Webサイトのセッション数・訪問数とは、ユーザーがWebサイトに何回訪れているかを示す指標です。そのサイトの集客力に加えて、ユーザーからの興味関心・好意の強さを表すと考えられています。このページでは、セッション数・訪問数の正しい意味や他の指標との違いに加えて、具体的な計測、改善方法までを徹底的にわかりやすく解説しています。
セッション数・訪問数とは何を意味する数値?
セッション数・訪問数とは、ユーザーがWebサイトに何回訪問しているかを示す数値です。訪れた人数ではなく、Webサイトへの訪問回数であるため、同一人物が複数回の訪問をしたときにもカウントされます。
Webサイトの集客力や、ユーザーからの興味関心・人気・好意を測れる指標と考えるのがよいでしょう。
まずは、よりセッション数に対する理解を深めるために、A、B、Cという3ページで構成されたWebサイトと、XXX、YYY、ZZZという3人のユーザーを想定し、どのようにセッション数がカウントされるかを見ていきます。
- ユーザーXXX:
Webサイトに2度訪問し、1度目はページA、ページB、ページCの順で閲覧して離脱。2度目はページB、ページCの順で閲覧して離脱。
- ユーザーYYY:
Webサイトに1度訪問し、ページA、ページBの順で閲覧して離脱。
- ユーザーZZZ:
Webサイトに1度訪問し、ページA、ページCの順で閲覧したあとに、ページAに戻って離脱。
このユーザーの行動を図に表すと以下のようになります。セッション数を考えるときに着目しなければならないのは、「●度訪問(セッションが発生)」したかだけです。今回の例では、XXXが2度訪問、YYYとZZZとはそれぞれ1度訪問しているので、セッション数は各ユーザーの訪問数を合計した4となります。ユーザーが何人であろうと、どのようなページを何度閲覧していようとセッション数は変わりません。
■ユーザーのWebサイト上での行動とセッション数・訪問数の関係
セッションとはどのような単位?
セッション数を理解するためには、「セッション」という単位がどのようなものかを理解しておくことも重要です。セッションとは、ユーザーがWebサイトに訪問してから、Webサイトを離脱するまでの一連の行動をひとつのセットとして数えたもの。
上の図では、Webサイトへの流入から離脱までの行動を、左から右へ向かう流れとして示しています、この流れが4本あるので、4セッションなのです。
行動が途切れるとセッションも途切れる
セッションはそのサイトを表示している限り、永遠に継続するわけではありません。「セッションタイムアウト」という概念を持っているからです。セッションタイムアウトとは、一定時間、無操作・無通信の状態が続いた場合に、そのセッションが終了したと判断すること。
セッションタイムアウトが起きたあとに、再度、操作を開始した場合には、新しいセッションとしてカウントされます。なお、後述するGoogle Analytics 4では、セッションタイムアウトまでの時間はデフォルトで30分に設定されています。
混乱しやすい類似指標とセッション数・訪問数との意味の違い
Webサイトのアクセス解析で扱う指標には、セッション数・訪問数のほかにも様々なものがあり、正確に意味の違いを理解していないと、正しい分析ができないケースが多々あります。ここでは紛らわしい指標をピックアップして、セッション数・訪問数との意味の違いを明確にしていきます。
UU数(ユニークユーザー数)
数ある分析指標の中でも、セッション数との混乱を招きがちなのが「UU数(ユニークユーザー数)」です。UU数とは、そのサイトに一定期間中に訪れたユーザーの実人数のこと。同一人物が複数回サイトを訪れたとしても、UU数は増えません。この点が、セッション数との大きな違いです。
- セッション数はWebサイトに発生した「訪問の回数」
- UU数はWebサイトを訪問したユーザーの「実人数」
「計測する対象が異なる」と覚えておくのがしっかりと理解するコツです。
なお、UU数は「訪問者数」と呼ばれることもあり、セッション数の別名である訪問数と似た名前であることも混乱を引き起こす要因になっています。
UU数のカウント方法を、下記のユーザー行動を例に図示しました。図解するとイメージがわきやすいのでしっかりと確認しておきましょう。この例の場合、Webサイトに訪問した実人数は2人なので、UU数は2。対して訪問回数は3回なのでセッション数は3です。
- ユーザーXXX:
Webサイトに2度訪問し、1度目はページA、ページB、ページCの順で閲覧して離脱。2度目はページB、ページCの順で閲覧して離脱。
- ユーザーYYY:
Webサイトに1度訪問し、ページA、ページBの順で閲覧して離脱。
■ユーザーのWebサイト上での行動とUU数(ユニークユーザー数)の関係
PV数(ページビュー数)
「PV数(ページビュー数)」とは、Webサイト内にある各ページが表示された回数を表す指標です。「ユーザーによって、何回ページが開かれたか」といったほうがわかりやすいかもしれません。PV数は、UU数、セッション数とはかかわりなく、単純にページが開かれた回数をカウントしたものです。これもユーザー行動の図を見るとわかりやすいでしょう。
