デザイン・戦術・戦略という3つの観点から、CVR(コンバージョン率)が高い広告の共通点を12個洗い出しました。
広告主は見栄えの良い広告を作るために細部までこだわることに意識を傾けてしまい、コンバージョン率を上げる作業を忘れてしまう傾向にあります。そのためCTRばかりに捉われ、新規ユーザー獲得という本来の目的を見失ってしまう可能性があるのです。
高いコンバージョン率を誇る広告は、次のようにして作ります
この「公式」に当てはめて、高い成果を出した150本のFacebook広告を分析して発見した共通するトレンドと、これらの広告が他の広告よりも優れている理由を紹介します。
適切なオーディエンスをターゲットとする
優れた広告を作成しても、間違ったオーディエンスに届いてしまっては全く成果を残せません。この記事では、より多くのコンバージョンを実現する要素について、深く説明していきます。
まずは適切なオーディエンスをターゲティングすることから始めましょう。コンバージョン率の高い広告は、次のようなことが共通しています。
「類似したオーディエンス」を統合する
Facebookの「類似したオーディエンス」を活用することでより広いユーザーグループをターゲティングできます。既存オーディエンスを特性によって分類すれば、より幅広いターゲットを獲得することが可能です。
たとえば幼い子供を持つ両親に向けた、定期購読型メディアストリーミングアプリをリリースしているとしましょう。この場合、次のような類似オーディエンスを生成できます
- 1か月以上購読を続けている人々
- 10本以上のタイトルを視聴した人々
- アプリのFacebookページをフォローしている人々
- アプリのFacebookの関連ページやユーザーをフォローしている人々
- 最近アプリのFacebookページに投稿した動画を半分以上視聴してくれた人々
こうした類似オーディエンスを活用することで高い効果を得ることができます。他の類似オーディエンスと重複する可能性が高いため、なるべく広く、かつ競合する広告を避けるような組み合わせを探してください。高い成果をもたらすには、1~2%の類似オーディエンスに注力するのがいいでしょう。
類似オーディエンスは複数を組み合わせることが主流で、総予算の約45%を平均的に費やしています。これらは最もパフォーマンスの高いオーディエンスが含まれることが多いです。
oCPM配信を利用する
最適化インプレッション単価 (oCPM) によるターゲティングは、商品の購入など大きな効果をもたらします。今回私たちが分析した広告においては、90%以上がoCPM配信でした。
oCPM配信はファネルの上部にあたるランディングページの閲覧数といったものから、下部にあたる商品の購入といったイベントまでを最適化できます。Facebookの「アプリイベントへの最適化 (AEO) 」は質の高いユーザーを引きつけられるため、モバイル広告においては優れた戦略です。
ただしoCPMにはいくつかの欠点があることを覚えておきましょう。この戦略ではオーディエンスが100万人を超えなくては有効な結果は得られません。したがって、最適化の対象となるアプリイベントが少なくとも1週間に25~50回以上行われなければ、十分な情報を得ることが出来ないのです。もしアプリイベントを行ってもらうことが難しいのであれば、「カートへの追加」といった別のアプリイベントに切り替えるか、組織のデータを分析して関連性を特定したアプリイベントに切り替えましょう。
既存顧客は除外する
必ずしも戦略的とは言えませんが、今回分析した広告のうち 成果の高かった広告全てが、現在の顧客や購読者をリストから除外していました。
効率的にターゲティングするためにも、定期的にリストから現在の顧客や購読者を取り除きましょう。また、一度離脱した顧客に対してリターゲティングキャンペーンを行っている場合には、その対象の顧客をリストから除外してください。
プラットフォームやキャンペーンの目標によって、除外すべきものは変わりますが、よく除外されるのは、次のような対象です。
- 既存の顧客や登録済みユーザー、定期購読者
- ページのつながりやフォロワー
- 従業員、役員、パートナーなど
広告を適切な場所に適切なタイミングで配信する
最も関連性の高いオーディエンスへのターゲティングで多くの潜在顧客に広告を配信することは可能になるでしょう。しかし、より多くのユーザーに配信するためには、適切な場所と時間に潜在顧客へリーチしなくてはなりません。
