マーケターが最も学ぶべきものは、キャンぺーンに対する正しい指標を特定および測定する能力です。残念ながら、ほとんどのマーケターが、使用しても役に立たない指標のために貴重な時間とマーケティング費用を無駄にしています。
マーケティング施策は一つひとつが異なっており、マーケターがキャンペーンの成功または失敗を理解するために適切な指標がそれぞれあるのです。例えば、ソーシャルメディアのキャンペーンのための指標は、eマーケティングの指標やその他キャンペーンの指標とは異なります。
リファラルマーケティングのエバンジェリストとして、今回はリファラルキャンペーンを実施する際に重要な指標をリストにしました。また、本記事には、私のようにエクセルが苦手な人たちでも困らないよう、指標を活用するために必要な公式も載せています。
そういう訳で、「リファラルマーケティングで重要となる指標リスト」というタイトルにしました。
リファラルマーケティングの指標について
ここで、正しい指標をお教えする前に、私と皆さんである程度意見が一致している必要があります。リファラルキャンペーンの成功を正確に測るための正しい指標を評価するにあたり、みなさんも私と同様に以下の考えを持っていることが重要です。
- より多くのデータが必ずしもより良いキャンペーンのPDCAサイクル実現につながるものではありません。
- すべてのデータが役に立つという訳ではありません。
- 意思決定を手伝うデータが最も重要です。
ではデータを評価する際の真のエッセンスを理解したところで、一つ一つの指標を詳細に見ていきましょう。
セクション1: 一般的な指標
Active Users Sending Invites (AUSI: 招待を送るアクティブユーザー)
SaaSのビジネスモデルにおける月ごとのアクティブユーザーとは、通常はある期間中のユニークユーザーの数を意味します。しかし、リファラルマーケティングにおけるこの指標は少々異なります。マーケターが「紹介と獲得」を実現するために既存ユーザーを利用することを考えると、リファラルキャンペーンの効果を測る際に、月ごとのアクティブユーザーはActive Users Sending Invitesとして数えられるべきです。
端的に言えば、それは一定期間(通常過去30日間)にわたってみなさんのリファラルキャンペーンに参加するユーザーの数です。AUSIを計算する公式は単純にこの指標の説明通りです。
AUSI = 過去30日間にアプリを紹介したユーザーの数
Customer Acquisition Cost (CAC: 顧客獲得コスト)
Acquisition Costとしても知られ、リファラルキャンペーンの最重要指標です。この値からユーザー1人の獲得に必要な金額を算出できます。これは基本的に、リードを生み出すために費やしたコスト(ユーザーをリファーするために費やしたコスト)およびロイヤルユーザーになってもらうために費やしたコストの合計です。
リファラルマーケティングを行う際のCACを知る最も簡単な方法は、以下の公式を利用することです。
リファラルマーケティングにおけるCAC = リファラルおよびインセンティブを促進するために費やした全ての営業・マーケティング費用 / リファラルを介した新規顧客獲得数
Customer Life Time Value (LTV: 顧客生涯価値)
LTVにより、リファラルを介して獲得した一人のユーザーがみなさんのアプリにもたらす収益を算出できます。なお、他のソースではなく、リファラルを介してやってきたユーザーの獲得および収益にのみ焦点を当てているため、これはスタンダードなLTV値とは少し異なります。
LTVを定義する根本的な要素は、リファラル経由のユーザーがどのぐらいの頻度でコンバージョンにつながるか、コンバージョン1件あたりの収益はいくらか、そしてリファラルを介して獲得したユーザーがどのくらいの期間顧客として定着するかです。
(リファラルにおける)LTV= 1コンバージョンの平均収益 × ある期間における平均コンバージョン数 × 顧客の平均ライフタイム
Loyal Customer Value(ロイヤルカスタマーの価値)
まず、より多くのユーザーを継続してリファーしてくれる顧客をロイヤルカスタマーとみなします。LTVの存在下でしばしば無視されていますが、これは重要な指標です。リファラルキャンペーンをより良く評価するために、マーケターはLTVとLoyal Customer Valueはそれぞれ別の指標であること、同一のものとして測定されるべきではないことを覚えておいてください。
Loyal Customer Value= ネットプロモータースコア((顧客ロイヤルティ(企業やブランドに対する愛着・信頼の度合い)を数値化する指標)) / リファラル数
リファラル経由の顧客は、その他の方法で獲得したユーザーに比べてよりロイヤリティが高く、より高いLTVを持つことが分かっています。それと同時に、マーケターは、LTVはCPAよりも大きくなるべきだということを覚えていてください。
Customer Retention Rate (CRR: 顧客定着率)
Customer Retention Rateはしばらくの間アプリを継続して利用してくれているユーザーの割合のことです。ここでのユーザーとは、リファラルを介して獲得したユーザーのことを指します。CRRは月次、週次または年次でメンテナンス可能です。
