iOSと比較すると、AndroidはCVRやLTVが低くアドフラウドも多いことから、SNS広告はiOSの方が好まれる傾向にありました。しかし、米国ではAndroidのシェア率が52.1%を占めており、iOSの41.9%を上回っています。
さらにグローバルで見ると、Androidのシェア率は88%にものぼります。こうした事実にも関わらず、なぜSNS広告のプラットフォームはAndroidよりiOSの方が好まれるのでしょうか。
最大の原因はAndroidユーザーの多様性あります。iOSは一部のメーカーから60機種ほどしか製造されませんが、Androidは400以上のメーカーが4,000以上もの機種を製造しています。Androidの機種の多さが信頼性や一貫性に影響を与え、統計を取りづらくしているのです。
以下に参考にすべき、指標の平均的な基準をご紹介します。
- AndroidユーザーのCTRはiOSユーザーに比べ51%高い
- AndroidユーザーのCPMはiOSユーザーに比べ26%高い
- AndroidユーザーのCPCはiOSユーザーに比べ16%低い
- AndroidユーザーのCPIはiOSユーザーに比べ18%安い
ここからは、SNS広告で効率的にAndroidユーザーを獲得する方法についてご紹介しましょう。
iOSユーザーとAndroidユーザーの違いを理解する
SNS広告で重要なのは、AndroidとiOSのROIの算出を正しく行うことです。正確な数値を算出するために、まずは両OSのCVRとLTVを算出してみましょう。
OSごとのCVRを算出することで、必要なインプレッション数とクリック数を逆算することができます。前述の指標からはAndroidユーザーのCTRはiOSユーザーと比べて51%高いことがわかりますが、iOSユーザーのCVRが2倍ほど高くても、AndroidユーザーのCVRはiOSより高いとは言いきれません。
次に、OSごとのLTVを算出し、新規ユーザー獲得ごとのROIを算出します。AndroidはiOSよりCPIが18%低いですが、iOSのLTVが2倍高い場合はどうでしょうか。CVRとLTVが向こう数年で大きな変化がないのであれば、より正確で精度の高いROIを設定することができるでしょう。
独自のビジネス提供や、価格、ビジネスモデルによってCVRやLTVは変わってきますので、それぞれを検証しながら費用対効果を見ていかなくてはなりません。
キャンペーンを分ける
AndroidのCVRが目標に届かない、またはコストに見合わない場合は、OSごとにキャンペーンを分けてください。
Facebook広告では、キーワードや関連性に基づいて自動的に広告を掲載する「自動プレースメント」のデフォルト設定を推奨しています。自動プレースメントを設定すると、デバイスタイプ (モバイルかデスクトップ)、プラットフォーム (FacebookのフィードやInstagramのストーリー、Audience Networdなど)、OS(AndroidかiOS)に最適な広告が表示されます。Androidユーザーのみをターゲットにしたい場合、この設定をカスタマイズしてください。
その際、アプリで対応しているOSを設定画面の「OSバージョン」に反映させることを忘れずに。例えば、アプリがAndroid 5.0以上のみに対応しているのであれば、この設定はAndroid 5.0以上と設定します。設定ができていないと無駄な費用がかかってしまいますので、気をつけてください。
入札戦略を練る
UXやデモグラフィックはOSによって異なりますが、そこにほんの少しでも差異があるとKPIに大きな影響を与えます。ですので、2で紹介したようにiOSとAndroidのキャンペーンを分けて、KPIやCVR、費用の違いを検証してください。
広告入札には、入札価格や広告の予算、広告の種類など、最適化できる項目がいくつかあります。
例えば下記のような戦略を設定できます。
- 入札数
Androidはサイト流入時のコストが低く、CVに近いステージになるとコストが高くなるといった傾向があります。したがって、Androidでは入札数を低めに設定しましょう。また、Androidの方が入札の競争率が高いため、FacebookのアルゴリズムはAndroidを優先します。
- アプリのインストール vs アプリイベント
アプリインストール後の起動率が悪い場合、広告配信の最適化する対象をアプリイベントに設定することをおすすめします。
- アプリイベント
AndroidはiOSに比べ入札率が低めです。アプリイベントのCVRをあげたい場合、アプリイベントを追加してください。
最適なAndroidユーザーを獲得する
SNS広告はターゲティングに注力しましょう。最適なターゲティングはアプリごとに異なるため、まずはロイヤルティの高さから分析します。Facebookのツール「オーディエンスインサイト」を活用しながら、アクティブユーザーと非アクティブユーザーの違いを見分けましょう。
どのページに人が集まっているか、何に興味があるのか、どのような行動をしているのか、結果を見て分析し、それぞれのユーザーへの理解を深めてください。
最適なクリエイティブの制作
ターゲティングができたら、次はクリエイティブの制作です。 デザインのコンセプトやメッセージ、広告フォーマット、CTAを分析して最適なクリエイティブを作成します。
制作時は、次のことを試してみましょう。
- AndroidとiOSでパフォーマンスが最も良かったクリエイティブ
イラストが入っているものや、コピーに絵文字が入っているものなど、どのクリエイティブのパフォーマンスが良かったでしょうか? それぞれクリエイティブの結果を比較して分析してください。
- iOSとAndroidを比較することで広告の配置場所や広告フォーマットを最適化
動画広告やInstagramのストーリーズは、iOSとAndroid、どちらのパフォーマンスが優れていましたか?
- ダイナミッククリエイティブを活用
Facebookのダイナミッククリエイティブは、複数のアセットをテストすることができるシステムです。
- Androidであることを強調する
Google Play ストアのロゴやGoogle Play ストア限定といったコピーをのせ、Android独自であることを強調しましょう。そこでスクリーンショットを使用する場合は、iOSの画面を使わないように注意してください。
こうした小さな積み重ねが重要な役割を果たし、コスト削減とCVRの向上を手助けします。
最後に
今回の要点をまとめると、
- AndroidとiOSのCVRとLTVを算出してから、広告の予算とROIを算出する
- SNS広告を設定する際に、アプリの対応機種も反映させる
- いくつかの入札方法を試し一番ロイヤルユーザーを獲得できる戦略を設定する
- 既存ユーザーの傾向 (特にiOSユーザー) を分析し、ロイヤルユーザーになる確率が最も高いユーザーをターゲットとして設定する
- CVR、ROIを最大限に発揮できるクリエイティブを作成する
それぞれのビジネスに特色があるように、Androidユーザーも種々雑多です。AndroidのSNS広告で最大限の効果を得るには、様々な要素を細かく分析して設定を行なってください。
この記事は、Bamboo社のブログ“Can Android Audiences Actually Drive High ROI on Paid Social?"を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on Bamboo in English under the permission from the author.