ここからは配置とタイミングにおいて、最も効率の良い方法を紹介します。
配置を分割する
Facebookは「モバイルとデスクトップ」や「Facebookとストーリー」、「フィード内とストーリー」、などの広告が配信できる場所が分かれており、アルゴリズムによって理想的な組み合わせを見つけ出す手法を推奨しています。またFacebookはInstagramも同じ広告を載せられるようにしており、広告主にそれらを一緒に配置するように促しているのです。
すでに何度か広告を出している方は、このアプローチに真っ向から対立してみましょう。なぜならユーザーは、異なる場所では異なる振る舞いを見せる可能性があるからです。
例えば、スマートフォンユーザーはスマートフォン上で閲覧する時はデスクトップ上で閲覧している時よりも、100ドル以上の購入をする傾向が低いということです。Instagramストーリーズのレイアウトは、フィード内よりもビュースルーコンバージョンをもたらしやすくなっています。
つまり、あなたがもっとユーザーの行動や広告を配信する場所の成果について知りたいと思っているならば、それらをそれぞれ分けて成果を確認するのです。もしも同じ広告とターゲティングがあらゆる場所でうまく働くと確信できたなら、一度分割し、再び結び付けましょう。
リターゲティング戦略を深く検討する
リターゲティング広告では高いROIを得られることもありますが、うまく機能しない場合もあります。あなたのターゲティングが売上単価の向上を目指したもの、もしくはまだ購入されていないアプリのDLを促すものである場合だとしても、それが最も重要な戦略であるかを注意深く検討してください。
まずは、潜在顧客を探し出し、リターゲティングしている顧客とセグメントしましょう。この時に既存顧客などの除外も忘れないでください。セグメントした潜在顧客から購買意欲をプロセスとして更にセグメントし、それぞれに向けた広告を作りましょう。
現在の顧客やWebの訪問者をリターゲティング向けに分割する手法は、非常に多く存在します。その中で私たちがよく活用しているのが、リマーケティングに十分な予算を割り当てる方法です。私たちは リターゲティングに予算の13%を割り当てており 、残りは潜在顧客を探しだすことやユーザー獲得キャンペーンを通じて新規ユーザーにアプローチすることに使っています。
iOSとAndroidに別々の戦略を
iOSとAndroidに対して別々の戦略を用いることも、より効率的に優れた手段であることがわかっています。今回分析した成果の高い広告の80%がiOSとAndroidで違う戦略を活用していました。
まずはあなたのアプリが両OSで利用でき、最小限のDL数に達していることを確認してください。
次に、ユーザーがどのような端末を使っているのかを想定しましょう。もし高級品を販売しているなら、より高額な端末を使用しているユーザーをターゲットにするがのいいでしょう。さらに、AndroidユーザーとiOSユーザーは、異なる特性を見せることが多く、入札やターゲティング、デザインなどにおいて、異なる戦略が必要になることが多いです。
人を引きつけるデザインを作る
人を引きつける広告を作ることは、適切なオーディエンスにアプローチすることと同じくらいに重要です。近年は、高品質な画像・動画素材が容易に手に入ります。こういった素材を大いに活用しましょう。
外部からの裏付け
引用やユーザーレビュー、ロゴなど、どのようなものであっても、その長所を活かすように作りましょう。National Public Radio(NPR)やOprah、TechCrunchなどの信頼度が高い著名なメディアがあなたのブランドについて言及した場合には、その発言を引用した広告に仕上げると良いでしょう。
同様に、ロゴやユーザーレビュー、アプリストアのアイコンも、コンバージョンを高める効果を持っています。この戦略を実践した広告は、リマーケティングにかかるコストが27%も低くなることが分かっています。
イラストと絵文字
CTRを高め、コンバージョン率を向上させる方法として、広告のコピーと画像に絵文字を用いる手法が一般的です。絵文字だけでなく、イラストでも製品の機能や利益を伝えたり、ブランドの雰囲気を表現することが可能です。
