2026.06.24
【今回のご相談】
ゲーミフィケーションのことをもっと詳しく教えてほしい。前回の相談(離脱率8割の壁を越える。新規ユーザーをファンに変える、ゲーミフィケーション活用の勘所)でゲーミフィケーションの概念のようなものはだいたいわかった気がするんですが、もう少し具体的に、どんな方法があるのか、どんな考え方で進めればよいのか、さらに言えばうまくパク……いや、施策の参考にできる事例などあれば見たいです。(ポイントアプリ担当、30代男性)
新しいアプリが日々登場し続ける中、単に便利な機能を備えただけでは使い続けてもらうのが難しくなっています。ユーザーの生活の一部としてアプリを定着させるためには、自然と開きたくなるような体験設計の工夫が必要です。そこで注目されているのが、ゲームの要素を応用してユーザーの利用意欲を高める「ゲーミフィケーション」です。
アプリビジネスにおいては、ログインボーナスや、ポイントが当たるガチャ、抽選などをゲーミフィケーションの代表例として思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。アプリ本来の体験の中に「ついついやってしまう」仕掛けを組み込むことで、ユーザーの自発的な利用を後押しできるのがゲーミフィケーション最大のメリットといえます。
しかし、前回もお伝えした通り、アプリ本来の目的と関係のないゲーム要素を追加してしまうと、ユーザーにとって継続するメリットが見当たらないどころか無駄なストレスの原因となり、離脱につながってしまうことも考えられます。あるいは、自社のアプリが解決すべき課題を把握しないまま、「機能の導入」そのものがゴールになってしまいがちな点にも気を付けたいところです。
本記事では、国内外でユーザーから大きな支持を得ているアプリの事例を「習慣化」「没入感」「おトク感」という3つの切り口から詳しく見ていきます。これらの仕組みがユーザーのどのような心理に働きかけ、継続利用につながっているのか。施策を考えるうえでのポイントを整理しました。
海外のアプリ市場では、日本に先駆けてゲーミフィケーションを取り入れたアプリが多く登場し、多くのユーザーの支持を得ています。ここから先は、海外アプリの具体的な成功事例をポイントごとに見ていきましょう。
まずは、利用の中断を防ぐ仕掛けについて、語学アプリとして圧倒的人気を誇る「Duolingo」と位置情報界の老舗アプリ「Foursquare」の進化版(後継)アプリ「Swarm」の事例を紹介します。
※画像引用:Duolingo-英語-韓国語などのリスニングや英単語の練習(App Store)
まず紹介するのは、学習を継続させるための細かな体験設計が特徴的な語学学習アプリの「Duolingo」(Duolingo, Inc./アメリカ)です。
このアプリで注目すべきポイントは、本来、面倒に感じやすい学習というプロセス自体にゲーム性を持たせている点です。「問題を正解するたびに経験値が上がる」「学習を終えると、レベルアップしたりバッジを獲得できたりする」といったように、ユーザーが思わず学習を続けたくなるような工夫が随所に施されています。
継続利用を促す機能としては、連続利用日数をカウントするストリーク機能も見逃せません。「せっかく続けた記録を途絶えさせたくない」という心理を引き出すこの機能は、ユーザーにとってアプリを毎日開く動機付けにつながっています。
※画像引用:Swarm:Check in,Explore,Map(App Store)
位置情報アプリの「Swarm」(Foursquare Labs, Inc. /アメリカ)は、訪れた場所にチェックインをすることで、自分が今いる場所をほかのユーザーにシェアしたり、行動履歴を記録したりできる、ライフログアプリです。
このアプリで大きなフックとなっているのが、特定の場所に最も多く訪問したユーザーに与えられる「Mayer(市長)」の称号です。他者と称号を奪い合う要素を組み合わせることで、日常の移動を陣取りのような体験に変えていることがこのアプリの独自性につながっています。
「自分がその場所で一番の常連である」という特別感は、ユーザーにとって継続利用の動機にもなっています。
継続に根気が必要なアクションの促進に向けては、物語や設定の力を借りるのもひとつの手です。
ここからは、単なる作業をミッションや冒険に見立てることで、ほかでは体験できない没入感を生み出しているふたつの事例を見ていきましょう。
※画像引用:Zombies, Run!(App Store)
ランニングの継続を支援するアプリ「Zombies, Run!」(Six to Start Ltd. /イギリス)では、音声ドラマの要素が活用されています。
ユーザーは、イヤホンから流れる「ゾンビに追われている」という設定のストーリーを聴きながらランニングをします。ペースアップを促す際には、「ゾンビから逃げ切るために速く走らなければいけない」という物語上の目的を伝えることで、運動の苦痛をまるで映画の主人公になったかのようなワクワク感に変換。また、「物語の続きを聴きたい」という欲求はそのままユーザーにとって走り続ける理由となっています。
