「誰も」というのは言い過ぎでした。このスキルについて言及している人も何人かいます。しかし本来もっと注目されるべきである重要なステップであることには間違いありません。このステップを踏まずにグロースハッカーは結果を残すことはできないのです。というわけで、目標設定についてデイリー・ディスカッションをしたいと思います。
目標設定 - グロースハッカーのアプローチとは?
たくさんの自己啓発本に書かれているように、目標設定は重要です。それらの自己啓発本に書かれていることと異なるのは、グロースハッカーが用いる目標設定へのアプローチは成功か失敗のどちらかを得るという点です。
2015年の1月にGrowthHackers.comのオーガナイザーであるSean EllisとMorgan Brownは42分44秒も時間をかけて下記のような目標設定の素晴らしさを説いていました。
- 目標設定がなぜ効果的か(聞いたことのある話に聞こえますが、彼らは全く新しい次元の話をしました)
- 目標設定を誤るとどうなるか
- グロースハッカーのように目標設定する方法
目標に届かないことが成功よりも良い場合がある
私の所属するQualaroo社のチームも目標を設定していました。認知を加速させ、提供しているソフトウェアを選んでもらうようにするというものです。この目標を達成するために、彼らは無料版の機能強化という施策を思いつきました。
これは完全に失敗でした。無料版の提供数は彼らの予想よりも上向きになりませんでした。目標には届きませんでしたが、彼らは次のような有益な結論を得ることはできました。顧客は価格に敏感なわけではなく、もっと多くの金額を支払う可能性があったのです。彼らは価格を引き上げる(さらに新機能も追加する)ことによってより効果的に収益を上げる機会を見つけました。
それでも失敗は恐ろしい
目標を設定することを恐れるもっともな理由があるのもわかります。大抵の場合、目標は上司に宣言するものなので、彼らの期待に添えなかったときは職を失ったり、昇進できないといった結果になるからです。しかし目標設定のアプローチはそういったもの以外にもあります。Sean EllisやMorgan Brownが目標設定するとき、彼らは仮説(教養に裏打ちされた推測)を立て、それが仮説を実験するフレームワークとなるのです。成功は学習量によって決まります。
目標設定
あなたが毎日しなければいけないことは山ほどありますし、「緊急度高」のラベルがついたメールがデスクトップを飛び交っています。緊急度の高いものが本当に重要なことは滅多にないですが、あなたの時間の大半を奪うのはそういったメールですし、あなたを本来の目的から遠ざけるのです。明確にリストアップされた目標を持つことで何が重要かを把握することができます。では、どうやって優れた目標設定をすればいいでしょうか?目標は以下のようである必要があります。
- 明確である
- 計測可能である
- (不可能ではない程度に)チャレンジングである
「ベイビーステップ」の目標を持つことでチームが成功体験を得ることができますし、大きな目標に向かうまでにチーム全員のモチベーションを保ち続けることもできます。モチベーション管理は成功を左右する重大な要素です。SeanとMorganはこれを「脳をハックする」と呼んでいます。
悪い目標と、その認識方法
悪い目標設定もありますし、あなたもやってしまったことがあると思います。(新年の目標を守れたことが何回ありますか?)悪い目標設定とは以下のようなものです。
- 目標が曖昧で根拠に乏しい。
- 目標を達成することしか考えていない。 設定した目標には自分でも気づかない欠点があるかもしれません。ときどき「この目標を達成した場合に起こりうる最悪のことはなにかあるだろうか?」と自分自身に問いかけ、その欠点を埋められる可能性がある2つ目の目標を設定しましょう。
- 融通が効かない目標になっている。新しい情報が入ってきたときに調整できる余地が必要です。
- 目標が多すぎる。目標設定が劇的にモチベーションを生み出すと思っている人もいるようですが、そんなことはありません。一度に達成可能なゴール1つか2つに集中したほうがいいでしょう。
- 不可能な目標設定をしている。モチベーションを上げることが目的ですが、実際は真逆に作用します。厳しく大胆な目標を掲げるのと不可能な目標設定をするのは異なります。困難な目標によって実力以上の力を出したいとは思いますが、失敗したくはないでしょう。
- 虚栄の指標で成功を測っている。特定のアクションに結びついた指標が必要です。成功と同様、失敗も明確に定義しましょう。
グロースハッカー的な目標設定の例
グロースハッカーの目標設定フレームワークは下記に基づきます。
- しっかりした仮説を立てる
- KPIを選択する
- 目標を決める
- 施策実行する
- 進捗をトラックする(必要に応じて施策を調整する)
- 共有・シェアする(結果を全員に知らせる)
目標設定の際にすべきToDoリストの最終ステップは、結果が成功でも失敗でも得たものを共有することです。会社のメンバー全員にSlack、Hipchat、ウィークリーのEメール、社内のダッシュボード、ポスター、ランチ、勉強会などを通じて共有しましょう。進捗達成のたびにお知らせするのもいいでしょう。(良いお知らせを受け取りたくない人などいるでしょうか?)
サービスの成長は全員が目標に対して一丸となったときに最もうまくいきますが、マーケターの35%は検証やグロースハックの結果をチームに共有していません。全員を共通の目標に向かわせモチベートするために、全てのことを共有しましょう。本当にすばらしい目標設定、つまり明確かつ測定可能でチャレンジングだけれども達成可能な目標設定ができれば、自社のことやターゲットとしている顧客について今まで知らなかったことが発見できるでしょう。さあ、目標設定して全員を巻き込みましょう。これがあくまで実験だということは忘れないでください。失敗しても有益な学びになるということです。
この記事は、Nichole Elizabeth DeMeréのブログ”Have You Heard About The Growth Hacking Skill No One’s Talking About?”を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on Nichole Elizabeth DeMeré’s blog in English under the permission from the author.