App Storeのプレビュー動画の効力はまだ未知数ですが、効果を発揮できれば新規ユーザーの獲得に大きく貢献するだろうといわれています。しかし、ただやみくもに動画を作成すればいいというものではありません。プレビュー動画はCVを飛躍的に高められる可能性がある一方で、内容によっては潜在顧客を失ってしまう可能性もあるのです。
当然のことですが、プレビュー動画のCVは、動画のクオリティが大きく影響します。また、アプリの種類によって用意するべき動画の内容も異なるのです。
プレビュー動画でCVを確実に向上させるためには動画を正しく最適化し、CVを高められるという確信をもってから、プロダクトページをアップデートする必要があります。そのためにはA/Bテストをおこない、最も効果の高い動画を掲載しましょう。
この記事では、A/Bテストを含めた実際の動画制作の経験をもとに、ベストなプレビュー動画の作成に役立つ秘訣をご紹介します。
スクリーンショットと同じ画像・キャプションは避ける
プロダクトページやスクリーンショットですでに使われている画像やキャプションを、プレビュー動画では使わないことで、CVを高めることができます。これは簡単かつ効率のいい方法で、App Storeの閲覧者を飽きさせないようにするのに効果的です。
実際に行ったA/Bテストでは、スクリーンショットのキャプションをプレビュー動画にも重複して使ったことで、CVRが5%低下してしまいました。プロダクトページでは、ユーザーにどれだけ見てもらえるかがとても重要です。同じような情報の繰り返しを避け、アプリのさまざまな特徴を見せることで、エンゲージメントを高めることができるでしょう。
動画は20秒までにする
プレビュー動画は、20秒以内の長さに収まっているものがより高いCVRを獲得している傾向にあります。20秒という短い時間の中で明確かつポイントを抑えた動画にするためには、小さくて読みにくいテキストや、重複したスクリーンショットは避けましょう。
「FFStudio」は、ゲームアプリ『Bombastic Brothers』のプレビュー動画でA/Bテストを行いました。すると、長さ15秒の動画が最も良い結果を出し、CVRが16.9%も向上したのです。比較した他の動画はどれも20秒を超えており、次に良い結果を出した動画でも、CVRの向上は15秒の動画と比べると半分以下に留まりました。
コア機能の紹介から始める
プレビュー動画ではアプリの詳細な説明から始めるよりも、まずアプリやゲームのコア機能を紹介して強い第一印象を与えるといいでしょう。アプリの詳細はその後で説明するようにしてください。
Facebookのフィードに出てくる広告と同じように、プレビュー動画も検索結果画面をスクロールするだけで簡単にスキップできてしまいます。スキップされず、ユーザーに動画を観てもらうためにも、最初の数秒でできるだけ視覚的なアピールを含めて見せると効果的です。
まずはひと目でどんなアプリなのかが簡単にわかるようにすると良いでしょう。読みやすいテキストも、ユーザーからの第一印象を良くするのに効果的です。下の画像では、テキストを有効的に使用しています。これよりもテキストが小さいと、読みづらくなってしまうでしょう。
動画を2本に分ける
アプリのさまざまな機能を見せたい場合は、それぞれの機能に対してプレビュー動画を作るといいでしょう。30秒の長い動画を1本作るよりも、それぞれ異なる機能を紹介した短い動画を2本作る方が高いCVRを期待できます。
動画を3本使うのは避ける
プレビュー動画を3本使うのは、あまり効果的ではありません。プレビュー動画が3本あるアプリが、動画が1本もしくは2本のアプリよりも高いCVRを獲得したという例はないのです。動画の数を増やすよりも、アプリの内容と機能がわかりやすく、魅力的な動画を2つ用意した方が効果が期待できるでしょう。
「Zimad」による3つのプロダクトページのA/Bテストを例に見てみましょう。ぞれぞれプレビュー動画の数が異なるページをテストした結果、動画が2本のページが最も良い結果を出し、CVRを11.5%改善することができました。
動画1本のページが次点で、動画3本のページではCVRが9.3%も低下してしまいました。
ポスターフレームは慎重に決定する
スクリーンショットを補うポスターフレーム (動画が再生されていない時に表示される、動画から抜粋された画像) も重要な要素の一つです。プレビュー動画は自動的に再生されるため、ポスターフレームの重要性は軽視されがちですが、ユーザーの目に必ず留まるものなので十分に考慮する必要があります。
ポスターフレームはプレビュー動画の1コマでなくてはなりません。そのため、動画制作と同時進行で、ポスターフレームを検討してください。
1本目のプレビュー動画のポスターフレームは、次の場合に表示されます