CRR = CE / CS × 100 CE = ある期間の終了時点での、リファラルを介して獲得したユーザー数 CS = ある期間の開始時点での、リファラルを介して獲得したユーザー数
CRRはチャーンレート(離脱率)と正反対のものです。例えば、CRRが20%とは、チャーンレートが80%という意味です。
明瞭な区別をするために、リファラルにおけるCRRはその他アプリの指標とは別に計算されるべきです。CRRはユーザーのロイヤリティを知る指標であり、マーケターが顧客の満足度を評価する際に役立ちます。ほとんどのマーケターがユーザー定着の本当の価値とそれに関わる苦労を理解していることでしょう。新しくユーザーを獲得することは、獲得したユーザーを定着させることと比較してもとても簡単です。それゆえ、この指標はリファラルキャンペーンの健全性を評価する際に、より価値のある数字なのです。
セクション2: ユーザーレベルの指標
Invitees Per Referrer (紹介者1人あたりの招待された人の数)
紹介者により行われる招待の数もまた、マーケターがリファラルキャンペーンを評価する際に忘れられがちな指標です。最もロイヤルな紹介者またはインフルエンサーを「紹介&獲得」のキャンペーンに参加する多くの人の中から見つけ出すのに役立つため、Invitees Per Referrerは重要な指標です。
この指標により、マーケターは改訂されたリファラルおよびインセンティブ戦略をチェックするための十分なデータを得ることができます。
Invitees Per Referrer = 1人の紹介者によってシェアされたリファラルリンク(コードの数)
Clicks Per Invite (1招待あたりのクリック数)
Clicks Per InviteはInvitees Per Referrerの考慮すべきサブ指標です。リファラルリンク(コード)はTwitter、Facebook、Eメール、およびWhatsAppのような複数のチャネルでシェアされることから、この指標を用いて最も人気のあるプラットフォームを特定することは改良の鍵となります。
1つのリファラルリンク(コード)には2つのエンドがあります。紹介者エンドから始まり、招待された人(友達)エンドで完了します。Clicks Per Inviteは「招待された人がリファラルリンクをクリックする」というコンバージョンを表す指標です。
マーケターはリファラルリンクのメッセージとプレゼンテーションをチェックおよびアップデートするために、この指標を利用できます。例えば、全体向けのリンクと比較して個人向けのリンクの方がクリックを促すかどうかをチェックするなどです。
Click Per Invite = 1つのリファラルリンク上を、友達(招待された人)がクリックする数
Installs Per Invite (1招待あたりのインストール数)
アプリのリファラルプログラムの最終目的はアプリのインストールを促すことです。そこで、招待ごとのインストール数を追跡することは、リファラルキャンペーンを行う際に考慮すべき重要な指標となります。
モバイルアプリのマーケターとして、それぞれの招待またはリファラルリンクが何件のインストールを生み出すかを追跡できることは極めて重要です。
Installs Per Invite = 招待またはシェアされたリファラルリンクごとのインストール数
Churn Rate (チャーンレート)
Churn Rateは、ある期間にリファラルキャンペーンの参加を停止したユーザー数の合計を求め、パーセンテージの値として表します。
Churn Rate = 100 - CRR
セクション3: 補足の指標
Net Promoter Score (NPS: ネットプロモータースコア)
Net Promoter Scoreとはユーザーが新規ユーザーへ紹介する意欲を計算するスケール型指標であり、リファラルキャンペーンの効果をチェックする際になければならないものです。
多くのマーケターはNPSを役に立たない指標として認識するかもしれませんが、リファラルマーケティングキャンペーンを行う際にはその有用性を無視できません。NPSを計算する方法は以前の記事でお話ししました。
K-factor
バイラル(リファラルマーケティング)において、K-factorはモバイルアプリの成長率(バイラリティ)を示すために一般的に使用されています。
公式はおおよそ以下の通りです:
k = i × c i = それぞれのユーザーにより送られた招待の数 (例: 新規ユーザーがそれぞれ5人の友達を招待した場合、i = 5)c = それぞれの招待によるコンバージョン率 (例: 招待された5人のうち1人が新規ユーザーになった場合、c = 0.2)
いざ実践!
どのリファラル指標がみなさんにとって最も重要でしたか?上記の指標についてみなさんはどう考えましたか?
この記事は、 App Virality上の記事 “ The Ultimate List Of Referral Marketing Metrics For B2C Mobile Marketers“を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on App Virality in English under the permission from the author.