これはASO専門家Jin Chochlikによる記事です。
Statistaによると、2016年にユーザーがダウンロードしたモバイルアプリは、1490億に上ります。Appleによれば、ダウンロードの65%はApp Storeでの検索から直接行われています。つまり年間で960億、1日あたり平均2億6300万ものアプリが検索結果からダウンロードされているということです。
ここまででダウンロード数の膨大さがわかりますが、同時に大手開発者であっても、ASOでさらにコンバージョン率をあげられることがわかります。
image:Statistaによるアプリダウンロードの見通し
Appleの検索広告 (日本では2018年にリリース予定) の利用により、全てのダウンロードがブランド名の検索から来ているわけではないことがわかります。App Storeで際立ち、オーガニックのダウンロード数を多く獲得するためには、ASO対策をする必要があります。しかし、大手企業の多くはまだ適切なASOができていません。
本記事は、有名アプリである『Viber』をとりあげ、どんな対策ができるのかご紹介します。
注意:『Viber』はAppagentのクライアントではありません。ここでの提案は、公開されているデータのみを利用して行っています。
タイトルとサブタイトル
タイトル
Appleはタイトルとサブタイトルにあるキーワードを最も重視しているので、こういったキーワードの効果を最大化できるようにしましょう。この戦略はとても効果的なので適応することで順位があがり、オーガニックのダウンロード数も増加し利益も増えるでしょう。
App Storeでの『Viber』の見た目です(2017年11月時点):
まずはタイトルに注目しましょう。タイトルには30文字まで使えますが、『Viber』は15文字しか使っていません。
ブランド名を入れることも大切ですが、もっとキーワードを入れるといいでしょう。
『Viber』の順位は、「Viber Messenger」「Viber」のキーワードでは1位です。このキーワードは、良い組み合わせであり、優れた成果を残したと言えるでしょう。
しかし、まだキーワードを入れる余地は残されています。今度は「phone」「calls」というキーワードを使った組み合わせを見てみましょう。
AppTweakのランキングより
『Viber』がタイトルに含めるべきキーワードが見えてきました。「phone calls」というキーワードはボリュームが44もありますが、『Viber』はこのキーワードでは全くランクインしていません。様々な理由が考えられますが、たとえば、『Viber』は「calls」というキーワードを使っていなかったため、単純にこのキーワードでランクインされなかったという理由などが挙げられます。
次のキーワード「phone call」では、『Viber』は17位に入っていますが、まだタイトルに改善の余地があります。
「Viber Messenger, Phone Calls」
これらのキーワードを使う理由は、『Viber』が「phone calls」というキーワードで全くランクインせず、またAppleがタイトルにあるキーワードをより重視しているからです。このキーワードをタイトルに含めることで、『Viber』はこのキーワードにおいてランキング争いに加わることができるのです。
また、Appleのアルゴリズムは、自動的に複数形と単数形をほとんどの場合同じと見なします。これを利用すれば、「phone call」という1つのキーワードで「phone calls」というキーワードもターゲットにでき、ランキングの上昇を見込むことができます。
サブタイトル
アプリのタイトルとサブタイトルでは、そのアプリでできることを表現するべきです。しかし、ただ機能を羅列するのではなく、ユーザーが実際に検索するキーワードを考慮してバランスを取った方がいいでしょう。
『Viber』の現在のサブタイトルは、こうなっています:
『Viber』がターゲットとしている正確な検索キーワードについてはわかりませんが、サブタイトルにこうしたキーワードの組み合わせを使う必要はあまり感じられません。
まずは「connect」というキーワードから始めましょう。『Viber』がランクインできる、「connect」を含んだ全ての組み合わせを探しました。
AppTweakのランキングより
検索ボリュームに注目しましょう。数字の5は、ボリュームが0であることを意味します。これは、誰もこの言葉で検索していないということです。 この例では、『Viber』が高い順位に入れるキーワードはたくさんありますが、ボリュームがありません。これらのキーワードではダウンロードが発生しないため、『Viber』のランキングは上がらないでしょう。
「connect」というキーワードにおいて、『Viber』は6位に入っています。これが『Viber』に関係があるのか、サブタイトルに入れておく価値があるのかを判断する必要があります。「connect」は漠然としたキーワードです。ユーザーが探しているのは『Dots』のようなドットをつなげるゲームかもしれません。これにより検索結果に競合が増えてしまいます。
『Viber』というアプリに注目してみると、ユーザーは「connect」よりも具体的なキーワードで検索していることがわかります。このキーワードは一般的すぎて、特定のニーズを全く表現できていないのです。
別のキーワード「family」と「friends」に関しても、検索ボリュームと順位に同じことが起こっています。
AppTweakのランキングより
ブランドとアプリの内容を表すタイトルとサブタイトルをつけ、かつユーザーが検索するキーワードを含めることが、とても重要です。
スクリーンショット
iOS 11では、検索結果で表示されるスクリーンショットが2枚から3枚に増えたことにより、アプリの機能をわかりやすく説明できるようになりました。
これまでよりも1枚多くスクリーンショットを表示できますが、そのかわり、それぞれのスクリーンショットは小さく表示されます。つまり、スクリーンショット内の文字が小さく表示され、読みにくくなるのです。ユーザーの注目を集める時間の猶予はたった数秒なので、わかりやすくしないとユーザーを失う可能性があります。
『Viber』のスクリーンショットを見てみると、スクリーンショット内の文字が小さくわかりづらいことが見て取れます。
AppAgentの調査では、縦向きのスクリーンショットを拡大したユーザーはたった4%でした。iPhone 5の画面で拡大することなく読める、大きな見出しをつけることが必須なのです。『Viber』と『YouTube』のスクリーンショットを見比べて、違いを確認しましょう。
スペイン語(メキシコ)へのローカライズ
『Viber』は非常にシンプルな戦略を使うだけで、アメリカ版App Storeでのキーワードを2倍から3倍に増やせます。この戦略は多くの開発者や企業で使われ、いくつもの関連キーワードにおけるランキングの上位入りと、高い検索ボリュームを達成しました。
Appleはスペイン語(メキシコ)のキーワードを、アメリカ版のApp Store向けにインデックスしています。メキシコ版App Storeにおいて、タイトルやサブタイトル、キーワード欄に英語で入れてしまうとと、アメリカ版のApp Storeでの順位に影響してしまいます。
この戦略を使うと、アメリカへのローカライズでキーワードを20個ターゲティングするかわりに40〜60個ものキーワードをターゲティングできます。
この記事は、AppAgent社のブログ"VIBER CASE STUDY: WHERE BIG PUBLISHERS MISS FREE DOWNLOADS"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on AppAgent in English under the permission from the author.