2017.11.09
関連する記事
おすすめのお役立ち資料
Repro株式会社が制作した独自の市場調査資料、ホワイトペーパー、お役立ち資料です。
ほかでは知ることのできない貴重な情報が掲載されているので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
株式会社Housmartの提供するマンション購入サービスアプリ『カウル』は、2017年6月にアプリの大幅リニューアルを実施し、その際に『Repro』を導入しました。エンジニア5人、デザイナー1人の6人のチームで開発を行なっており、開発のほぼ全ての時間をグロースハックに費やしています。グロースハックを実践するに当たって、『Repro』の定量・定性分析機能、プッシュ通知とアプリ内メッセージ、グロースハックに必要なノウハウを活用し、チュートリアルの突破率の改善や、マジックナンバー分析に基づいたお気に入り率の改善など様々な施策を実施。その結果、アプリリニューアル後3ヶ月でリテンション率が平均で6〜7%増加し、見学の申請数が2倍に増えるという成果を上げています。
「かしこく家を買う」をコンセプトにした不動産サービスアプリ『カウル』を運営。それぞれのお部屋の詳細情報には人工知能によって算出された推定相場が表示されているため、相場よりも安価で売りに出されているお部屋を見分けることができるのが特徴。物件の見学もアプリから簡単に予約することができ、見学時の案内から購入時の契約サポートまで、全て『カウル』のスタッフが対応してくれる。また、購入の際の仲介手数料が一般の不動産業者と比べて半額で済むというメリットも。
グロースハックという言葉は2010年頃にアメリカの企業家ショーン・エリスによって提唱され、日本でも2014年ごろからバズワード的に流行ってきました。その結果、名称そのものは有名になったものの、その定義や理解は人によって曖昧です。本来のグロースハックの意味はすごく広いのですが、ここではイメージしやすくするため、弊社でのグロースハックの定義をご紹介します。
弊社は現在、6人のチームで開発を行なっています(エンジニア5人、デザイナー1人)。
スタートアップであっても大企業の新規プロジェクトであっても、同規模のチームでの開発プロジェクトは大きく2種類に分類されると考えています。
1つは、戦略的な機能追加など今存在しないものを作り出すような「プランが先にある」開発。もう1つは「既存の仕組みのボトルネックを特定してそれを解消する」開発や施策です。私たちのチームでは後者の「ボトルネックを解消する」開発や施策をグロースハックと呼んでいます。
この2つをきちんと分けて認識しておかないと、闇雲に新機能開発を行なってしまい、せっかく作った機能がユーザーに理解されないまま使われず、結果的にサービスが思う様に伸びていかないという悪循環に陥ってしまいがちです。
その負のスパイラルを避けるには、グロースハックの定義を整理した上で、その重要性を理解し、正しく実施していくことが欠かせません。
グロースハックの実践に必要なものは、非常にシンプルだと思います。
リソース
前提として、チームがグロースハックの重要性を認識し、そこに人や時間、ツールなどのリソースを投下できる環境を作る必要があります。現在のプロダクト開発では短期間でサービスを成長させる必要があり、グロースハックの重要性は高まるばかりです。空いた時間や片手間にやろうというスタンスではなく、明示的に一定以上のリソースをかける必要があります。
『カウル』では現状、サービスの状況もありますが、開発のほぼ全ての時間をこのグロースハックに費やしています。
ユーザーストーリー
ユーザーストーリーも事前に定義しておく必要があります。グロースハックの実践 においてはユーザーストーリーをステップ毎に分解して、どこにボトルネックがあるかを特定していくことになるので、まず大元となるユーザーストーリーがなければいけません。
『カウル』の例でいうと、新規ユーザー登録→初回チュートリアル突破→部屋の提案を見る→お気に入り→部屋の見学→購入申し込み→契約 のような流れを最初に定義していました。
このステップのどこでユーザーがつまずきやすいかを分析し、そのユーザーを次のステップに進めるように施策を打っていくことになります。ステップ自体は足りなければ細かくしていくことは可能なので、最初はユーザーが絶対に通るステップだけを定義して始めるのがシンプルで良いと思います。
