ユーザー目線で判断し、強く決断するのがプロダクトオーナーの仕事【Prism Japan 喜多純也さん】

Repro Journal編集部
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2024.12.02
ユーザー目線で判断し、強く決断するのがプロダクトオーナーの仕事【Prism Japan 喜多純也さん】

目次

連続インタビュー「Marketers' Café:成功へのステップと発見」。Webサイトやアプリを活用してビジネスをグロースさせるため、日々、マーケティング活動に奮闘する現場のマーケターの生の声をお届けします。今回はAIを活用したお出かけスポット検索アプリの「Prism Japan」を開発・運営するKINTOテクノロジーズ株式会社のモビリティプロダクト開発部 喜多純也さんにお話をうかがいました。

Service-
“自分だけのおすすめ”スポットに出合える「Prism Japan」

【図】お出かけスポット検索アプリ「Prism Japan」のスクリーンショット行きたい場所が見つかるお出かけスポット検索アプリ「Prism Japan」
iOSAndroidWeb

――「Prism Japan」について簡単にご説明いただけますでしょうか。

一言でいうと、「旅行、お出かけ先の検索アプリ」です。他のサービスと異なるのは、AIが興味関心やそのときの気分を分析して、スポットを提案してくれる点ですね。自分でも気づいていない本当に行きたい場所に連れて行ってくれるのが、Prism Japanなんです。2022年にiOS、2023年にAndroidでローンチしていて、今年で3周年を迎えました。

アプリ自体どんどん進化をしていて、最近では「ピクストップ」という、お出かけ先で撮影した写真をAIが採点してくれる機能をリリースしました。Prism Japanで見つけたお出かけ先をもっと楽しい体験にしてもらうための機能です。

――アプリを使用していて印象的だったのが、広告的なコンテンツや課金要素が一切ないことでした。

実はPrism Japan単体ではマネタイズをしていません。もともと、「KINTO」というトヨタのクルマのサブスクサービスがあって、そのプロモーションを最適化、効率化することを背景として企画されたアプリなのです。なので、もしかするとほかのアプリとは運営やマーケティングに対する考え方が少し異なるかもしれませんね。

Misson-
最重要KPIは初回起動後の3日以内再起動率。10万MAUを目指して

【写真】KINTOテクノロジーズ株式会社 モビリティプロダクト開発部 喜多純也さん

――喜多さんの現在のミッション・役割について教えてください。

プロダクトオーナーという立場です。Prism Japanでは開発手法としてアジャイル開発を採用しているので、その方針決定の旗振り役ですね。開発メンバーは、フロントエンド、バックエンド、AIのエンジニア、あとはデザイナー。12名体制で開発にあたっています。MAUを増やすための集客といったマーケター的な仕事も私のミッションのひとつです。

開発方針の決定、リソース管理など多岐にわたる業務があるのですが、現在、最も重要視しているKPIは初回起動後3日以内の再起動率です。アプリマーケティングにおいては、7日後のリテンションレートを見るケースが多いと思うのですが、アプリからの本質的な離脱はもっと早いタイミングで起きると考えていて、この数値を月次でいかに伸ばしていくかを考えながらUI/ UXの磨きこみを続けています。

――先ほどご説明いただいたアプリの位置づけ上、MAUも重要視されると思います。目標は設定されているのでしょうか。

あくまで個人的に掲げている目標であって、かなりストレッチなものなのですが10万MAUを目指したいと考えています。初回起動後3日以内の再起動率はかなり改善してきています。それに合わせて集客にも力を入れ始めたフェーズですね。

Motto-
ユーザー目線を芯として冷静に判断し、強く決断する

【写真】KINTOテクノロジーズ株式会社 モビリティプロダクト開発部 喜多純也さん

――プロダクトオーナーとして、Prism Japanの運営やユーザーとのコミュニケーションで重視していることはありますか?