※画像引用:Forest - 集中・勉強タイマー(App Store)
「Forest」(時刻科技[SEEKRTECH CO., LTD.] /台湾)は、スマホの使用を制限することで集中時間を生み出すことを目的としたアプリです。
ユーザーが集中したい時間を設定すると、画面内に1本の苗木が植えられ、その時間スマホを触らずに過ごせると木が成長します。一方、途中で他のアプリを開いてしまうと木は枯れてしまいます。
「自分のせいで木を枯らしたくない」という心理に加え、ほかのユーザーと一緒に同じ部屋で木を育てる協力モードでは「仲間の木を枯らしてはいけない」という適度なプレッシャーが集中を後押しする仕組みも。
さらに、アプリ内で貯まったコインを使って現実世界での植樹活動を支援できる機能では、スマホを触らないという行動をそのまま現実の社会貢献に直結させることで、「自分の時間が有意義なものになった」というユーザーの満足感を生みだしています。
※画像引用:Habtica:Gamified Taskmanager (App Store)
「Habitica」(HabitRPG, Inc./アメリカ)は、日々のタスク管理に本格的なRPGの要素を取り入れたアプリです。
このアプリでは、仕事や家事などのタスクを完了すると、経験値やゲーム内通貨が手に入ります。この通貨を使って装備を整えたり、ペットを飼ったり、スキルを習得したりと、RPGとしての冒険を進めていくことができます。反対に、タスクを放置するとキャラクターがダメージを受けてしまいます。
事務的なタスクをモンスターを倒すための準備と位置づけることで、タスク管理の義務感を「ゲームを進めたい」という意欲に塗り替えているHabitica。世界観を作り込むことで、ユーザーのファン化を促進している事例です。
※画像引用:Pinduoduo(App Store)
世界有数のECプラットフォーム「Pinduoduo(拼多多)」(上海寻梦信息技术有限公司/中国)は、既存のECとは一線を画す成長を遂げたアプリのひとつです。その成功のカギは、共同購入の仕組みと育成ゲーム要素の融合にあります。
Pinduoduoでは、アプリ内で商品を閲覧したり、友人を招待したりすると、アプリ上の農園で育てている木に与える水や肥料がもらえる仕組みを取り入れています。ユーザーは「木を成長させたい」という動機で動く過程で、自然とアプリ内を回遊し、結果として実際の購買に至るのです。
こうした「育成×報酬」のモデルは、Pinduoduoの手法を追った韓国の「Always」などにも波及し、アジア圏のEC市場におけるひとつの勝ちパターンとなっています。
今回ご紹介した海外アプリのゲーミフィケーション事例についての、より詳しい分析・紹介を、こちらの資料に掲載しています。
この資料ではゲーミフィケーションの基本的な考え方を解説するとともに、今回の記事でご紹介した海外アプリの施策についても、実画面とともに、より深く、詳しく、分析しています。さらに今回ご紹介していないアプリも掲載していますので、ぜひご参考ください。
⇒LTV向上の世界トレンド_アプリのゲーミフィケーション海外事例集(全38ページ)
ここまで、様々なゲーミフィケーションの成功事例を見てきましたが、成功しているサービスはいずれもアプリ本来の目的とゲーム要素が地続きになっていることに気付かれた方も多いのではないでしょうか。こうした体験の一貫性を生むためにまず着手したいのは、アプリ内のどこでユーザーが離脱しているかを特定することです。
■参考記事:
・アプリユーザーが離脱し、二度と帰ってこなくなる5つの理由と対策(Repro Journal)
・ファネル分析とは? アプリのコンバージョンを最適化する方法を解説(Repro Journal)
「とりあえずミッションやガチャを置く」という機能ありきの発想ではなく、ユーザーの状態に合わせて、行動を後押しするための要素を置いていくことがゲーミフィケーションの成功には欠かせません。
ユーザーの離脱ポイントさえ明確になれば、ボトルネックを解消するための解決策は自然と見えてきます。ゲーミフィケーション施策に取り組む際の第一歩として、まずは自社アプリのどこで離脱が起きているのかを解き明かすところから取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
「やっぱり自社アプリのどこに課題があるのかわからない……」「離脱ポイントが明確になっていない」「だいたいできそうだけど、ちょっと自信がないから一度壁打ちしてから始めたい」という方は、ぜひお気軽にReproの「アプリ集客お悩み相談会(無料)」をご活用ください。
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