「withコロナ」でもエンゲージメントを高める。美容・アパレル 、 飲食、旅行・観光業界でのオンラインコミュニケーション事例

Repro Journal編集部
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2020.04.10
「withコロナ」でもエンゲージメントを高める。美容・アパレル 、 飲食、旅行・観光業界でのオンラインコミュニケーション事例

目次

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって実店舗などでの物理的な接点をもちづらくなり、企業が実施すべきユーザーとのコミュニケーションは変更を余儀なくされています。特に、「美容・アパレル業界」「飲食業界」「旅行・観光業界」はコロナショックの影響を大きく受けており、何かしらの対応をしなければ死活問題になります。

本稿では、この3つの業界において、「withコロナ」だからこそのオンラインコミュニケーションを通じてカスタマーエンゲージメントを高めている事例をご紹介します。

美容・アパレル業界におけるオンラインコミュニケーション

まずはいち早くコロナショックに対応した、美容・アパレル業界における事例をお伝えします。

オンラインシフトを実現したファッション・ウィーク

早期からコロナの影響を考慮し、オンラインコミュニケーションにシフトしたのがファッション・ウィークです。2020年2月18日~24日にミラノで開催されたファッション・ウィークでは、入国制限措置を受けた中国関係者に考慮し、ショーケースの配信や有名デザイナーへのインタビューなどのコンテンツをオンライン配信しています。

oc-1.png出典:GIORGIO ARMANI

実際に各プラットフォームのコンテンツを視聴した総計は約2,500万人以上となり、これまでオフラインを前提としていた運営方針から、オンラインシフトを実現することでエンゲージメントの向上と新しいチャネル開拓に成功しています。

多くの企業でオンラインコミュニケーションが活性化

大手セレクトショップである「BEAMS」は、2020年3月27日の21時から同社で初となるオンライン配信によるライブコマースを実施しました。取り扱った商品は紳士服関連で計24アイテム、1時間ほどの配信を約6,000人のユーザーが視聴し、ライブコマースページを経由した収益は100万円弱となっています。

oc-2.png出典:BEAMS LIVE ARCHIVE

加えて、潜在層に対するオンラインコミュニケーションによってエンゲージメント向上を目指したり、EC販売に繋げる取り組みも始まっています。

例えば、有名化粧品メーカーであるエスティローダーは、マスクで荒れた肌へのスキンケア対策をテーマにしたコンテンツを発信し、ユーザーの心情に寄り添うコミュニケーションを行うことでEC販売に繋げています。

oc-3.png出典:ALIBABA

他にも、「アリババ」は、サージカルマスクを着けた状態でも映えるメイク方法を伝えるライブストリーミング配信を実施しています。この施策では820万人の視聴者を集めており、その週の終わりまでのアイシャドウパレットの売上は前月比で150%にまで伸びています。

また、NIKE社は自粛が求められる状況において自宅でも可能なトレーニングのライブ配信を行っています。SNSによる投稿はもちろんのこと、広告運用も実施することで潜在層ユーザーへのアプローチを実施しています。

oc-4.png出典:NIKE

こちらの記事でも言及していますが、複数アプリを運営することでユーザーからのエンゲージメントを高めている同社ならではの先駆けた取り組みでもあります。

顕在層と潜在層それぞれに合わせたコミュニケーションを

アパレル業界におけるオンラインコミュニケーションは「BEAMS」の事例にあったライブコマースが鍵になってくると考えられます。購入したいけれど店舗で実物を確認・試着して購入したいというユーザーニーズに対して、ライブコマースによる情報提供を通じて、オンラインでの購買を促すことで売上を担保する方向性は一つの打開策になります。

また、「アリババ」がマスク着用時のメイク方法をコンテンツ化したようにユーザーの”今”の心情に寄り添ったコンテンツ配信を通じて、ECでの購買意欲を促進する、購買タイミングに置いて自社を選んでもらえるようにするということが大事だと言えます。

