この記事では、Search AdsにおけるCPT入札がどのように行われているのか、またSearch Adsで採用されているセカンドプライスオークションの仕組みについてご紹介します。
iOSアプリの開発者Lukáš Petr氏が執筆した、Search Adsにおける有益なCPTの計算方法についての記事を読み、「Incipia」は、Search Adsが採用しているセカンドプライスオークションによって、この計算で割り出した最大CPT入札額を設定したとしても、実際に支払う額はそれを下回るのではないかという点に着目しました。
この計算方法を実施した結果、広告キャンペーンはほとんどインプレッションを獲得できず、得られるタップ数とインストール数も少なくなる可能性があることがわかりました。これは、広告のインプレッションシェア数が低下すると言い換えることもできます。
もし、入札したキーワードに対して、App Storeにおけるその入札キーワードの検索回数が1,000,000回で、実際に獲得したインプレッション数が10,000であった場合、インプレッションシェアは「10,000 / 1,000,000=1%」である、という計算です。
よりロングテールで、競争がゆるやかなキーワードを見つけることができたなら(「ゲーム」ではなく「幼児向けゲーム」など)、CPT入札額が低くても、十分なインプレッションシェアを獲得できるチャンスがあります。しかし実際には、検索ボリュームが高いキーワード(「ゲーム」など)において、広告を表示するための最低CPT入札額が表示されるのです。ASOにおいても同様で、検索結果にランクインするアプリが少ない、ロングテールなキーワードを使うことで、インプレッション数の増加に繋がります。
Search Adsは、Google AdWordsと同様、セカンドプライスオークションを採用しています。このことから、CPT入札額を決定する上で、以下の3つのポイントを考慮しましょう。
設定した最大CPT入札額よりも高額にはならない
設定した最大CPT入札額よりも高い入札額を支払うことはありません。例えば、最大CPT入札額を$0.5に設定した場合、1タップあたり$0.5を超える金額を支払うことはないです。これは、設定した最大CPT入札額が$0.5であった場合、CPTが$0.5を超えるオークションには、参加資格が得られないためです。
実際に支払う金額は広告ランクによって変動
オークションで勝った場合、実際に支払う金額は次点の広告主の広告ランクに基づいて決まります。そのため、支払うことになる金額が設定したCPT入札額よりも低い金額になることもあります。
基本的には、ユーザーがキーワード(「レースゲーム」など)を検索するたびに、そのキーワードに入札しているアプリの広告が検索オークションに参加します。それぞれの広告には品質スコアが付けられ、品質スコアとCPT入札額によって広告ランクが設定されるのです。この広告ランクによって、どの広告を検索結果に表示するかが決定します。
このオークションで勝つには、競合よりも高いCPT入札額を設定する必要があり、入札するキーワードに対して、他のアプリの広告がどれだけの金額(最大CPT入札額などから決定されます)を支払うかによって実際に支払う金額は変わってきます。
あるキーワードに対して入札するアプリの広告が少ないほど、実際のCPTは低くなります。実際に支払うCPT(例:$0.25)と最大CPT入札額(例:$0.5)の差はヘッドルーム(例の場合 :50%)と呼ばれ、ヘッドルームと実際のCPTはインプレッションごとに変化します。これは、それぞれのインプレッションによって、競合の広告ランクなどにわずかな違いが発生するためです。
Google AdWords広告では、1つのページに対して複数の広告が表示されることがあるのに対し、Search Adsの場合、1つの検索結果のページに表示される広告は1つだけです。つまり、広告を表示する競争率が高くなるため、支払わなければならない金額は、平均的なGoogle AdWords広告のオークションよりも、Search Adsの方が高くなることが予想されます(ネット広告の中で最も高額なのは、Google AdWordsで最も表示回数の多い広告だと言われていますが、一般的にGoogle AdWordsは、それよりも低い金額になります)。
広告ランクの仕組みは非公表
具体的にどんなものが広告ランクに影響を与えるのかは公表されておらず、その中にはさまざまな要素(アルゴリズムと呼ばれている)が含まれていますが、最も強い影響力を持つのは、最大CPT入札額と、TTRの2つです。最大CPT入札額×TTR=広告ランクと考えることもできます。
「Apple」は、それぞれの広告に品質スコアが設定されていることを公表しており、品質スコアには以下の2つの目的があります。
- キーワードとの関連性が低いアプリの広告、もしくはスパム広告の表示を防ぐ
- 品質が高い広告に対する広告費の負担を少なくすることで、予算が多い企業の広告の独占を防ぐ
以上のことから、アプリが、かなり順調にマネタイズできていない限り、有益なCPT入札額は、広告を表示させるには低すぎる金額になると言えます。そのため、まずは有益なCPT入札額で入札を始め、予算とインプレッション数を比較しながら、徐々に入札額を上げていくことを推奨します。
また、以下のようなポイントも同時に考慮する必要があります。
- 十分な広告予算がない場合(もしくは1日あたりの制限を超えている場合)、たとえ高い広告ランクを獲得していたとしても、オークションに参加する資格はありません。
- ユーザーセグメント(例えば、仕事効率化アプリを検索するニューヨーク在住ユーザーをターゲットにする場合、同じキーワードで検索しているミネソタ在住ユーザーに広告を表示する資格がありません)。
- マッチタイプ(検索マッチ、完全一致、部分一致、除外キーワード) ・最大CPA入札額が設定されているかどうか(CPAを低く設定すると、インプレッションシェアを低下させる恐れがあります)。
この記事は、Incipia社のブログ"How CPT Bid and the Apple Search Ads Auction Works"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on Incipia in English under the permission from the author.