2020.06.03
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本記事は、2018年4月24日に開催した「アプリ広告における不正事業者の手口とは?正しいデータで実現するプロモーション改善とLTV最大化」でのアドフラウドについての発表内容を元にしたイベントレポートです。
最新の広告不正の状況についてのアップデートをベースに、不正の手口を理解した上で、どのように不正対策を行い、正しいデータに基づいたプロモーション改善とLTV最大化を実現するのかを「AppsFlyer」のカントリーマネージャー、大坪氏にお話しいただきました。
アドフラウドとは、無効なインプレッションやクリックによって広告費用に対する成約件数や効果を不正に水増しする不正な広告のことです。別名、広告詐欺や広告不正とも言われています。
アドフラウドには様々なタイプがあり、例えばプログラムを悪用した手法やユーザー行動に合わせて自動リロードを引き起こす仕組みを仕込んでいるもの、システムの脆弱性をついたものなどが存在します。もちろん、各広告配信プラットフォームは対策を進めてはいますが、新しい手法が生み出されており根絶するのは難しいのが実情です。
それでも各社がアドフラウド対策は進めており、最近では2019年4月にヤフー社がアドフラウド対策として約5,900件もの広告配信面を停止したというニュースが話題になっています。
現在、グローバル平均値で約12%が不正な広告だと認識されており、日本でもその数は昨年度から30%も増加しています。また、57%の広告が新しいテクノロジーを利用したものであることからも、アドフラウドそのものが日々進化していることが分かるのです。
アドフラウドによる経済被害上位5カ国
アドフラウドによる経済被害が大きい国の4位に日本が入っていますね。21万ドル (約23億円:2018年5月現在) というのは2018年の1月と2月だけの数字ですので、単純計算で考えると2018年の被害総額は120億になります。ただ、今後さらにアドフラウドが増えていくと予想されますので、被害額はもっと増えて150億くらい、もしかしたらそれを上回る可能性もあるかもしれません。
アドフラウドが多い国はCPIが高い、または人口が多いという特徴を持っています。先ほど紹介した被害が大きい上位5カ国を見ると、アメリカや日本、イギリスはCPIが高く、インドやインドネシアは人口が多いことがわかる。つまりこのどちらかが高いと狙われることになるんです。
上の図は現在のアドフラウドの種類と傾向を表したものです。この図からは、去年の夏と現在とではトレンドが大きく異なることがわかります。去年の夏に最も多かったのが端末養殖場です。(デバイスファーム)
「AppsFlyer」は地球上に存在するモバイル端末の98%の端末IDをデータベースとして持っています。そこで私たちは端末養殖場を端末単位でブロックすることでアドフラウドの数を減少させることに成功したのです。しかし、今度はボットが急増し、トレンドになってしまいました。
私たちもボットへの対策は積極的に進めているので、弊社SDKを利用いただいているクライアント様へのボットの影響は減少しつつあると思いますが、オープンソースで作られたSDKを利用している場合、SDKなりすまし (SDKスプーフィング) の被害を受ける可能性が高く、十分な注意が必要です。
ここからはアドフラウドの種類について説明します。
次の大きく6つのカテゴリーに分けることができます。
クリック洪水は、ユーザーが踏んだ広告にかさ増ししたものをパブリッシャーが広告主に渡すことです。パブリッシャーはどの端末IDが広告を踏んだのかわかるようになっています。つまり、その仕組みを利用してAの広告しか踏んでいないのに、BからZまで踏んだかのような情報を渡すことがクリック洪水です。
例えば、ユーザーがAという広告を踏んだとします。数日後、友達からBというアプリを勧められ、アプリストアでDLしました。そのアプリがとても面白かったので、ユーザーはいくらか課金をしました。すると、Aを踏んだ時点でタグ付けされているので、この成果が全て不正業者に紐づいてしまうのです。
様々な広告を踏んだように見せかけるために、広告を一つ踏んだ瞬間にその端末IDをあちらこちらへと拡散します。管理画面を見れば、広告を踏んでからインストールまでに何日もかかっていることがすぐにわかります。タグ付けされたそのユーザーがいつストアに行くかなんてわからないですよね。明日かもしれないし、7日後かもしれない。だからずっと、ちょっとずつ続きます。この点がポイントです。
例えば、Facebook広告をクリックして、DLが始まったとしましょう。クリック洪水はDLが始まると、割り込んで成果を奪う仕組みになっています。マルチタッチで流入経路を見ていればすぐ異常に気づきますが、ラストクリックだけを見ている場合はなかなか気づくことができません。
