ベストセラー作家から学ぶプロダクトチームへの4つの教訓

Repro Journal編集部
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2025.06.26
ベストセラー作家から学ぶプロダクトチームへの4つの教訓

目次

人々の関心を集め続ける体験を生み出すにはどうすればよいのでしょうか。本記事はSF小説の名作「Ender’s Game」の著者であるOrson Scott Cardに聞いた、「人々の注意を引きつけ、その関心を維持する」体験設計のコツをまとめたものです。
Card氏によるストーリーテリングのアプローチは、魅力的なユーザー体験を生み出そうとするプロダクトチームにとって貴重な示唆を与えてくれます。

この記事は、Irrational Labsのブログ “4 Lessons for Product Teams From a Bestselling Author” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。

【1】アプリを利用しながらユーザーが“発見”をする

Card氏は、注目を集めるためには「劇的な仕掛けや不自然な緊張感は不要だ」と語ります。その代わり、読者が主人公とともに物語の世界を発見していけるようにするのです。「Ender’s Game」では、読者はバトルスクールやその課題について、主人公のEnderと同じタイミングで認識していきます。このような発見の共有が自然な没入感を生み出すのです。

プロダクトチームへの教訓

オンボーディングを発見の旅として設計しましょう。単に機能を説明するのではなく、ユーザーが探索を通じて自然に気づきを得られるようにするのです。そうすることで、強制的なチュートリアルや過剰な指示よりも深いエンゲージメントを生み出せます。 

このアプローチの実践例

  • 「Duolingo」は、言語の概念を説明ではなく、インタラクティブなレッスンを通じて紹介しています
  • 「Figma」は、自然な操作のなかでユーザーが高度な機能を発見できるようにしています
  • 「Notion」は、カスタマイズできるテンプレートから始めることで、ユーザーに機能を徐々に発見させていきます

【2】誤った使い方ができないようにする

Card氏は過去の経験から、「誤解できる余地がある限り、人は必ず間違える」ということを学びました。彼の採った解決策は、読者が一方向にしか解釈できないよう何度も推敲することでした。言葉の選び方やビジュアライズを徹底的に活用することで、意図した解釈に読者が自然に導かれるようにしています。

プロダクトチームへの教訓

ユーザーがミスをしたときには、ユーザーに責任を負わせるのではなく、ミス自体が起こり得ないように設計を見直しましょう。追加の説明を増やすよりも、正しい操作を自然に選びたくなるようなデザインを採用すべきです。

このアプローチの実践例

  • 「Square」の決済リーダーには、カードを正しい向きでしか挿入できない設計が採用され、読み取りミスが発生しないようになっています
  • 「Gmail」は、「送信取り消し」機能の搭載によって誤送信を防いでいます
  • Appleの充電ケーブルは、誤った向きでの接続を防ぐために特徴的な形状を採用しています

【3】ユーザーの実体験に寄り添う

Card氏は、物語の99%は読者のリアルと一致していなければならないと強調しています。そうでなければ、読者は物語全体を受け入れなくなってしまうからです。たとえSFを書いているときでも、彼は人間らしい経験や感情に根ざしたストーリーを紡いでいます。

プロダクトチームへの教訓

革新的なプロダクトであっても、その価値や操作は、馴染みのあるパターンや体験に基づいていることが重要です。多くの人は新しすぎるものを遠ざけてしまう傾向にあります。新機能は既存のメンタルモデルや行動様式に寄り添いましょう。

このアプローチの実践例

  •  「Zoom」は、ビデオ通話のUIに従来の電話インターフェイスを取り入れ、親しみやすくしました
  • 初期のスマートフォンは、「スキューモーフィックデザイン(馴染みのあるモチーフに似せたデザイン)」を用いてユーザーの理解を助けました
  • 「Robinhood」は、投資体験をゲームのインターフェイスに似せることで、投資を身近に感じさせました

【4】行動を観察せよ、意見を求めるな

Card氏は、読者から直接フィードバックを求めるのではなく、彼らが作品とどう関わるかを観察します。混乱している瞬間、違和感を覚えている場面、離脱している箇所を見つけ出し、読者に解決策を尋ねることなく自ら修正します。

プロダクトチームへの教訓

ユーザーの「発言」よりも「行動」に注目しましょう。分析データやユーザーセッションを通じて、ためらい、混乱、離脱の瞬間を見極めることが重要です。こうした行動のシグナルは、直接のフィードバックよりもはるかに信頼できます。

このアプローチの実践例

  • 「Netflix」は、ユーザーに何を観たいかを尋ねるのではなく、視聴行動を分析しています
  • 「Amazon」は、アンケートよりも購入・閲覧データを用いてレコメンデーションを改善しています
  • 「Instagram」は、ユーザーの要望ではなく、利用パターンに基づいて機能を進化させています

魅力的な体験はユーザー心理・行動の深い洞察から生まれる

Card氏のストーリーテリングのアプローチは、魅力的な体験は人間の心理と行動の理解から生まれることを示しています。小説を書く場合でも、プロダクトを開発する場合でも、成功の鍵は「発見の共有」「明確な進行ルートの提示」「親しみのある体験」「行動への注意」にかかっています。

この4つの教訓を日々の施策やプロダクト改善に活かしていってください。

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