ディープリンクによるアプリユーザーのLTV改善

Repro Journal編集部
Repro Journal編集部
2020.06.01
ディープリンクによるアプリユーザーのLTV改善

目次

アプリ開発者がマーケティングキャンペーンやグロースのROI(投資利益率)を正確に測るためには、ユーザーの生涯価値(LTV)を理解する必要があります。カスタマーライフタイムバリュー(CLTV)とも呼ばれるLTVは、その名の通りアプリのユーザーライフサイクルにおける顧客やユーザーの平均的な価値です。

しかしながら、LTVを測るための最良の方法は未だにはっきりとしていません。ほとんどの記事がLTVを測るためには色々な方法があることを認めてはいますが、そのアプリの種類とそれに応じて利用可能な指標を選ぶのは開発者に任せきりです。

興味深いことに、Tapdaq社の調査によると、ほとんどの開発者がLTVはアプリにおいて最も重要なマーケティング上の指標であると考えているにも関わらず、それを測っているのは20人に1人だったことです。

LTVの方程式については熱く議論されていますが、開発者全員が同意することが一つだけあります。用いられる変数についてです。これらの変数のいずれかを改善することで、ユーザーの価値が高まります。

Apptaminの投稿にもあったように、変数は以下のとおりです。

  • マネタイズ...顧客が貢献するモバイルアプリの収益(広告の表示回数、サブスクリプション、またはアプリ内取引の形で)
  • リテンション...アプリと顧客エンゲージメントのレベル。とりわけ顧客の平均的なライフサイクルの長さ
  • バイラル...1人の顧客がアプリを紹介した時に追加されるユーザーの合計価値

ここで問題になるのが、どのようにしてアプリのLTVに影響を与える変数を改善すればいいのかということです。一つの選択肢としてはディープリンクが考えられます。ディープリンクはLTVに関係する上記3つの指標すべてを向上させることが可能です。

この記事ではマネタイズ、リテンション、そしてバイラルを改善するためにディープリンクがどのように使えるか、私たちがプラットフォーム上の何千ものアプリを見てきて得たリフトメトリックにインサイトを加えて紹介します。

ディープリンクによるLTV増

アプリユーザーのLTVを知ることで、実験とグロースに向けて新しい道筋が開けます。LTVを計算することができたら、新しい機能を開発するか、異なるマーケティングキャンペーンをテストするか優先順位を決め、その効果を測定することができるのです。

LTVは3つの変数からなる指標なので、アプリ開発者としてLTVに一番インパクトを与えると予想される変数を選択し、それに集中する必要があります。

例えば、マネタイズはサービスがスケールしてからついてくるものだということを知っていれば、短期的にはバイラルとリテンションに焦点を当てるべきでしょう。

アプリをシェアしてくれるユーザーが多いにも関わらず、アプリの利用期間が短いのであれば、ユーザーをリテンションさせるためにディープリンクを利用するのがいいかもしれません。ご自身のニーズに応じて下で説明している各項目にジャンプし、ディープリンクがどのように役立つか学びましょう。

アプリのマネタイズ

我々Branch社はバイラルとリテンションに関するディープリンクのユースケースを明確に持っていますが、マネタイズに関しては未だに十分な時間を割いて考えることができていません。なぜだと思いますか?

正直なところ、ほとんどのアプリがマネタイズしようとしていないからです。ほとんどの開発者が、マネタイズするチャンスはアプリが一定規模以上にスケールしない限り訪れないことを知りながら、モバイルアプリのエコシステムに参入します。

まずはユーザー数のグロースに集中すべきですが、ユーザーを獲得するにもお金がかかります。ディープリンクの利用によってCPIを下げる方法と、新しいアプリがマネタイズの前にユーザー数増加に焦点を当てるべき理由を説明しましょう。

マネタイズしようとしていないわけではありません。ディープリンクによってユーザーを獲得ファネルの奥のステップに進ませることが可能なので、ディープリンクがユーザー獲得に活用されている事例は多くあるのです。

アプリユーザーを獲得ファネルの奥に進ませる

獲得ファネルのことはみなさんご存知でしょう。円すい形で複数のステップからなり、最上段が「認知」のファネルで下に進むと顧客になります。

(わからない方はここをクリックしてください。

このファネルの目的は、ユーザーが顧客になるために通過しなければならない各ステップで、潜在顧客の数は減少するということを示すためです。そのため獲得ファネルのできるだけ多くのステップをスキップすることが望ましいと言えますし、ディープリンクはそういったところで活用できます。