広告にイラストを含めてコンバージョン率が24%上昇した事例もあります。最近、イラストがFacebook広告最大のトレンドの一つと承認されたこともあり、多くのトップブランドが、イラストを活用しています。
画像内CTA
画像内のCTAはとても効果があります。動画のエンドカードか静止画像のどちらに配置された場合でも、CTAは平均して38%コンバージョン率を向上させてくれます。**
CTAは簡単に人々の関心を集め、クリックを促してくれます。誘導先がどのようなものかを率直に伝えられるのもCTAの利点です。この続きは、次に解説します。
購買者の購買意欲を促進する
CTRが2%を超えたとしても、それがコンバージョンに結び付かなければ、何の意味もありません。高いコンバージョン率を達成する最後のポイントは、ターゲティングや広告自体よりも、購買者に向けたメッセージを一貫させることに関連しています。
一貫したメッセージと画像
広告では、誇張表現などは使用しないでください。一貫性のないストーリーやつながりのない画像を使った広告でも問題はありませんが、やはり優れているとは言えません。
下記によくない例をご紹介します。
- 広告で割引を約束しておきながら、サイトやアプリでは割引が適用されないこと。実際には割引では無いことが記されているとしても、誤解を生まない広告を作りましょう。
- 個別の商品を紹介しながらも、全ての商品が表示されるwebページに誘導すること。これについては次で詳しく解説しますが、深いつながりをうまく活用するといいでしょう。
- 実際は売り切れている商品を宣伝すること。製品情報を最新に保ちましょう。
- 不正確であったり、紛らわしいCTAを使うこと (たとえば、明らかに商品の販売が目的なのに「もっと知る」というCTAを使うこと。この場合はシンプルに「今すぐ購入」にしましょう) 。さまざまなCTAをテストしていると思いますが、CTRを継続的に高めるには、適切な言葉で誘導しましょう。
- クリックを誘う大げさなタイトルとコピーを、それにそぐわないコンテンツに対して用いること。クリックしてくれた顧客の期待を裏切ることになります。
- 季節や地域とあまり関連のない商品を広告すること。
潜在顧客が広告を目にした瞬間から購入 (とその先) まで、一貫したストーリーを構築するのが大切です。
製品固有のランディングページ
もし特定の製品を宣伝するのであれば、広告の形式に関わらず、その製品ページに誘導するようにしましょう。私たちが分析した広告のうち、製品ページに誘導したものは、平均よりも53%も高いコンバージョン率を達成していました。
加えて、製品ページへ誘導したら終了ではないことを覚えておきましょう。他の製品へとつなげることで、独自の体験や接触を構築することが容易になります。
代替案を準備しておく
第一目標が購買者の獲得である場合、広告戦略はそれを狙ったものでなくてはなりません。もちろん、全員が購入まで進んでくれるわけではないため、ユーザーの思考や実際に起こすアクションを想定し、将来的に購入を行ってくれる可能性のために様々な案を考えておきましょう。
目標がメールの定期購読者の獲得あっても、プッシュ通知を確認してもらうことであっても、もしくはリターゲティング戦略を活用したいだけであっても、代替案を用意しておく必要があります。ちなみに、もしこの代替案の準備に時間と予算を投資する場合には、それぞれのデータを取得しておき、結果を分析しましょう。そうでなければ、せっかくのチャンスがなかったことになってしまいます。
最後に
どれだけ美しい写真を利用したり、どれだけ素晴らしいグラフィックデザイナーを起用したりしたとしても、結局のところ広告で重要なのは、コンバージョン率をあげられるかどうかです。実際の人々を価値ある顧客へと変えることができたなら、それはあなたの広告が、深い考察と正確なタイミングでのターゲティングを、説得力のある一貫したメッセージと融合させることに成功したということでしょう。
この記事は、Bamboo社のブログLessons Learned from Analyzing 150 of Our Top Converting Facebook Ads"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on Bamboo in English under the permission from the author.