下記の例では、XXXが合計5ページ、YYYが合計2ページを開いています。つまり、WebサイトのPV数は7です。
- ユーザーXXX:
Webサイトに2度訪問し、1度目はページA、ページB、ページCの順で閲覧して離脱。2度目はページB、ページCの順で閲覧して離脱。
- ユーザーYYY:
Webサイトに1度訪問し、ページA、ページBの順で閲覧して離脱。
■ユーザーのWebサイト上での行動とPV数(ページビュー数)の関係
ページ別訪問数
セッション数と関連するアクセス解析の指標で、最も理解がしづらいのが「ページ別訪問数」かもしれません。ページ別訪問数とは、特定のページが含まれるセッションが何回あったかを示す数値です。この数値も図にしたほうがわかりやすいので、下記のユーザー行動を例に図解で説明しましょう。
- ユーザーXXX:
Webサイトに2度訪問し、1度目はページA、ページB、ページCの順で閲覧して離脱。2度目はページB、ページCの順で閲覧して離脱。
- ユーザーZZZ:
Webサイトに1度訪問し、ページA、ページCの順で閲覧したあとに、ページAに戻って離脱。
ユーザーがこのような行動を取ったときのページAのページ別訪問数は2です。下図のようにページAが含まれるセッションの数がカウントされるわけです。ZZZの行動を見るとわかる通り、ページAを何度閲覧したとしても、セッション数が増えるわけではないので、ページ別訪問数は増えません。
ページ別訪問数という名前が誤解を招く元凶にもなっているのですが、ページ別訪問数は「そのページが訪問された回数」ではありません。「そのページが閲覧された、セッション(訪問)が何回発生したか」です。この点をしっかりと認識しておきましょう。
■ユーザーのWebサイト上での行動とページ別訪問数の関係
セッション数・訪問数を計測・確認する方法
続いてはWebサイトのセッション数・訪問数を計測・確認する方法について解説していきます。方法はいたって簡単です。Webサイトを運用しているのであれば、ほとんどの場合、何らかのアクセス解析ツールを導入しているはず。アクセス解析ツールにはセッションを計測する機能が搭載されているので、それを確認すればいいのです。
ここでは最も一般的なアクセス解析ツールである、Google Analytics 4でのセッション数の確認方法を紹介します。
■Google Analytics 4でのセッション数の確認方法
- Google Analytics 4にログインする
- 画面左のナビゲーションで「レポート」⇒「集客」⇒「トラフィック獲得」を開く
- 「トラフィック獲得」のレポートにUU数(ユニークユーザー数)が「セッション」という形で表示される
■Google Analytics 4でのセッション数・訪問数の計測・確認方法
画面左のナビゲーションで「レポート」⇒「集客」⇒「トラフィック獲得」を開いた画面。「セッション」の列の数値がセッション数。
セッション数・訪問数が増大するとは何を意味している?
ここまではセッション数・訪問数の定義や計測方法について理解を深めてきました。しかし、そもそもセッション数はどのような視点で見るべきものなのでしょうか。増えることは良いことといえるのでしょうか。セッション数の増減をどのように捉えるべきかを紹介していきます。
原則として、セッション数が増えるのは非常に良いことです。セッション数が多い=Webサイトにたくさんのアクセスが発生しているということだからです。Webサイトはユーザーに訪問してもらえなければ意味がありません。訪問してもらい、Webサイト上でサービスや情報を提供することで価値を生むものなのです。
UU数の増大と合わせて考えると、セッション数の増大がなぜ歓迎すべきことなのかがより深く理解できます。仮にWebサイトのUU数とセッション数が下記のような数値を記録したケースを考えてみましょう。
- 3月:UU数 100、セッション数 200
- 4月:UU数 100、セッション数 400
3月から4月にかけて、UU数は一定でありながら、セッション数は2倍に増えています。これが何を意味するのかがわかるでしょうか。Webサイトに訪問した人数は変わらないのに、訪問回数が増えている、つまり、リピートユーザーが増えているのです。
リピートユーザーが増えているという事実からは、Webサイトのサービスを気に入ってもらった、提供している情報に興味を持ってもらったといった背景が推察できます。セッション数が増えるということはWebサイトへのユーザーの興味関心や好意が増したことの裏付けと考えられるのです。
市場のトレンドやWebサイト固有の事情も加味すると、上記のような完全にポジティブな解釈ができないケースもありますが、セッション数の増大は概ね好意的に捉えるのがいいでしょう。むしろ、セッション数の増大に向けて積極的な施策の推進をすべきであるといえます。
セッション数・訪問数を増やす・改善する方法
それではセッション数・訪問数を増やす・改善するにはどのような施策が考えられるのでしょうか。最後にセッション数・訪問数の増大を図るための具体的な施策を紹介します。なお、抜本的な施策として、プロダクト、サービスそのものの改善も挙げられますが、ここではテーマが大きくなりすぎてしまうので割愛しています。