上記の動画は『Close5』というeBayグループのアプリの例ですが、ディープリンクを用いたアプリのバナーによってモバイルWebサイトのユーザーをアプリにコンバージョンさせようとしています。

それだけではありません。ビデオを見ていただくとわかるように、ディープリンクはWebからアプリにやってきたユーザーのパラメーターを記憶し、アプリを起動するとユーザーがモバイル上で見ていたコンテンツに移動するようになっています。

このようにして、初めてアプリを使うユーザーにも、彼らが興味を持っている商品を購入する寸前のところから使い始めてもらうことができるのです。

別の例になりますが、Hotel Tonightはホテルを検索している人々の購買意欲を利用したディープリンク広告を使用しています。ユーザーが「シアトルのホテル」と検索すると、Hotel Tonightのアプリ内でシアトル市のホテル一覧に直接遷移するディープリンク広告を表示するのです。繰り返しになりますが、ディープリンクを使用し、購入のステップを省くことで、これらのアプリはマネタイズのチャネルを最適化しています。

顧客獲得コスト(CAC)の減少

先に議論した通り、多くのアプリは収入がない上に、すぐにマネタイズしようとしているわけでもありません。このようなアプリにとって顧客獲得コスト(CAC)の減少はマネタイズを最適化することと同じくらい重要です。

顧客獲得コストはこの一年で84%上昇し、2015年の9月現在は顧客あたり4.14ドルまで上りつめています。新規顧客獲得のためのコストを減少させることで、より早くマネタイズできるポイントまでスケールさせることができるのです。

もしマネタイズするプランを立てていないと、顧客獲得コストの減少によって生み出される利益はそこで限界を迎えてしまいます。理由は何であれ、顧客獲得コストを減少させることはアプリ開発者やマーケターにとっていつも悩みの種なのです。

私たちがHotel Tonightの結果を分析したとき、コンテンツ内のディープリンク広告におけるインストール数当たりのコストが16%も減少したことがわかりました。これはディープリンク広告からのインストール率が18%上昇したことによるものだと思われます。つまり最終的に前月比でブッキングに関しては94%、インストール数に関しては80%、収入に関しては99%も上昇したのです。マネタイズがいかにCACと密接に関連しているかがおわかりいただけたでしょうか?

ユーザーを維持してさらに再エンゲージメントする

LTVに影響を及ぼす2つ目の変数はリテンションです。リテンションはユーザーのアクティブライフサイクルそのものを定義するという点で重要になります。ここからはディープリンクがどのようにリテンションを改善するのかだけでなく、離脱しそうなユーザーをどのように再エンゲージメントするのかについても見ていきましょう。どちらの場合においても、顧客のライフタイムは上昇します。

ユーザーのリテンションを改善する

モバイルユーザーは気まぐれです。今年、たった一回しか起動されなかったモバイルアプリの割合は20%でした。それでも去年よりは改善されているのです!30日というのはアプリ事業者にとっては短く感じられても、アプリのユーザーにとってはそのアプリを使う一生分の時間である可能性があります。したがって、モバイルアプリのリテンションは普通1日や1週間、1ヶ月ごとに計測されるのです。

最近、私たちはディープリンクがユーザーのリテンションに与える影響について研究しています。その結果は驚くべきものでした。ディープリンク経由で獲得したユーザーは1日単位だと75%、1週間単位だと85%、1ヶ月単位だと103%リテンションが増加したのです。この研究結果はディープリンクによってあなたの顧客のLTVを2倍にできるということを示しています。

再エンゲージメントのためのディープリンク

完璧なアプリはありません。たとえリテンションレートを改善しても、ユーザーの離脱は避けられないのです。しかしそのようなユーザーも永遠に帰ってこないとは限りません。再エンゲージメントを促進するためにディープリンクを使ったあるリテンション対策のテクニックがあるのです。

我々の提供するBranch linksの長所の一つはスポットライト検索を含めた全てのプラットフォームと標準検索機能との互換性があることです。最近の記事の中で、再エンゲージメントを改善するためにどのようにスポットライト検索を利用できるのかということについて実演しています。