クリック洪水は、CTIT (Click to Install Time: クリックからインストールに到るまでの時間) が非常に短いという特徴を持っています。一般的にアプリのCTITは約1分?1分30秒ほどが多いと思いますが、クリック洪水はインストールが始まってから割り込んでくるのでもっと短いのです。この点に注視しましょう。もし、利用されているツールでCTITを計測できるのであれば、目を光らせて確認してみてください。
インストールバリデーションとはインストールが実際に行われているかどうかを検証できることを指します。Appleと連携しているツールであれば、インストールごとに有効か無効かを判断し、無効の場合は成果を認めないと判断されます。
現在、もっとも勢力を奮っているのがボットです。実際は発生していないインストールに対して、クリック、インストール、アプリ内イベントを送信します。不正事業者はこれをモバイル上ではなく、サーバー上で行っているのです。
その中でも特に、SDKスプーフィング(なりすまし)と呼ばれるものの被害が急増しています。SDKスプーフィングを働く不正事業者は、アプリ(アプリA)に不正のコードを仕込み、別のアプリ(アプリB)になりすますことで、アプリBで利用されているアトリビューションツールに実際には発生していないクリックやアプリ内イベントを大量に送り付けるのです。つまり騙された広告主は、実際には全く発生していない成果に対してお金を支払ってしまっています。
オープンソースで作られているSDKの場合、コードが偽装されやすいため、スプーフィングの被害にあう確率が非常に高くなってしまうので注意してください。
行動異常は非常に多くのデータを持っているSDK以外は見抜くことができません。多くのデータを持っていれば、図のような異常に気がつきやすいです。
端末養殖場は、一つの端末で、端末IDをリセットすることで複数の端末からインストールがあったかのように見せかける行為のことを指します。
クリック洪水や端末養殖場によって、偽造された効果を偽物だと気が付かない限り、無駄な予算をどんどんつぎ込むことになってしまいます。この“恐怖のサイクル”に陥らないよう、マーケターは注意しなくてはなりません。
また補足になりますが、マーケターが意識すべき問題はアドフラウドだけには留まりません。具体的には、以下の2つの要素も考慮する必要があります。
大規模な広告配信を利用すると、場合によっては意図しない配信先に広告が露出してしまう可能性があります。もしかしたら、あなたのサービスに興味がないユーザーの集まるアダルトサイトで大量の広告が配信されているかもしれません。
意図しない広告の配信は、ブランド毀損のリスクが増加する恐れがあります。実際に、2016年にはユニリーバ・ジャパン社が、意図せぬ形で大手動画配信プラットフォームで配信されたある政治団体を支持した番組内で広告が配信されてしまい、SNSなどで炎上してしまいました。
他にも、海外でブランド毀損に繋がった事例は数多く発生しています。SNSが発達した現代において、ブランドイメージを下げてしまうUGC(User Generated Contents)によって被る影響は計り知れません。
悲しい実態として、ユーザーが配信された広告を閲覧したかどうかわからないという問題があります。特に、広告のインプレッション数に応じて課金される媒体を利用しているのであれば、表示された広告をユーザーが見れないことはコスト面でみても由々しき問題です。
2014年のGoogle社の調査では、自社が提供するディスプレイネットワーク広告において、視認不可な状態での広告配信が全体の56%であったことが報告されています。半数以上の広告がユーザーに伝わっていないという非常にショッキングな内容となったのです。
また、スマートフォンはディスプレイがコンパクトであるため、広告のビューアビリティが相対的に低いという問題もあります。アプリマーケターは、広告がユーザーに適切に届き、閲覧できるような配信がなされているのかビューアビリティを高水準で保つことが求められるのです。
一口に計測ツールといっても、どれを利用するべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。常にニュートラルな数字で測れるように、必ず広告効果計測を専業で行っている会社の計測ツールを選んでください。
上記でもお伝えしましたが、問題は「アドフラウド」だけでなく、「ブランドセーフティ」と「ビューアビリティ」という合計で3つの観点を持って、対策を進めていく必要があります。
この3つに代表される広告の価値毀損を解決するためのソリューションとして近年注目を集める「アドベリフィケーション」についても考慮してツールを選定することが求められるのです。
アドフラウドは今後も増え続けることが想定されます。多くのアプリマーケターがASOや広告施策のユーザー獲得について目を向けがちですが、その獲得施策に無駄やリスクがないかについても考慮すべきです。
オープンソースで作られた不正に対して脆弱な計測ツールではなく、大量のデータから不正を正確にブロック・検知できる計測ツールを利用してアドフラウドを防ぎ、効果的なアプリマーケティングを行いましょう。
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