KPIツリー
プロダクトの開発や改善を実施していく上で、どの数字を上げるとビジネスにどのようなインパクトがあるのかも事前に把握しておく必要があります。整理するためにKPIツリーを書きましょう。
『カウル』の場合はまず、「アクティブユーザーの見学率」を追うべきKPIとして設定しました。
グロースハックのノウハウ
グロースハックを進める上でのフレームワークや具体的な実施方法に関するノウハウもおさえておきましょう。一例としてAARRRモデルは、新規ユーザーの獲得からそのユーザーが収益に貢献するに至るまでの成長サイクルを体系化したモデルとなっています。
また、どのような環境を用意して、どのようにボトルネックを特定し、どうやって具体的な施策に落とすかも、グロースハックを適切に進めていく上ではとても大切です(詳しくは後述します)。
分析環境
各ステップのどこにボトルネックがあるのかを特定するために現状を分析できる環境を作りましょう。分析には定量情報と定性情報の両方を用いるので、どちらも合わせて取得できる必要があります。
定量情報の分析にはサイトやアプリ内の行動を細かくトラッキングし、それを様々な角度で分析するための基盤が必要です。定性情報はユーザーヒアリングやユーザーインタビューなどを通して集めていくことが一般的です。
ここまで揃ったら、いよいよグロースハックを実施できます。実際の作業は以下のプロセスに従って行います。
1. グロースさせるKPIの決定
まず、ユーザーストーリーとKPIツリーから、そのプロダクトが最もグロースさせたいKPIを決定します。
2. データ設計&計測
KPIを設定したら、そこに至るまでのユーザーのステップ、主要なアクションを計測できるようデータ設計をし、計測ポイントをプロダクトに実装していきます。
3. 分析&ボトルネックの特定
数週間後、ある程度データが溜まったらデータを分析します。どのステップでユーザーが多くドロップしているかを見ていき、そのステップの周辺でユーザーのボトルネックになっている事象を探していきます。機能の使い方がわからずに離脱してしまっていることもあれば、バグがあってその先に進めないこともあります。
4. 施策の検討
ここまで来て、ようやく具体的な施策を考えることになります。例えば、機能の使い方がわからない場合は、その説明ができる様な通知を出したり、デザインを見直して一目で使い方がわかる様に改修するのが効果的な施策となります。時には補助的な機能の開発をすることになるかもしれません。
5. 施策の実施
4.で検討した施策を実施します。
6. 施策の効果検証
施策を実施したら、数週間後に効果検証をします。
その結果、ボトルネックが解消されていたら3.分析&ボトルネックの特定に戻り、次に解消すべきボトルネックを特定しにいきます。もしボトルネックが解消されていなければ4.施策の検討に戻り、別の施策を検討することになります。実際には施策から効果検証まで時間があるため、複数の施策が並行して走ることになります。
また、グロースさせたいKPIを十分にあげることができたら1.グロースさせるKPIの決定に戻って再度グロースさせるKPIを設定し直します。『カウル』の場合はスプリントごとに施策の振り返りを行い、3ヶ月ごとにKPIの見直しをしています。
グロースハックを適切に進めていく上で必要なものがイメージできたでしょうか? 『Repro』はこのプロセスを、大きく3つの面でサポートしてくれます。
『Repro』のSDKをアプリに導入することで、どの画面が何回見られたか、どのボタンが何回押されたかなど、定性的な数字を取得して分析できるツールを手に入れることができます。
ユーザーストーリーに合わせてどこのデータをどの粒度で取るかもプロの視点で設計してくれるため安心です。もし自分たちでデータ基盤を整えることを考えた場合、外部サービスを利用したとしても数ヶ月かかってしまいますが、『カウル』への導入の際は、打ち合わせ2回とSDKの設定作業の数日で導入が完了しました。とくにユーザーのリテンションレートや施策の結果が簡単に計測でき、分析ツールがグロースハック用途に最適化されているのでとても使いやすいです。
