AARRRとは言葉の意味と定義
AARRRとは、新規ユーザーの獲得からそのユーザーが収益に貢献するに至るまでの成長サイクルを体系化したもので、ユーザーの成長を促進することが事業の成長につなげられるという考えのもと構築されたグロースハックのフレームワークです。「世界で最もアクティブなシード投資ファンド」と言われている500 Startupsの創業者・CEOであるDave McClureにより提唱されました。
AARRRの名称はサービスの各成長段階を表す「Acquisition」「Activation」「Retention」「Referral」「Revenue」の頭文字で
- Acquisition - ユーザー獲得
- Activation - ユーザー活性化
- Retention - ユーザーの継続利用
- Referral - 友人や外のネットワークへの紹介
- Revenue - 収益
を意味し、海賊の叫び声を模していることからPirate Metrics(海賊指標)とも呼ばれています。
本記事は、各成長段階の目的やそれに対するKPI設定から施策例をご紹介します。
AARRRモデルを使用するメリット
AARRRモデルを使用することで各段階ごとにKPIを設置し、分析・モニタリングを行えるので計画的な製品・サービスの成長戦略を立てることができます。それによってどの段階に課題が存在するのかが明確になり、最適な施策を打つことが可能になります。
モバイルアプリにおける活用法(KPIと施策、重要なポイント)
では実際にAARRRのフレームワークをアプリの成長に当てはめると、各フェーズでどのようなKPIを設置し、どのような施策を打つことができるのでしょうか?
出展: https://blog.pusher.com/web-marketing-for-developers-modelling-customer-behaviour/
Acquisition
目的
Acquisitionのフェーズでは、アプリをアクティブに利用してくれる新規ユーザーの獲得が目的です。
KPIと施策の例
KPIはダウンロード数、インストール数、App Storeページ訪問数、サイト訪問数、広告クリック数などがあります。施策はアプリをインストールしやすい環境を作ること、例えばASO、広告の最適化などがあげられます。
Activation
目的
Activationのフェーズでは、新規ユーザーの早期離脱を防ぐこととアプリを継続利用してくれるユーザーを増やすことが目的です。
KPIと施策の例
KPIはチュートリアル突破率や会員登録率、メルマガ・プッシュ通知の受諾率、セッション時間、セッションのスクリーン数、1日や短期間のリテンションなどがあります。施策は初回体験の最適化、つまりチュートリアルの最適化やUI・UXの最適化によりアプリの使い方や魅力を理解してもらいやすくするものがあげられます。
Retention
目的
Retentionのフェーズではユーザーの継続利用を促進させること、そして休眠してしまったユーザーを再訪させることが目的です。
KPIと施策の例
KPIは再訪率、MAU、訪問頻度などがあります。施策はユーザーとの摩擦が起こる部分の排除、継続利用するユーザーへの特典、カスタマーサポート、プッシュ通知や広告最適化などが考えられます。
Referral
目的
Referralのフェーズでは、継続利用してくれているユーザーが新規ユーザーを紹介・誘導してくれることを目的としています。
KPIと施策の例
KPIはApp Storeの平均点数、レビューの数、ツイート数、ソーシャルメディア投稿数などがあります。施策としては新規ユーザー獲得のためのレビューを促すメッセージ、ワンクリックのシェア機能、連絡先アクセス、紹介やシェアキャンペーンなどの最適化が考えられます。
Revenue
目的
Revenueは収益化を指し、ユーザーのコンバージョン、つまり継続利用ユーザーから課金ユーザーへの転換を目的としています。しかし、Acquisition、Activation、Retention、Referral全てのフェーズで行った施策全ては最後のRevenueのフェーズのためと言っても過言ではなく、収益を最大化するために各フェーズを最適化することが重要です。
KPIと施策の例
ビジネスモデルによって収益化の形は違ってくるのですが、KPIはARPU、LTV、アプリ内購入金額、有料サブスクリプション数、広告収入の金額などがあります。施策は特典などのキャンペーン課金メニューや課金のタイミング、カートの最適化などがあります。