米国の個人間送金アプリ『Venmo』に学ぶモバイルアプリの成功事例

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2020.12.15
米国の個人間送金アプリ『Venmo』に学ぶモバイルアプリの成功事例

目次

(編集部注※ 本記事は2017年12月21日に公開したものを再編集したものです。)

Venmo』のおかげで様々な金銭のやりとりが便利になりました。しかし、個人間送金サービスの提供だけが成功の秘訣なのでしょうか?Forbesが「ファイナンスアプリの最高峰」と評価した理由を確かめましょう。

venmoImage Source: https://venmo.com/

画期的なアイデア

このアプリは、大学時代に知り合った2人が卒業から数年後に作ったものです。 Andrew KortinaIqram Magdon-Ismailは、ほとんどの行動がモバイルへ移行していることに気づき、デバイスを使って友人に簡単に送金できる手段を作りました。

2009年に登場したこのアプリには、送金情報を共有できることでユーザーを楽しませるSNSの機能が搭載されています。それから3年後の2012年には『Venmo』を「Braintree」が2620万ドルで買収し、2014年には「PayPal」が8億ドルで「Braintree」を買収しています。

しかし、『Venmo』が「PayPal」の傘下に入っているという事実は、アプリが家賃やタクシー料金、友人同士での割り勘の金額を送金するアプリだったためあまり知られてていませんでした。『Venmo』がSNSの機能以外にどんな施策をしたのかより詳しく分析してみましょう。

venmoImage Source: http://www.investopedia.com/articles/personal-finance/010715/venmo-its-business-model-and-competition.asp

『Venmo』は何をしたのか?

では、どのように個人間送金サービスが完成したのでしょうか?

ソーシャルメディア

ソーシャル機能を搭載しているので、『Venmo』ユーザーは支払いが発生した際、友人に確かめることができます。中でも最もユーザーの関心を惹きつけたのは友人の取引履歴を見ることができる機能です。送金をした時でさえ、ユーザーは友人の支払い履歴を見ることができます。友人がどこで夕食をとったのか、どこへ旅行に行ったのかは興味をそそられる出来事なのです。

venmoImage Source: https://itunes.apple.com/us/app/venmo/id351727428?mt=8

口コミ

『Venmo』は、共有できることを前提に制作されています。『Venmo』のクリエイターはユーザー一人ひとりの生活が便利になるアプリが必要だと分かっており、それには口コミが必要不可欠だと分かっていたからです。

例えば誰かが『Venmo』で送金する場合、送り先に『Venmo』のインストールをすすめます。これだけで新規ユーザーを獲得できるのです。また、アプリはできるだけ効率的で、シンプルに仕上げられています。

venmoImage Source: https://www.slideshare.net/AllysonMassoud/venmo-final-presentation-book-70118034

絵文字

絵文字があると会話がよりおもしろくなり、ユーザーは言いたいことを正確に表現できるようになります。独立記念日などの祭典に合わせて絵文字を追加しました。

お金に関する絵文字が最もよく使われていると思うかもしれませんが、実はピザの絵文字が一番使われています。また、下記のように送金時のコミュニケーションで使った絵文字の中、年間で送金額合計が最も高かったのは賃貸住宅の絵文字です。

venmoImage Source: http://www.investopedia.com/articles/personal-finance/010715/venmo-its-business-model-and-competition.asp

ミレニアル世代

ミレニアル世代の人々は、一日中デバイスを使用しているため、ソーシャルへの共有機能を持つシンプルで速いサービスを好みます。『Venmo』はその全てを備えているのです。その結果、若年層で大きな成功を収めました。

他にも『Venmo』を利用すると、友人と数ドルの買い物を割り勘する必要がなくなります。友人の名前か電話番号、メールアドレスを選択するだけでいいのです。数タップで送金を行い、誰とどこで何をしたのか共有できます。『Venmo』はミレニアル世代にとって重要なソーシャル機能を満たしているのです。

venmoImage Source: https://www.glg.com/blog/millennials

ビジネスモデル

2014年から「PayPal」が『Venmo』のオーナーになっていますが、アプリの収益化戦略を検討したのは昨年で、ユーザー体験を損なわないよう慎重に管理されました。アプリはカードで支払わない限り無料でサービスを提供しました。

しかし「PayPal」は、『Venmo』ユーザーを収益の対象とし、「Pay with Venmo」というサービスをチケット購入サービスの「Gametime」と食品デリバリーサービスの「Munchery」とともに開始しました。現在ではどの企業でもサービスが利用可能です。

ユーザーは全てのアプリ内での支払いを『Venmo』で行うことで余計なコストを回避することができます。「PayPal」はアプリのソーシャル機能のため、ユーザーではなく、大企業などにのみ料金を請求しました。この施策でUXを保ちつつ、収益も増加したのです。

venmo

ポイント:トレンドを作る

個人間送金サービスは大きな現象になりました。特に若者の間で、「Venmoのアプリで送金するね!」という会話が、「『Venmo』するね!」というようにアプリの名前が動詞として使われるようになったのです。

アプリを成長させるには多くのユーザーを集めるだけでは不十分です。ユーザーの生活に入り込み、ニーズに応えられる有用な機能を提供しなければなりません。そうすればユーザーは友人にアプリをおすすめするようになり、アプリが大きなトレンドになるでしょう。

venmoImage Source: https://itunes.apple.com/us/app/venmo/id351727428?mt=8

最後に

今回は『Venmo』を取り上げました。このアプリにはミレニアル世代に好まれる要素が詰まっており、彼らのデバイスに欠かせないアプリとなりました。収益化戦略もユーザー体験を維持することで、アプリの価値をさらに高めることにつながっています。

この記事は、 AppSamurai社のブログ" Mobile App Success Story: How Venmo Did It"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on AppSamurai in English under the permission from the author.

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