この記事では、弊社Incipiaが調査した「Apple Search Ads」の各指標の相関性についてわかったことを紹介しています。(※調査は2016年に実施)この調査は非公式なものですが、今後Search Adsのデータを正しく活用するために、十分に役立つ情報と言えるでしょう。
今回は、Search AdsキャンペーンにおけるTTR (tap-through-rate)やCVR (conversion rate)のデータから、CPT (cost-per-tap)やCPA (実際にはCost Per Install)、ROAS (return on ad spend)などの統計結果を予測できるのかを調査しました。
しかし、この調査を続けていくにつれ、CPTにおいて興味深いデータが得られたため、途中からCPTとCPA、またCPTとROASの相関性に関する調査へと移行し、いくつか重要な結論が得られました。
- CPTはCVRよりもCPAに影響を与える。
- CPTはCVRよりもROASに影響を与える。
- TTRはCVRにあまり影響を与えない。
調査条件
- 分析対象は141個の完全一致で入札したキーワード
- 入札は途中で変更しない
- データ集計は2週間ごと
- 最低でもimpが1以上発生したキーワードが対象
調査結果
上記でも触れましたが、今回の調査により、CPTが、CPAとROASに影響を与えるという興味深い結果が得られました。
「CPA = CPT/CVR」であることから、CPTの低下もしくはCVRの向上が、CPAを下げるのに効果的であると言えます。CVRには0〜100%の制限があるのに対し、CPTは理論上、上限がありません。しかし実際には、CPTを高くしすぎると、市場を独占することになってしまうので、CPTにも上限が生まれます。
CVRの向上によってCPAが低下した場合の決定係数は「0.2284」であり、傾きは「-0.0746 」でした(CPAは低い方が望ましいため、傾きはマイナスになっています)。
一方、CPTの低下によるCPAの低下の場合の決定係数は「0.25095」で、傾きは「-0.0772x」です。
このデータを比較すると、CPAに与える影響はCVRよりもCPTの方が約10%大きく、約3%効果が大きいことが分かります。
このように、CPAを減少させるには、CVRよりもCPTを低下させる方が効率的だということが明らかになったのです。そして、さらに理解を深めるために、次はCPTとCVRがROASにどのように影響をあたえるのかについても調べました。
その結果、ROASもCPAと同様に、CVRよりCPTから大きく影響を受けることが判明したのです。
CVRの向上によるROASの向上を示す決定係数は「0.0445」であり、傾きは「0.0374x」でした(ROASはより高い方が望ましいため、傾きはプラスです)。
そして、CPTの低下によるROASの向上を示す決定係数は「0.31616」であり、傾きは「0.0516x」でした。
調査の中で発生した2つの例外値を除いても、CPTがCVRよりも影響を与えるという事実は変わりませんでした。
この場合のCVRの向上によるROASの向上を示す決定係数は、「0.04979」になり、傾きは「-0.0041x」となりました。引き続き、CVRとROASの相関性は低いという結果が出ています。
そして、CPTの低下がROASの向上を示す決定係数は「0.02093」であり、傾きは「0.0016x」になりました。
その他の調査結果:
TTRからCVRは予測できない(相関性なし)
TTRからCPAは予測できない(相関性なし)
CVRからCPTは予測できない(相関性なし)
TTRからCPTは予測できない(相関性なし)
例外値を考慮した上で、TTRはROASと相関性がある
今回の調査では、データ量が少なく、この傾向が必ずしも信頼できるとは限りません。しかし、今回の調査によって得られた結果は興味深いものであり、今後のSearch Adsに関するデータ収集の土台作りになったのではないでしょうか。
この記事は、Incipia社のブログ"Apple Search Ads Study: CVR vs CPT as a Prediction Statistic"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on Incipia in English under the permission from the author.