■セッション数・訪問数を増やす方法
- 広告・SEO・SNS運用などの集客施策に取り組む
- メールマガジンを定期的に配信する
- ターゲットを明確にしてニーズに即したコンテンツを制作する
- 最新の情報を定期的にコンテンツ化する
- ユーザーとのコミュニケーションを発生させる
- ユーザビリティを向上させる
- Webサイトの表示速度(サイトスピード)を高速化する
広告・SEO・SNS運用などの集客施策に取り組む
セッション数を増やすための方法として最もシンプルなのが、広告やSEO、SNS運用に取り組みユーザーとの接触数を増大させることです。
ユーザーとの接触数が増え、Webサイトに訪問してくれるユーザーが増えれば、自然にセッション数も増大します。これはUU数を増やす施策と同じ考え方です。UU数を増やした結果としてセッション数も増えると言い換えることもできます。
メールマガジンを定期的に配信する
もし、Webサイト・サービスを運用している中でユーザーのメールアドレスを取得しているのであれば、メールマガジンの活用も検討しましょう。メールマガジンによって、ユーザーが求めている情報を配信することができれば、配信のたびにWebサイトへの訪問が発生し、セッション数が伸びていきます。配信できる情報の品質にもよりますが、リピートユーザーを創出するのに非常に有効な施策のひとつです。
ターゲットを明確にしてニーズに即したコンテンツを制作する
セッション数の増大が、ユーザーからの興味関心・好意の表れであると考えると、Webサイト上で展開するコンテンツには細心の注意を払う必要があります。誰がどんな気持ちで、どんなときに訪れているのかをしっかりと分析し、適切なコンテンツを制作しましょう。
極端な例ですが、地方経済情報を展開するニュースサイトで春のメイクアップ特集記事を制作したと想像してみてください。メイクアップ特集記事のクオリティが高ければ、そのページへのアクセスは増大するかもしれません。セッション数も短期的には増大するでしょう。
しかし、春のメイクアップ特集を求めているユーザーが他の地方経済に関するニュースを読むために何度もWebサイトを訪れてくれるとは考えにくいはず。1度きりの訪問、つまりUU数は伸びるものの、期待するほどのセッション数の増大には繋がらないのです。継続的にセッション数を増やしたいのであれば、Webサイトの独自性、特徴とユーザーのニーズを見極め、適切なコンテンツを企画する必要があります。
最新の情報を定期的にコンテンツ化する
セッション数を増やす=リピートユーザーを増やすという観点で考えるならば、コンテンツの鮮度と配信頻度にも気を配ることをおすすめします。ユーザーは最新の情報を求めているものです。可能な限り早く、鮮度の良い情報の配信を心がけましょう。
また、コンテンツの公開サイクルを固定するというのもひとつの手です。「毎週●曜日に最新の情報が公開される」とユーザーに認知されれば、ユーザーにWebサイトへのアクセス習慣が生まれ、セッション数が増大するのです。
ユーザー同士のコミュニケーションを発生させる
ユーザー同士のコミュニケーションの場を作るとセッション数は増大するはずです。コミュニケーションを取るには、繰り返しWebサイトにアクセスしなければならないからです。SNS(ソーシャルメディア)やUGCと呼ばれるユーザーがコンテンツを生成するサービスがその代表例といえます。
Webサイトが提供するサービスにもよりますが、ニュースやWebマガジンであればコメント欄を設けるなどといった施策によってユーザー同士のコミュニケーションを発生させることができます。ややテクニカルな手法ですが、場合によってはチャレンジしてみてもいいかもしれません。
ユーザビリティを向上させる
あらゆるWebサイトにおいて最大の注意を払いたいのが、ユーザビリティの向上です。セッション数をWebサイトへの興味関心、好意を示すものという観点で捉えるなら、Webサイト上での体験が優れたものであることが最も重要であるといえます。ストレスなくサービスを利用でき、繰り返し使いたいと思ってもらえてはじめて、リピートユーザーが増えていくのです。
Webサイトの表示速度(サイトスピード)を改善する
ユーザビリティとほぼ同じ観点になるのですが、Webサイトの表示速度(サイトスピード)の高速化もセッション数に大きく寄与する可能性があります。ページ間の移動に待ち時間がなくなることで、ユーザー体験が大幅に向上すると考えられるからです。
実際にReproが実施したアンケート調査でも下記のように、表示速度の改善施策によってリピート率が改善するケースが多いことがわかっています。また、サイトスピード高速化ツールを使うことによりリピート率が改善した事例も。ぜひ取り組むべき施策といえるでしょう。
■表示速度の改善施策が「リピート率の改善」にもたらした成果
※出典:「Webサイトの表示速度改善についての実態調査 2023」Repro株式会社
【事例】サイトスピード高速化で1ユーザーあたりの訪問回数が105.4%改善
(「オミカレ」株式会社オミカレ様)
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