月並みな言葉になってしまうかもしれませんが、やはり「ユーザー目線」。どんなサービスでも同じだと思うのですが、サービス提供側の都合で機能追加を検討しなければならなかったり、開発の事情で十分な機能を追加できないことがあったりしますよね。そんなときに、我々の都合やその場の雰囲気に流されず、「ユーザーにとって何がベストなのか」を冷静になって考えることをかなり意識しています。

加えて、プロダクトオーナーとしては、判断力、決断力が重要だと考えています。例えば開発ミーティングで「こうしたい」と方針を伝えたときに、自分が想定していなかったハードルがあったり、「ここはどうしますか?」といった予想外の質問が飛んできたりします。そんなときでも、その場で判断し、決断しなければなりません。私が迷ったり、先送りにしたりしてしまうと、プロダクトの改善が遅れてしまうだけですから。私自身、プロダクトオーナーになってからまだ日が浅いので、理想像には遠く、悩みながらですけどね。

Marketing-
新しいPrism Japanを生み出すためのコンセプト再定義

【写真】KINTOテクノロジーズ株式会社 モビリティプロダクト開発部 喜多純也さん

――マーケティング施策やユーザーとのコミュニケーションで、「これは成功だった」といえる取り組みがあれば教えてください。

ひとつに絞ることはできないのですが、徹底的にUI/UXの改善を進めてきました。アプリ内のユーザー行動を分析して、使われていない機能は削除したり、AIによるスポット提案機能のUIや精度も向上させたりしています。

先ほど申し上げた3日以内の再起動率というKPIを設定している背景でもあるのですが、以前は広告を大量に打ってインストール数を増やす施策していたんです。しかし、使いづらさや機能の不十分さを理由にどんどん離脱していってしまうという状況に陥っていました。穴の開いたバケツですね。その穴を埋めるためにUI/UX改善に注力してきたわけです。たくさんの改善の積み重ねで、3日以内の再起動率は10%もアップしています。

あえて具体的な例を挙げるなら、会員登録時のメールのテキスト化。Prism Japanはサービス利用に会員登録が必須で、本登録の前にメールが配信されるのですが、実はHTMLメールの受信を拒否していて、本登録に進めないユーザーが一定数いたのです。この施策だけで、会員登録時の離脱率は前後比で5~6%程度改善しました。会員登録フローの中にメールがあるアプリでは使えるTIPSかもしれません。

――ありがとうございます。逆にうまくいっていないことや課題はありますか?

課題とは少し異なるのですが、サービスコンセプトの再定義を進めています。もともとKINTOのプロモーション効率化を目的として生まれたアプリではあるので、アプリそのものの価値の定義やコンセプトに曖昧な部分がありました。しかし、明確なコンセプトがなければ何を軸にプロダクト開発をすればいいのか、何のためのUI/UX改善なのかがわからなくなってしまいます。それでは数ある競合アプリに勝つこともできません。Prism Japanがユーザーにどんな価値を提供すべきなのかを議論しているところです。

――アプリの価値、コンセプトの設計はとても難しい仕事ですよね。どのように進めているのでしょうか。

輪読会じゃないですけれども、『コンセプトの教科書』という一冊の本をメンバーみんなで読み合わせながら進めています。本のなかの知識、言語をチームメンバーみんなの共通認識にできるので、理解やディスカッションがブレないのがいいところです。手探りではあるのですが、チーム全体でワクワク感も高まっています。

Input-
ジャンルを問わず、たくさんのアプリに触れる

【写真】KINTOテクノロジーズ株式会社 モビリティプロダクト開発部 喜多純也さん

――喜多さんがインプットのために、参考にしているメディアや方法論があれば教えてください。

とにかくたくさんのアプリに触れるようにしています。競合の旅行、お出かけアプリを研究するのはもちろんですが、ゲームやエンタメ系のものもかなりの数をインストールして触っています。各機能の利用率や継続率を上げる工夫として、一定条件を達成するとレベルが上がるような仕組みをPrism Japanに実装しているのですが、その着想はゲームアプリから得たものです。

結果として機能に活かせなくても、アイデア出しや企画の段階で「あのアプリはああやっていたな」「あんなUIだったな」というのを自分の引き出しからアウトプットできるようになるのです。

競合でもあるのですが、最近では「いこーよ」さんの機能やUI/UXは勉強になると思いました。コンセプトがしっかりしていて、まさにお子さんがいるユーザーに刺さる設計になっているんですよね。そういう意味では、コンセプトを磨くことで迷いなくUIやUXに反映できるということを確認できました。

【会社概要】

【Prism Japan サービス情報】

※本記事は2024年12月2日時点の情報です。掲載企業の都合により、紹介されている機能やサービスの提供が終了している場合があります。あらかじめご了承ください。

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