飲食業界におけるオンラインコミュニケーション

次に、営業自粛により大きく影響を受ける飲食業界におけるオンラインコミュニケーションの事例をお伝えします。

飲食業界のトレンドはレシピ公開を通じたコミュニケーション

飲食業界におけるオンラインコミュニケーションの特徴として挙げられるのが、”自宅で自社の味を楽しんでもらう”という発想です。

例えば大手コーヒーチェーンであるStarbucksは、インスタグラムのストーリー機能を活用しています。ユーザーからコーヒーの淹れ方に関する質問を集めて、ストーリーで質問に答えながら、自宅でも美味しいコーヒーが楽しんでもらえるような施策をスタートしています。

oc-5.png出典:Starbucks

また、レシピ公開に一早く踏み切ったのが「Soup Stock Tokyo」です。2020年3月6日から期間限定でレシピ本の一部の無料公開を実施しています。自宅での自炊需要が増えることを見越して、自宅でもスープを楽しんでもらうことを狙った取り組みです。

oc-6.png出典:Soup Stock Tokyo

他にも、代々木上原のミシュラン1つ星店である「sio」もレシピを無料公開し、SNSでの反響を集めています。

#おうちでsio」というハッシュタグでレシピをSNSやnote上で公開し、実際にレシピを参考に料理をした人が投稿をすることで拡散されています。

oc-7.png出典:sio

また、このタイミングでテイクアウトにも取り組むなど、有名レストランであっても、対面にこだわらない事業運営に舵を切っています。

自炊ニーズを取りこぼさないECに注力

実際に、オフライン店舗がメイン事業である飲食店においてもオンラインシフトが進んでいます。大手飲食チェーンであるAPカンパニーが運営する「塚田農場」は、自社EC「おうち塚田農場」で期間限定で目玉商品である「宮崎地鶏の炭火焼」の取り扱いを開始しています。

oc-8.png出典:ouchi,塚田農場

特に同社は自社で生産者と100%契約栽培を実施しているため、店舗での取り扱いがなくなることで生産者も販売先がなくなるという背景もあり、SNSでの拡散を中心にオンライン販売に取り組んでいるようです。

また、「Oisix」は自粛ムードにおいて少しでも花見を楽しめるようにと「桜のペーパーインテリア」などの提供を開始し、自社ECサイトに訪れてもらうきっかけ作りに取り組んでいます。

oc-9.png出典:Oisix ra daichi

また同社では、メインの顧客層である主婦層に向けて「コロナ期における職場復帰」という働く主婦の方に寄り添ったSNSでのコミュニケーションを実施することでエンゲージメントを高めています。

oc-10.png出典:Oisix /オイシックス【公式】

業界ならではのノウハウを活用したエンゲージメント向上を

飲食業界におけるオンラインコミュニケーションですぐに始められる施策なのが、「レシピ公開」に代表されるオリジナルのノウハウを活用したSNS活用です。実店舗への来店が難しい状況において、自宅でも自社を想起してもらうための情報提供が必要不可欠なのかもしれません。

また、自炊需要が増えている今だからこそ、自宅で楽しめるレシピの提供やECでの販売に注力することで活路が見出せる可能性は大いにあります。

旅行・観光業界におけるオンラインコミュニケーション

最後に、外出自粛によって業界に甚大な被害が出ている旅行・観光業界はオンラインコミュニケーションをどう活用しているのかをお伝えしていきます。

音声配信やライブ配信による情報提供

旅行・観光業界においても、情報提供を軸にオンラインコミュニケーションを通して、アフターコロナに向けた取り組みを実施している企業も出てきています。

特に、人気テーマパーク「サンリオピューロランド」の取り組みは参考になります。同テーマパークは、2020年2月下旬から臨時休館となっていますが、SNSを通じたオンラインコミュニケーションでファンとの関係構築を継続しています。例えば、人気キャラクターの誕生日には、館内からの生配信を実施することで自宅からでもファンに楽しんでもらえる工夫をしています。

oc-11.png出典:サンリオピューロランド公式

これらの施策の中でも、特に反響を集めたのが3月22日に公開されたドキュメンタリー動画です。普段はなかなか注目されないピューロランドの裏側にフォーカスした動画はSNSで拡散され、Twitterで「サンリオピューロランド公式」「ピューロランド」がトレンド入りしています。

