はじめに
本記事ではMedium上に掲載された記事How I got 2.3 million app downloads (without spending a cent on marketing)を全4回にわけて紹介します。
パート3で著者は新しい課金商品を導入しその収益を1日あたり平均$10増加、年末年始には特需もありました。他方、レビューやフィードバックを得るためにAppbotXを導入し、レビューを増やし、問い合わせを1日に2通から1週間に1通まで減らすことができたのです。
パート4ではiPhoneの新機能にいち早く対応することによる効果がどうであったのか。そして、アプリが最終的にどうなったのかまでを追います。
HealthKit
Appleは『HealthKit』という開発者向けのツールを発表しました。これにより、Apple公式の「ヘルスケア」アプリとサードパーティーアプリの間でユーザの健康関係のデータの連携が可能になります。以下がAppleによる『HealthKit』についての説明です。
「『HealthKit』を使うことで健康とフィットネス関連のサービスのデータを新しい「ヘルスケア」アプリとシェアしあうことができます。また、ユーザーの健康に関する情報は安全なデータ集積場所に保存され、ユーザーはどの情報をあなたのアプリと共有するのかを決めることができるのです。」
この機能は7 Minute Workoutにはぴったりなように思えます。
私はAppleがこの機能をローンチしたと同時に『HealthKit』のサポートをしたいと考えていました。そのため、忘れずにiOS8を導入し、HealthKitとiPhone6/6 Plusへの対応をローンチされるだいぶ前に済ませ、App Storeへ登録しておいたのです。
iOS8はオーストラリアでは夜中にローンチされたのですが、朝起きるとこのような通知が届いていました。
あなたのアプリはAppStoreから削除されました。
また、アメリカからの電話も1本逃していました。Googleでその原因について調べたところ、このような見出しのものを見つけたのです。そこには次のようなことが書かれていました。
「Appleは『HealthKit』のローンチ間際に重大な欠陥を発見したため、『HealthKit』と互換性のあるアプリをApp Storeから削除しました。」
これを読んで、アプリを削除されたのは自分だけではないのだと安心しました。Appleはその後この問題に対して素晴らしい対応を取ってくれたのです。
電話で継続的に最新情報を教えてくれましたし、36時間以内には今までと変わらないランクと検索順位でApp Storeへ認証してくれました。
『HealthKit』への対応のアップデート直後にApp Storeからアプリがなくなってしまったことに困惑したユーザーがたくさんいましたが、幸運なことにFAQを(自慢の)AppbotXによって足すことができたので問い合わせは最小限で済みました。
アプリプレビュー
『HealthKit』への対応はiOS8のローンチと同時に行うことはできませんでしたが、アプリのプレビューを載せることはできました。さらに、オーストラリア版Apple Storeはトップページでそれを取り上げてくれたのです。
パースのAdam Shawがこのアプリのプレビューを作るのに尽力してくれました。ぜひ彼のアプリDressedも使ってみてください。とてもよいアプリです。
HealthKit パート2
iOS8.0.2がローンチされると『HealthKit』は正式に導入されました。アプリがアメリカのApp Storeのホームページ上に“Apps for Health”として特集された際、私はメルボルンの集会で講話をする(さらに、その後2週間家族と旅行をする)予定があったため外出していたのです。
これによって次のような成功を収めることができました。
これがこのアプリの最盛期であり、新年の時よりも高い売上です。さらに、その後数日にかけてたくさんの記事が書かれました。以下がその記事になります。
Appleにピックアップされるということ
「自分のアプリをAppleに取り上げてもらうためのチャンスを一つでも多く作るべきである。」これは『HealthKit』のいち早い導入に踏み切ったのと、アプリのプレビュー画面から得られたことです。
信じるか信じないかはあなた次第ですが、Appleはいつも特集するためのアプリを探しています。ピックアップしてもらうために、Appleがローンチする予定の機能をいち早く導入するよりうまくいく方法があるでしょうか。皆さんはWatchKitの導入は順調にいっていますか?
Wahoo Fitness が買収
Wahoo Fitnessはアプリと連動した素晴らしいセンサーを生産しており、2014 WWDC Keynoteで取り上げられました。彼らの新しいTICKR Xというセンサーは心拍数をモニタリングでき、エクササイズ中に繰返された動作の回数を数えることができます。
そのため、WahooのMikeが5月に7 Minute Workoutについてのメールをくれて、彼らの製品と私のアプリとの相性がとてもいいと分かったとき、私はとても興味を持ちました。
その後2ヶ月かけて何回か議論をしましたが、お互いのアプリとデバイスがまだ連携するには不十分であるということで話が落ち着いてしまったのです。
あっという間に11月になると、状況が変わりました。私はその時Appbotに真剣に取り組んでいたのですが、Wahooは7 minute workoutを買収したいというオファーをしてきたのです。これがちょうどいいタイミングで彼らならうまくやってくれると信じていました。
最初のころから関わってくれたChipとMike、その後のJPとDave、アプリを引き渡すときのBenまで、私が関わったWahooの人はすべて素晴らしい人たちでした。ありがとうございました。
彼らにはこのアプリのための壮大なプランがあります。例えば、すでに複数のトレーニングのカスタマイズ機能、新しいビデオ、さらに回数を数えるためのTICKR Xとの連携機能が導入されています。
来年、このアプリがどのように成長していくのか待ち遠しいです。
最終的な数値
230万ダウンロード
770万アップデート
7万2千ドルの収益
アプリを作り始めたとき影響を受けた方々からメール、ツイート、そして私のブログに多くの素晴らしいメッセージを頂きました。
ブログを読んでくれたみなさん、フィードバックをくれたみなさん。ありがとうございます。
次に待ち受けるものは?
現在、私はずっといつかやりたいと思っていたAppbotの作成と成長に全ての時間を捧げています。多くの新しく画期的な機能を準備しているのです。
その多くはSentiment Dashboardといった新しい実験から影響を受けています。
初期のスタートアップの興奮、新規の課金ユーザーの獲得の喜び、そしてユーザーとコミュニケーションをとって彼らが必要とするサービスを提供することはとても素晴らしいものです。やみつきになります。
最後に
Chip(WahooのCEO)と最初に電話で会話した際、彼が私に言ったことは今後いつまでも私の記憶にとどまり続けるでしょう。
「我々はもしあなたのブログのこの話を読んでいなかったら、買収のことなんか考えなかっただろう。」
私はちょうど実験についての記事パート1の最初の段落、最初の所を読み返していました。「あなたの製品をめぐるストーリーを作ることがどのくらい大事かって?」今だったら「とても大事だ」と確信を持って言うことが出来ます。
おわりに
最終的に著者は「7 Minute Workout」で230万のダウンロードを獲得し7万2千ドルもの収益あげました。 誰もがこの著者のようにうまくいくとは限りませんが、どのアプリにも潜在的には成功の可能性があります。
現在アプリを開発していない個人、ビジネスは素晴らしいアイデアを持っていれば誰でも数百万ダウンロードされるアプリを開発することは不可能ではないのです。
何よりも大事なことは、この著者のように実際にアプリを開発したり、施策を試してみたりと行動を起こすことでしょう。
この記事は、Medium上の記事" How I got 2.3 million app downloads (without spending a cent on marketing)"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on Medium in English under the permission from the author.