ユーザーはGoogle Play ストアのアプリページに来て7秒でアプリをダウンロードするか否かを決めます。したがって、ヘッダー画像とアプリのアイコンは非常に重要なASOの要素です。
ヘッダー画像はアプリのプロモーションバナーの役割を担い、ユーザーがストアページに来て、一番最初に目が入ります。特にAndroidユーザーはiPhoneユーザーに比べ、ストアページからアプリをダウンロードする傾向があるので非常に重要です。
マクドナルドのヘッダー画像
最適な1024x500のヘッダー画像をデザインする方法は様々です。アプリの種類やユーザー層、メッセージの伝え方によってデザインは異なります。競合との違いを訴求するのか、アプリの使いやすさや長所を訴求するのか、いずれにせよ最終的に重要となるのはアプリをダウンロードしてもらうことです。Google Play Consoleではヘッダー画像のA/Bテストを行うことができ、それぞれの画像でのインストールのコンバージョンを測ることができます。
競合のヘッダー画像を分析してみる
競合アプリのデザインを見ることで、デザインのインスピレーションを得ることができます。「Phiture」ではGoogle play ストアの33カテゴリでそれぞれトップ100に入るアプリのヘッダー画像を3,300枚まとめています。現状ヘッダー画像を分析できるツールはないため、端末から直接スクレイプし、スクリーンショットを取り、分析するしかありません。
Google Play ストアからヘッダー画像を取るためのスクリプト
カテゴリ別に下記のように分析しました。
- 動画を使っているか
- アプリのロゴやテキストを表示しているか
- 画像の種類、内容、主に使っている色
- その他関連する特徴
上記を分析することでカテゴリごとの傾向や共通点を把握することができ、ヘッダー画像を作る際に役立てることができます。
ヘッダーに動画を用いる
ヘッダーに動画を使うと、再生ボタンが画像の真ん中に表示されます。全カテゴリで見ても26%のアプリがプロモーション動画を作成していますが、ユーザーで動画を見ているのはたった15%です。しかもほとんどがゲームカテゴリのユーザーであり、その他のカテゴリではもっと低い値を示しています。
ゲームカテゴリではその他のカテゴリに比べプロモーション動画作成率が高く、実に74%のゲームアプリがヘッダーに動画を用いているのです。ユーザーは動画で実際にゲームをプレイしているところを見れるので、動画を好む傾向にあるのかもしれません。しかしながら、大半のユーザーは動画を見るよりも、まずはアプリをダウンロードして試す傾向があります(動画を見るよりダウンロードした方がデータ容量が軽い場合もあるため)。
動画はゲームカテゴリのヘッダーでよく使われる
ゲームの次に動画をよく用いているカテゴリは教育(45%)、仕事効率化(37%)、地図&ナビ(33%)です。逆に動画をほとんど使っていないカテゴリはライブラリ&デモ(2%)、美容(9%)、書籍&参考書(15%)です。
例えば「pdf createors(ライブラリ&デモ)」や「e-readers(本)」などはシンプルなアプリのため、ユーザーは動画を見るより先にダウンロードする人が多いです。また、動画より画像が重要な美容、コミック、フード&ドリンク、旅行&地域などは動画を使わないパターンが多いです。
ヘッダーに動画を使っているカテゴリ数
ヘッダー画像にロゴやテキストを用いる
ヘッダー画像にアプリや会社のロゴはどれだけ用いられているのでしょうか?ロゴがよく使われているカテゴリはスポーツ(53%)、住まい&インテリア(48%)、フード&ドリンク(48%)です。逆にロゴが使われていないのは、コミック(7%)、美容(8%)、アート&デザイン(9%)です。ショッピング(24%)、エンタメ(26%)、ツール(27%)では画像の真ん中に使われていました。
スポーツカテゴリでヘッダー画像にロゴを使っているアプリ
ヘッダー画像にロゴを使っているアプリ
ヘッダーはアプリのブランド力を高めるだけではなく、アプリの価値をアピールできる重要なスペースです。ヘッダー画像にアプリ名を入れているアプリの数と追加のテキスト(プロモーションなど)を入れているアプリの数を調べたところ、ほとんどのアプリがアプリ名を入れていました。ゲームカテゴリではほとんど全てのアプリでアプリ名を入れています。健康&フィットネスカテゴリではアプリ名に加え、多くの追加テキストも入れています。
アプリ名と追加テキストを入れているアプリ
健康&フィットネスカテゴリのヘッダー画像
ヘッダー画像の色と種類
