題が生じているのか、原因を究明できないこともあります。逆に、ユーザーテストではそういった定量的なデータは把握できないため、併用することがおすすめです。
例えば、Googleアナリティクスで、ページの直帰率が高いという課題が浮き彫りになったとします。そこでユーザーテストを行えば、ページの直帰に関する業種別・ユーザー別の課題が発見できるでしょう。
例えば、自社にはないコンテンツや機能を持った競合サイトがあったとします。この場合、競合にならってすぐに機能追加を行うのではなく、まずは機能やコンテンツの必要性を明らかにすることが大切です。ユーザーテストはそうしたときに役立つのです。
現在は競合分析のためのサービスも多数登場していますが、ユーザー目線の情報を取得できるものではありません。ユーザーに競合サイト・サービスを実際に使って体感することで、必要・不要の判断がしやすくなります。
このようにユーザーテストが適しているシーンはいくつかあります。いずれにせよ、自社の課題発見をする際に原因追求を徹底したい場合にはぴったりの方法でしょう。
一般的なユーザーテストでは、検証するサイトやプロトタイプを用意し、テストの対象となるユーザーの思考・行動パターンの仮説を立てておきます。
サービスの利用開始から離脱まで、プロセス別にユーザーが持つ感想や要望などを仮説立てておくことがテスト効率を向上させるポイントです。
そうして立てた仮説を元に被験者を選び、設計したタスク通りにサービスを利用してもらいます。
テストの際は、被験者の心理や行動、思考を把握するために質疑応答し、仮説を検証します。
最後に想定した仮説とテスト結果のズレを確認し、改善点を考えます。この一連のプロセスを繰り返すことで、ニーズに則した製品やサービスに近づけられます。
効果的なユーザーテストを実施するために、被験者にはサービスや商品のターゲットユーザーを選定する必要があります。
多くのサービスでは多様なユーザー層を抱えていますが、テストを行う適切なターゲットユーザーを見極めて集めていく必要があります。
時間や予算があるのなら、ユーザーグループを複数用意し、個別にユーザーテストをするのも良いかもしれません。
また、ユーザーテストは一人だけでなく、3〜5人程度の被験者が適当です。アメリカの研究者であるヤコブ・ニールセンによると、3名の調査で約6.5割の問題点が、5名の調査で8割以上の問題点が発見可能とされています。
全ての問題点を見つけ出すには15名の調査が必要とされますが、15名で一度テストを実施するよりも、5名で3回テストを実施したほうが有効性の高いデータを得られる見込みは大きいです。
ユーザーテストを実施する際には、常に費用対効果を意識してユーザーの抽出やテストケース制作を行うことをおすすめします。
続いて、ユーザーテストの進め方について確認していきましょう。基本的なユーザーテストの流れは以下の通りです。
ユーザーテストをするためには、インタビュアーや記録係、撮影班などが必要です。こうした人材なしではユーザーテストは成り立ちません。まずはテストに向けてチームを組んで体制を整えることからはじめましょう。
次に、ユーザーテストを実施するにあたり、問題点の洗い出しと仮説を立案します。
例えば、ある項目のデザインについて「AとBどちらの案が良いのかを知りたい」などの問題を書き留めておきます。この場合、A・B案の良いところと悪いところをそれぞれ洗い出し、なぜそう考えるのかをメモに残しておきます。あらかじめ仮説を立てておくことは、自社のバイアスを見つめ直すことにつながります。
続いて、ユーザーテストで実行するユーザーの目標(タスク)を決めます。
前のステップで策定した問題に基づき、目標を定めます。このとき行う質問は、なるべくオープンな質問に設定しておくことが重要です。「はい」「いいえ」だけで済んでしまう定型的な質問はユーザーの細かいニュアンスを汲み取るのには不適切です。ユーザーが自由に答えられるような質問を設定するよう留意しましょう。
次にユーザーの募集です。
このフェーズではユーザー像を明確にすることが大切です。例えば、服装やアクセサリーなどコーディネート系を取り扱うアプリでユーザーテストをする場合、ファッションへの感度が高いユーザーを集めた方が良い回答を得られるでしょう。設定した問題や突き止めたい原因との親和性を考慮して、ターゲットを絞りましょう。
さて、ここまでがユーザーテストの準備となります。実際にユーザーテストを行う最中や直後は記録係がメモを取り、撮影者はテストの様子を撮影しましょう。
最後に、ユーザーテストを行った後は振り返りを欠かさず行ってください。
全員のメモや考察を集め、記録し、写真やビテオと一緒にチームに共有しましょう。ビデオはユーザーテストの場に居なかったメンバーや上層部に提出するときに有用です。録画するときは、PCのスクリーンを収めることを意識しておくと安心です。
ユーザーテストで大切なのは、ユーザーの行動を観察することです。そのためには、できるだけ普段通りに振る舞ってもらうことが大切です。
では、観察する側はどういった点に意識を向けるべきなのでしょうか。
一言にまとめると、「ユーザーの発話を注意深く観察・記録し、行動や表情などをメモすること」です。
ユーザーテストは実際の利用時に近い状況を再現して、ターゲットユーザーが取った行動や発話を観察することで、課題や心理を抽出する手法です。
その際、重要になるのが「思考発話法」です。
思考発話法とは、思っていることを独り言として言葉を発してもらいながらテストをする方法です。これ行うことで、ユーザーの行動とそのときの心理を同時に把握することができます。ユーザー本人にとっては思考プロセスを自ら体系化しやすくなる効果があり、開発者は正確性の高いデータを得やすくなるというメリットがあります。
例えば、ファッション通販サイトのユーザーテストで、「〇〇ブランドのシャツを探して、気に入れば購入してください」というタスクを課したとします。その際の思考発話で、「ブランドはどこから探せるのかな?」「検索が使いにくい」「価格帯がバラバラだけど、ソートできない」などと漏らしたとします。
このように、行動と心理を同時に把握することで、サービスの課題を浮き彫りにできるのです。
ユーザーテストで集計した計測値を、種類ごとに整理し分析します。その際、あわせてテスト中のメモを注意して見直しましょう。
データは数字で表す定量データと、言葉などの定性データに分けて整理します。定量データには、タスク成功率やタスク所要時間、タスクエラー率、タスク満足度などがあります。定性データは、ユーザーがクリックした箇所やユーザーが体験した問題、コメントや提案などがあります。
データを評価するときは、テストで発見した問題に深刻度を点けてまとめていきます。深刻度の設定は以下のようにすると良いでしょう。
【深刻度の例】
ユーザーテストは改善箇所を発掘するためのものですが、こうして浮き彫りになった課題に優先度を付けることが大切です。より大きなウェイトを占めるトラブルから、効率的に改善を図りましょう。
ユーザーテストとは、ターゲットになる人の発言や行動を観察することで、「課題」や「ユーザー心理」を見つける方法です。
ユーザーテストのメリットは、ユーザー心理を理解できることと、他社サイトやプロトタイプのサイトでも実施できることでした。また、実施する時に気をつけるポイントは大きく五つあり、それぞれを押さえることでより確度の高い調査が実現します。
現在、自社の製品やサービスに伸び悩んでいる、他社サービスへの流入が著しいといった課題があるならば、ぜひ一度ユーザーテストを実施してみてはいかがでしょうか。
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