- App Storeの検索結果で、プレビュー動画の再生が始まる前。短時間ではありますが、ほとんどのユーザーが、十分に気付く長さです (実際にApp Storeで試してみてください)。
- 検索結果で、前もしくは次のアプリのプレビュー動画が再生されている間。下の画像のように、『Candy Crush』の動画が再生されている間は、『Jelly Splash』のポスターフレームが見えています。
- プロダクトページで、プレビュー動画の全体が表示される前。
- インドと中国でのApp Store。
- ユーザーが自動再生をオフにしている場合。
動画の向きは熟慮した上で決定する
プロダクトページに縦向きのスクリーンショットがある場合には、プレビュー動画も縦向きで作りましょう。縦向きのスクリーンショットを使用している場合に横向きで動画を作成してしまうと、プロダクトページの最初の画面で動画が表示されず、動画をあまり見てもらえなくなってしまうからです。しかし、あえて縦向きのスクリーンショットと横向きの動画を組み合わせることで、検索結果でのタップ率やアプリのLPのCVRを改善することもできます。
つまり、プレビュー動画の向きを決定する前に、何を優先するのかをはっきりさせておく必要があるのです。
- オーガニックトラフィックに頼っているのであれば、横向きのプレビュー動画を試すことで、検索結果でのタップ率改善に繋げることができるので効果的です。
- 有料トラフィックに集中しているのであれば、スクリーンショットとプレビュー動画の向きを統一し、ユーザーが動画をすぐに見れるようにしましょう。
全ての情報を区別しやすくする
動画をミュートで観る場合でも、大きいキャプションなどを使い、ユーザーが内容を理解できるようにしてください。
プレビュー動画が、自動再生される際は無音になります。そのため、音声での説明にはあまり頼らず、映像だけで内容が伝わるように作成してください。
「Apple」のガイドラインを把握する
ガイドラインをしっかりと把握しておきましょう。承認される可能性が低そうなものを試みる場合には、バックアップのプランも用意しておく必要があります。以下にガイドラインを簡単にまとめました。
- 動画は、15〜30秒の長さでなければなりません。
- 動画の中で、そのアプリ以外のUIを使うことは禁止されています。アプリ内で撮影されたスクリーンショットのみを使いましょう。
- アプリ内購入をした場合のみ利用できる機能を見せる場合には、それがアプリ内購入によって利用可能になるということを明示する義務があります。
- 動画の内容は、4歳以上の人に適切である必要があります。
- アプリケーションに不適切なコンテンツ、不快なコンテンツ、無神経なコンテンツ、動揺させるコンテンツ、嫌悪感を与えるコンテンツ、極めて悪趣味なコンテンツを含むことはできません。
- 新しい動画やポスターフレームをアップデートする場合には、アプリ自体もアップデートする必要があります。
- App Storeでのプレビュー動画は、デバイスに対応した解像度である必要があります(下記画像参照)
「Apple」のガイドラインは今までは非常に厳格でしたが、最近、若干緩和されました。App Storeを見てみると、以前なら絶対にリジェクトされていたような動画が見つかります。
アプリの魅力を隈なく伝えるために必要であるなら、ガイドラインの境界線を探りながら動画を作成するのもひとつの方法かもしれません。しかし、「Apple」の審査は、今でも一人ひとりの手で行われており、主観が入ってしまいます。そのため、必ず審査に通るかどうかを知るのはほぼ不可能です。
このような理由から、もし動画で実験的なこと (短いアニメーションを入れる、ゲームプレイに特殊効果を施すなど) をする場合には、「Apple」に一度却下されて再度作成が必要になったときのためにバックアッププランを用意しておく必要があるのです。
注目を集めることに集中する
プレビュー動画は、A.I.D.A.モデル (注意:Attention、関心:Interest、欲求:Desire、行動:Action) を満たすように作ることが大切です。そのため、動画を作る上で、どうすれば動画への注目を集められるかを優先的に考える必要があります。
先述したように、プレビュー動画は、どんな動画でもただアップロードするだけで高いCVRを保証してくれるものではありません。しかし、アプリに適したプレビュー動画を作るためであれば、投資する価値は十分にあるのです。
この記事は、SplitMetrics社のブログ"10 Insights into Creating Pitch-Perfect App Preview for Apple App Store "を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on SplitMetrics in English under the permission from the author.