2025.06.26

人々の関心を集め続ける体験を生み出すにはどうすればよいのでしょうか。本記事はSF小説の名作「Ender’s Game」の著者であるOrson Scott Cardに聞いた、「人々の注意を引きつけ、その関心を維持する」体験設計のコツをまとめたものです。
Card氏によるストーリーテリングのアプローチは、魅力的なユーザー体験を生み出そうとするプロダクトチームにとって貴重な示唆を与えてくれます。
この記事は、Irrational Labsのブログ “4 Lessons for Product Teams From a Bestselling Author” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。
Card氏は、注目を集めるためには「劇的な仕掛けや不自然な緊張感は不要だ」と語ります。その代わり、読者が主人公とともに物語の世界を発見していけるようにするのです。「Ender’s Game」では、読者はバトルスクールやその課題について、主人公のEnderと同じタイミングで認識していきます。このような発見の共有が自然な没入感を生み出すのです。
オンボーディングを発見の旅として設計しましょう。単に機能を説明するのではなく、ユーザーが探索を通じて自然に気づきを得られるようにするのです。そうすることで、強制的なチュートリアルや過剰な指示よりも深いエンゲージメントを生み出せます。
Card氏は過去の経験から、「誤解できる余地がある限り、人は必ず間違える」ということを学びました。彼の採った解決策は、読者が一方向にしか解釈できないよう何度も推敲することでした。言葉の選び方やビジュアライズを徹底的に活用することで、意図した解釈に読者が自然に導かれるようにしています。
ユーザーがミスをしたときには、ユーザーに責任を負わせるのではなく、ミス自体が起こり得ないように設計を見直しましょう。追加の説明を増やすよりも、正しい操作を自然に選びたくなるようなデザインを採用すべきです。
Card氏は、物語の99%は読者のリアルと一致していなければならないと強調しています。そうでなければ、読者は物語全体を受け入れなくなってしまうからです。たとえSFを書いているときでも、彼は人間らしい経験や感情に根ざしたストーリーを紡いでいます。
革新的なプロダクトであっても、その価値や操作は、馴染みのあるパターンや体験に基づいていることが重要です。多くの人は新しすぎるものを遠ざけてしまう傾向にあります。新機能は既存のメンタルモデルや行動様式に寄り添いましょう。
Card氏は、読者から直接フィードバックを求めるのではなく、彼らが作品とどう関わるかを観察します。混乱している瞬間、違和感を覚えている場面、離脱している箇所を見つけ出し、読者に解決策を尋ねることなく自ら修正します。
ユーザーの「発言」よりも「行動」に注目しましょう。分析データやユーザーセッションを通じて、ためらい、混乱、離脱の瞬間を見極めることが重要です。こうした行動のシグナルは、直接のフィードバックよりもはるかに信頼できます。
Card氏のストーリーテリングのアプローチは、魅力的な体験は人間の心理と行動の理解から生まれることを示しています。小説を書く場合でも、プロダクトを開発する場合でも、成功の鍵は「発見の共有」「明確な進行ルートの提示」「親しみのある体験」「行動への注意」にかかっています。
この4つの教訓を日々の施策やプロダクト改善に活かしていってください。
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