LTVを最大化するための価格戦略

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2020.01.08
LTVを最大化するための価格戦略

目次

LTVを最大化するための価格戦略 Homejoy

Homejoy((掃除したい人と掃除してほしい人をマッチングさせるホームクリーニングのスタートアップ。2015年夏に倒産している))は失敗してしまいました。ニュースでは法的問題に焦点をあてたものが多いですが、倒産の真相は数え切れないほどのSaaS企業が日々犯している根本的な失敗にあります。

顧客獲得にお金を払いすぎなのです。資金調達して成功にむけた計画を作り、高い成長率を達成するために多額の顧客獲得コスト(CAC)を支払うのがスタートアップの世界ではよく言われる方法です。そうするとスタートアップは成長する、本当にそうでしょうか?お金はいずれ尽きてしまいます。あなたが確固たる地位を築かなければ、最終的にはHomejoyやZirtualのように潰れてしまうのです。収益となる正しい顧客生涯価値(LTV)を設定するのに役立つよう、成功しているSaaS企業がどうやって多額の収益を得て真の利益成長を実現しているか、3つの重要なポイントを順番に見てみましょう。

成功するSaaSビジネスの方程式

成功しているSaaS企業の経営者はHomejoyのようにやみくもな努力はしません。SaaSの真髄は数学であるとわかっているからです。持続的な成長を続ける企業を作るには、自社のSaaSの方程式において2つの評価指標を確実に抑えなければいけません。顧客生涯価値(LTV)と顧客獲得コスト(CAC)です。以下でその方法をご紹介します。

CACの3倍以上のLTVを達成するLTV/CAC。あなたが絶対に理解しなければいけない基本の割合です。この割合が1を上回っていれば収益をあげている状態です。もし1を下回っていたら、新規顧客を獲得するたびに減益になります。とてもシンプルですが、これを抑えていなかったらあなたのビジネスは根本から持続不可能なものであり、最初からビジネス終息がカウントダウンされてしまうでしょう。

SaaS製品の価格戦略-01

私たちは最適なLTV/CACの割合は3以上であると考えています。顧客獲得に1人あたり1ドルかければ全員が3ドル払ってくれる状態です。これは数多くのSaaS企業の成功と失敗の歴史によって得られた結果です。3以上でなければいけない理由は、CACは前払いであるのに対し、LTVは時間をかけて生じるからです。LTV/CACが低ければキャッシュフローは深刻な問題になるでしょう。加えて、ビジネスにおいて発生する他の支出、つまり給料や家賃、業務費用などのために余剰を持っておく必要があります。会社全体でも黒字にするためです。そうでなければ、顧客からの収益はこれら間接費をカバーするほど十分ではないでしょう。

“[適切なLTV/CACの割合] + 最適化された価格 + バランスのとれたCAC = SaaSの利益”

LTV増加のために価格を最適化する

営業のファネル、マーケティングキャンペーン、Eメール、広告、記事、ツイートは究極的には全て価格表ページへの誘導です。このページこそ全ての顧客を呼び込むべき場所になります。全ての獲得コストは顧客をこのページに連れてきて価格戦略を強化しサービスの有料会員として登録してもらうために費やすべきです。

しかしながらSaaS企業は価格を決めるのにたった6時間しか費やしていません。企業は常に新規顧客の獲得を考えていますが、獲得した顧客をどうやってマネタイズするかはあまり考えていないのです。ここに多大なる時間配分のミスマッチがあるとわかりました。

SaaS製品の価格戦略-02

価格はビジネスにとってコストや量など他のどんな要因よりも影響が大きいものです。(上図参照) 事実として、固定コストや量を1%改善した時にもたらされるのがそれぞれ2.3%、3.3%であるのに対し、価格を1%改善すると11%の収益増になるという結果が出ています。

価格を最適化することで、顧客のLTVはかなり増加するでしょう。中小企業のクライアントには高い値段をふっかけないことです。多くのチャーンを引き起こす原因になります。それと、大口のクライアントには値段を吊り下げないことです、中小企業が支払っている5~10倍は喜んで支払ってくれるでしょうから。

加えて、よりよい価格設定にすることでCACも改善するでしょう。なぜなら価格ページこそ顧客獲得のファネルにおいて鍵を握るステップだからです。見込み顧客は価格ページであなたにチャンスを与え、プロダクトを試してみるかを決めますし、離脱して二度と戻ってこないのも価格ページです。価格ページはあなたのマネタイズ戦略における考えを表しています。価格ページに時間を割けば、長期的に見てあなたのビジネスの基盤を強化することができるでしょう。

サービス規模の拡大に伴うCACを注視しておく

一般的に、顧客獲得コストはサービスが成長するにしたがってリターンが減っていくという法則に従います。初期の顧客獲得コストは安いです。彼らはあなたの友人、もしくは友人の友人、それかあなたのソリューションを非常に欲している人たちだからです。

SaaS製品の価格戦略-03

しかしサービスが成長するにつれて、同じコストで獲得できる顧客の数は減っていきます。さらなる成長にはもっとお金を支払わなければいけません。この時点でCACを上げる誘惑に駆られます。アップセルをしてLTVを増加させれば次の資金調達のラウンドまでに必要な数字に達するのでは、という漠然とした願望があるからです。もしくは、SaaS製品の無理な改善はできますが、それはつまりCACに圧力をかけることを意味します。CACを下げるためには次のようなことを行う必要があります。

* ファネルの最適化

* 営業とマーケティングの効果を増加させる

* インバウンドマーケティングの獅子

* 価格の修正

* オンボーディング体験の改善

自然と驚くべき成長を遂げる「グロースハック」とは異なり、ここにはセクシーな銀の弾丸はありません。ファネルを分解し、一番活用できそうなところはどこか探しましょう。広告のクリック率は低いでしょうか?クリック率が高いとしても、お試しから有料アカウントへのコンバージョン率が非常に低いとわかったりはしませんか?一旦弱点を突き止めたら、オフィスを出てそのフローを経験している人と話し、新しいユーザーフローを試して何がうまくいくか突き止めましょう。

短期間のトレンドや流行に流されてはダメ

獲得はスタートアップやSaaS企業にとって、とても重要な考えになってきています。ほとんど全ての記事が獲得に関するもののように見えます。しかし獲得は健全なビジネス構築の方程式の半分でしかありません。思い出してください。あなたが顧客を獲得するのはマネタイズのためです。今更このことを話す人はいないようですが、顧客からお金を稼ぐことはビジネスを成功させる上で絶対的に、 実績のある道のりです。適切なマネタイズの戦略をしなければ高いCACに飲み込まれてしまうでしょう。キャッシュが尽きて誰も助けてくれる人がいなくなるのは時間の問題です。基盤を固めて下さい。そうすれば長く続く会社になるでしょう。

この記事は、Price Intelligentlyのブログ”How To Get Your SaaS to Profitability in 12 Months”を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on Price Intelligently in English under the permission from the author.

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