さらに、ボトルネックを解消する強力な手段として、ユーザーにプッシュが送れる機能も用意されています。
『Repro』では、通常のプッシュ通知だけでなく、アプリ起動時に表示されるアプリ内メッセージも提供されています。ユーザーの行動別にセグメントを作り、そこに属するユーザーに対して様々なコンテンツを提供することができます。
例えば、アプリをインストールしてチュートリアルを終了していないユーザーに対しては、『カウル』の魅力を訴求して再訪してもらったり、物件をお気に入りに追加しているが見学を申し込んでない場合は見学するメリットを訴求するといった施策ができます。このプッシュ通知とアプリ内メッセージを使った施策によってかなりの改善ができました。
また、一連のグロースハックを実施する流れを『Repro』の担当者がサポートしてくれます。データ設計やデータ分析方法、そこからどのように施策を考えて、施策のPDCAを回していくかまで含めて数回にわたってアドバイスをしてもらえます。
その後も継続したフォローアップも提供しており、様々なアプリで有効だった施策を教えてもらいながら改善施策を考えられるため、とても勉強になっています。
一方で、自分たちで考えなければならないものもあります。
まず、グロースハックが大切だということをチーム内で認識し、そこに時間をかけるという意思決定は自分たちでやるしかありません。同時に、マインドセットやフレームワークなど、チームで学んでいくことをオススメします。
ユーザーストーリーやKPIツリーはすでに持っているかと思いますが、もし作っていない場合はこの機会に作りましょう。これらを明確にすることで、自分たちのサービスを通してどんな体験をユーザーに届けたいのか、どうやって収益を上げていくのかを言語化し、メンバーで共通認識を持つことができます。
また、『Repro』はあくまでツールなので、それを使いこなしていかに主体的に施策のPDCAを回せるかが重要になってきます。『カウル』ではユーザーが本当は何に困っているのかを知るために、毎月実際の『カウル』ユーザーの方を呼んでユーザーインタビューを実施しています。『Repro』で取れる定量データとユーザー行動のデータから想定した課題と施策が正しいのか、他にユーザーが困っていることが無いのかを確認しています。
施策においても、『Repro』のプッシュ通知基盤は強力ですが、あくまでも選択肢の一つとして捉え、それ以外に解決する良い方法が無いかも合わせて考えるようにしています。
ここまでで、グロースハックに必要なこと、実施の流れ、『Repro』を導入することで何が解決するかについて説明してきました。まとめると以下のようになります。
まず、データを取り始めて最初にチュートリアルの突破率に改善の余地があることを発見しました。AARRRモデルでもユーザーのアクティベーションは優先度高く対応すべきものとされています。この施策では、なるべく多くのユーザーが初回登録したあとにヒアリングを突破し、最初のお部屋の提案を見られる状態をゴールにし、いくつかの施策を実施しました。
具体的には、
などの様々な施策を通して改善を行いました。
初回チュートリアル突破→部屋の提案を見る→お気に入り→部屋の見学の申請
これらのステップの間で止まってしまっているユーザーに対して、
具体的には、
など、次のステップのアクションをすることでのメリットや、知られていないが便利な機能を『Repro』の通知機能を使って訴求しました
マジックナンバー分析を行い、一回でもお気に入りをしたユーザーのリテンションレート(アプリ再訪率)が高いことを発見しました。そこで、ユーザーヒアリングで自動で提案されるお部屋への不満を洗い出し、提案のロジックを修正しました。
これら以外にも様々な施策を実施しましたが、結果としてアプリリニューアル後3ヶ月でRRが平均で6-7%増加、見学の申請数が2倍という成果をあげることができました。
グロースハックとは問題を特定することから始まります。ボトルネックを見つけ出しひとつひとつ的確に解消することで、驚くほどの効果をあげることができました。
Repro株式会社が制作した独自の市場調査資料、ホワイトペーパー、お役立ち資料です。
ほかでは知ることのできない貴重な情報が掲載されているので、ぜひダウンロードしてご覧ください。