スポットライト検索の結果にダウンロードされていないアプリを表示させることはまだできませんが、ダウンロードされているアプリであれば検索結果に表示させることができます。あなたのコンテンツをスポットライト検索に表示させることで、一度離脱してしまったユーザーを新しいチャネルを通してふたたびアクティブユーザーにすることができるのです。

ディープリンクを用いたエンゲージメントと再エンゲージメントの活用アイデアはこちらのブログ記事をチェックしてみてください。

アプリの口コミを促進する

ユーザーのLTVを高めるための最後の要因は口コミです。我々のCEOであるAlex Austinは、口コミをモバイルにおける成長エンジンに変えることによってアプリを広める方法について詳細に説明しています。

彼はモバイルにおけるグロースエンジンを既存ユーザーに友達を招待してもらうための循環型エンジンとして定義しているのです。そこには認知、ダウンロード、アクティベーション、シェアという四つの重要なステージがあります。ご存知の通り、これらは顧客のLTVの要因と密接に関わっており、さらに彼はディープリンクがそれぞれのステージにおいてどのような役割を果たしているかという事例に目を向けているのです。

アプリをシェアしてもらえる確率を上げる

ユーザーがディープリンクによって興味を持ったアプリ内のコンテンツに遷移したとき、Close5の例を思い出してください。ディープリンクはユーザーを購入ファネルの最後まで導くだけでなく、シェアする頻度も増やしてくれるのです。

これは決して小さな差ではありません。ディープリンクから来たユーザーは平均で1.34リンクもシェアしています。一般的なシェア数の平均は0.17リンクですから、他のチャネルから来たユーザーよりも7.8倍上昇しているということがわかります。

平均的にディープリンク経由でアプリをダウンロードしたユーザーは、すべてのアプリ事業者が通過して欲しいと願っている口コミの壁を通り越して他のユーザーよりもたくさんのリンクをシェアしてくれます。以下の図はウェブバナーをクリックしたユーザーのフローの中での違いを示しています。一枚目はBranch社のlinksなしで、二枚目はBranch社のlinksありの図です。

トラッキングとリワードのリファラル

アプリの開発者とマーケターは既存顧客が口コミの鍵であるということを知っていて、彼らにアプリをシェアしてもらうためにしばしばインセンティブや報酬を与えます。しかし複雑なリファラルプログラムを構築してしまうとアプリをシェアすること自体が難しくなってしまうのです。

Branch社のリファラルの機能を使うと、全てのロジックやルーティング、リワードを自動的に処理することができます。さらに良いことに、Branch Linkはユーザーのパラメータを貯めることができるので、報酬を受け取るためにリファラルコードを使う必要がないのです。

これによって顧客獲得のステップをさらに減らすことができます。The Leagueはインストール後の行動をカスタマイズし、プロモーションコードの必要性を取り除くためにこのリファラルシステムをBranchの差し込み式のリファラルソリューションに利用しています。さらにBranch社のダッシュボードを使って影響力のあるユーザーを分析し、報酬を与えているのです。その結果The Leagueはユーザーリファラルを通してインストール数を30%上昇させ、コンバージョンは31%、エンゲージメントは2倍に増加しました。

CLV(顧客生涯価値)におけるディープリンクが与えるインパクトの全容

さて、ディープリンクがどのようにアプリのマネタイズやリテンションレート 、バイラル化を促進しているかいくつかの具体例を見て学んできたので、そろそろどのディープリンクが向いているか決める時でしょう。

LTVに対してBranch社の機能が与えるインパクトは幾つかの異なる要因によって左右されます。どのようなジャンルのアプリなのでしょうか?ユーザーはシェアをするインセンティブを持っているでしょうか?顧客の平均的なライフサイクルはどのくらいの長さなのでしょうか?

まず最初に、最近のアプリのマネタイズやリテンション、口コミのパフォーマンス状況を調べてみてください。そしてどの側面がもっともサポートを必要としているか考えてみてください。あなたがそのアプリのことやユーザーのことを一番知っているのですから、私はあなたの試してみたい機能に任せてみようと思います。

*この記事は、Branch社の記事 ” Improving the Lifetime Value of an App User with Deep Linking?**”を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on? Branch?in English under the permission from the author.*

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