また、宿泊業においてもSNS活用は始まっています。大分県の湯布院にある「旅館 つるや隠宅」では、「電脳女将・千鶴」という公式キャラクターを通じたSNSコミュニケーションによってファンを増やし、公式キャラクターのグッズ販売が好調です。

oc-12.png出典:旅館つるや隠宅

他にも、長野県小諸市が運営する「こもろ観光局」は音声メディア「Voicy」を活用し、観光情報を配信するチャンネルを開設しています。

oc-13.png出典:こもろ観光チャンネル

同観光局は「新型コロナウイルスの影響があるなか、自宅でも小諸の魅力にふれてほしい」という想いから、自宅でも温泉を楽しめるようにと温泉の源泉が流れる音を配信するなどユニークな取り組みに一早く取り組んでいます。

「未来に泊まる」など、これまでにない発想も

既存のサービス提供にとらわれないサービスもリリースされ始めています。

「HOTEL SHE,」などの複数のホテルを運営するL&Gグローバルビジネス社は、「未来に泊まれる宿泊券」の販売を開始しました。運営するホテルの営業を自粛している状況において、自社はもちろん自社以外でも経営難に苦しむ旅館・ホテルの支援に繋がることを目指して急遽サービスをリリースしています。

oc-14.png出典:HOTEL SOMEWHERE

また、軽症者の受け入れ要請に応じたことで話題になった「アパホテル」は、医療関係従事者にアプリを通じて半額クーポンを配布する施策をスタート。加えて、「テレワーク応援プラン」も同時に開始することでテレワーク需要へ対応しています。

oc-15.png出典:【公式】アパホテル

アフターコロナを意識した情報提供とこれまでとは違う発想がより大事に

旅行・観光業界における取り組みは、外出自粛による需要急減の中でも、情報提供やオンラインコミュニケーションを通じてエンゲージメントを高めることから取り組むことが求められています。ライブ配信や音声メディアなど、新しいチャネルを活用することで未来の需要を喚起することでアフターコロナを意識した取り組みが始まっています。

また、目下の売上に繋がる取り組みでは、これまでとは発想を変えた新たな視点が重要となっています。宿泊が出来ない状況でも未来の宿泊をオンラインで喚起する、今だからこそ高まるテレワークなどのニッチニーズをカバーするなどの発想は苦しい状況を生き残るための指針となり得ます。

ユーザーを理解し、寄り添うコミュニケーションを

本稿では、「アパレル」「飲食」「旅行・観光」という特にコロナショックの影響を受ける3つの業界における「withコロナ」のオンラインコミュニケーション事例を紹介してきました。

これらの企業に共通した特徴は、「ユーザーの置かれた状況を理解」し、「ユーザーに寄り添うコミュニケーション」を実行するということです。これらの業界はこれまでオフラインでの活動が主なユーザー接点であり、外出の自粛は非常に大きなダメージとなっていました。

しかし、そんな状況であっても工夫を凝らしオンラインでも変わらぬ価値を提供し続けることによって、ユーザーとのエンゲージメントを築くことができます。こうした活動を継続することにより、オンライン上での売上確保のみならず、外出自粛後の来店・来場が期待できるようになっています。

コロナショックは、ただの不況ではありません。人々の行動様式を大きく変化させる可能性のある事象です。消費者の心情や行動が大きく変化している以上、マーケティングする側も大きな変化が必要となります。

相当数の企業にとってこの状況は生き残るだけでも大変であると思いますが、だからこそ今までのやり方を縮小するだけでなく、本当に人々の心情に寄り添ったコミュニケーションを行い、消費者から選ばれる企業になることが求められるのではないでしょうか。

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