ほとんどのカテゴリのヘッダー画像で使われているのは青で、次に緑、紫、赤の順に使われています。例えば通信カテゴリのヘッダー画像を並べて見ると青い画像が多いことがわかります。ファイナンス、仕事効率化、ツール、天気カテゴリなどでも青を使っていることが多いです。暖色系のヘッダー画像はフード&ドリンクカテゴリでよく見られます。また、美容カテゴリではピンクがよく使われています。
通信カテゴリでは青がよく使われている
画像の種類は一般的なグラフィックス、漫画、イラスト、写真、一色もしくは多色の背景画像の5つにカテゴライズされます。下記グラフはそれぞれの画像の種類が主にどのカテゴリで使われていたかを表します。
画像の種類と使われているカテゴリ
フード&ドリンクカテゴリや健康&フィットネスカテゴリなどでは実際の写真を見せることで、ユーザーへの訴求力が高くなるため写真がよく使われています。画像の種類はアプリの内容によっても変わってくるのです。ゲームアプリで写真が用いられることは少ないので、ヘッダー画像でも写真が用いられることは少ないでしょう。
フード&ドリンクカテゴリのヘッダー画像では写真が用いられることが多い
ヘッダー画像の内容
カスタマイズカテゴリでは、ヘッダー画像にスマホ、人物、景色などが用いられています(36%)。カスタマイズカテゴリでは個人のスマホをカスタマイズするアプリが多いからでしょう。
Googleではカスタマイズカテゴリを「壁紙、ライブ壁紙、待ち受け画面、ロック画面、着信音」と説明しています。ヘッダー画像にスマホを使う意味がわかりますね。その他通信カテゴリ(28%)、ファイナンスカテゴリ(27%)、ビジネスカテゴリ(25%)でもスマホの画像を用いています。
カスタマイズカテゴリではスマホの画像が使われている
人物をヘッダー画像に使うカテゴリは非常に限られており、美容カテゴリ(25%)、出会いカテゴリ(45%)がそれにあたります。美容カテゴリでは主に女性の画像を使っていて、出会いカテゴリではカップルか女性の画像を使用しています。
美容カテゴリでは女性の画像が用いられている
健康&フィットネスカテゴリやフード&ドリンクカテゴリでは食べ物の画像が用いられたり、自動車カテゴリでは自動車の画像がよく使われたりします。同じように旅行&地域カテゴリ、天気カテゴリでは景色や雲、空の画像が使われるのです。
ヘッダー画像の最適化
ヘッダー画像やプロモーションバナーはGoogle Play ConsoleでA/Bテストをする際のコンバージョンを測る上で重要な要素になります。Googleも「ヘッダー画像は最優先でテストすべき」と言っているほどです。アプリの説明やスクリーンショットもコンバージョンにインパクトを与える要素ですがヘッダー画像はもっとインパクトがあります。 ヘッダー画像を分析する上で気をつけたいことは、
- 良い事例を見つける:あなたのアプリが属するカテゴリや他のカテゴリの良い事例を見つけ何がいいのか考えましょう
- 目立つか染まるか:ヘッダー画像の文字を大きくするなどして目立つことはできていますか?もしくは良い事例の真似をして良い事例に染まった方がしっくりきますか?
- 期待に答える:どんな画像を使いますか?その画像はユーザーが見たい画像ですか?
- 動画を入れる入れない?:動画を使う必要はありますか?動画を使うことでヘッダーにインパクトは出ますか?
- ヘッダー画像以外の要素:Google Play ストアのデザインやアイコン、スクリーンショットという要素と共にどのようなヘッダー画像にすればオリジナリティを出せますか?
- 訴求力:競合はどのような訴求メッセージですか?どんなメッセージがあなたのユーザーに刺さりますか? ヘッダー画像はロゴ、大きめのテキスト、他と違う色などを使うことで他と差別化することができます。
ヘッダー画像に使う画像はあなたのアプリと関連するものでなければいけません。しかしながら、画像は写真がいいのか、グラフィックがいいのか、スマホを入れるべきか入れないべきかなどは競合分析から決めることになります。
競合のストアページはどのようなページなのか、他のカテゴリのアプリから活かせるアイディアを見つけてみてください。そうすることであなたのカテゴリではどんな方法が効くのかわかり、そして競合より目立つことができダウンロードが増えるでしょう。
この記事は、 App Store Optimization Agency社のブログ" What analyzing 3,300 Feature Graphics has taught us about Google Play Store ASO"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on App Store Optimization Agency in English under the permission from the author.