本記事は、CVR(コンバージョン率・コンバージョンレート)についての「完全ガイド」です。言葉の意味と計算方法に加えて、「誰にでもすぐに真似できて効果が出るCVR向上施策と実践事例を詳しく紹介しています。
CVR改善施策については、Reproが培った普遍的なノウハウを惜しまずに公開しました。Webサイトの売り上げをあげたい人は、ぜひじっくりと読んでください。また、CVRの平均値や目標設定の方法、類似指標であるCTRや、CVRを向上させるための施策、LPO、EFOについても解説しています。
CVR(コンバージョン率・コンバージョンレート)とは?言葉の意味と定義
CVR(コンバージョン率・コンバージョンレート)とは、Webサイトやアプリを訪れたユーザーのうち、どのくらいの割合が商品購入や会員登録、資料請求などをしたかを示す指標です。
売り上げなどの最終成果に直接的に結びついているため、デジタルマーケティングでは最も重要な指標と考えられています。
なお、CVRは英語の「Conversion Rate」の略で、「コンバージョンレート」「コンバージョン率」、あるいはそのままに「シーブイアール」と読むのが一般的です。日本語に訳す場合は「顧客転換率」とする場合が多いでしょう。
マーケティングの世界では「成果に繋がる行動」を「コンバージョン(Conversion・CV)」と呼びます。その行動を取った割合なのでコンバージョン率・コンバージョンレート=CVRという指標名なのです。詳しくは後述しますが、一般的なCVRの計算式は以下の通りです。
■一般的なWebサイトのCVRの計算式
CVR(コンバージョン率)=CV(コンバージョン)数÷訪問数(セッション数)×100
■CVR(コンバージョン率)とCV(コンバージョン)の意味
CVR(コンバージョン率)を計測・改善すべき理由と重要性
Webサイトの存在意義は、訪問してもらい、訪問したユーザーに何らかの行動をしてもらうことです。訪問してもらう方法には、「広告経由」「検索経由(SEO)」「SNS経由」など様々なチャネルが考えられ、それぞれに施策を実施する必要があります。
そしてここでいう「何らかの行動」とはCVのこと。つまり、CVRが低いWebサイトとは、せっかく費用や工数をかけて、訪問者を集めた(集客)にも関わらず、ユーザーにCVをしてもらえない「穴の開いたバケツ」のようなものなのです。
集客にかけたコストを無駄遣いに終わらせず、Webサイトの成果を高めていくためには、CVRの正しい計測と改善を欠かすことができません。
■CVR(コンバージョン率)改善がおろそかになっているWebサイト
Webサイト・アプリによって異なるCV(コンバージョン)の種類
CVRを計測する際に欠かせないのがCV数です。しかし、何をCVとするのかはWebサイト、サービスによって大きく異なります。Webマーケティングの基礎知識として代表的なCVを覚えておきましょう。
■代表的なWebサイト・アプリの種別とCV(コンバージョン)
Webサイト・サービス種別 |
代表的なCV(コンバージョン) |
ECサイト・アプリ |
商品購入、会員登録 |
会員制サービスサイト・アプリ (動画配信サービスなど) |
会員登録、有料会員登録、有料コンテンツ購入 |
比較サイト (不動産・旅行・保険比較など) |
予約申し込み、見積もり申し込み |
オンラインゲーム・ゲームアプリ |
キャラクター購入、有料アイテム購入 |
採用・リクルートサイト |
採用エントリー、資料請求、問い合わせ |
BtoBサイト |
資料請求、問い合わせ、見積もり依頼 |
CVR(コンバージョン率)の計算方法
CVRは「Webサイト・ページ、あるいはアプリに発生した訪問のうち、どの程度が商品の購入や予約、資料請求、ダウンロードなど、そのサービスの成果に繋がる行動(CV)をしたかを割合で示したもの」です。
CVRの計算式は「CV(コンバージョン)数÷訪問数(セッション数)×100」といたって簡単。「訪問数(セッション数)」とは、ユーザーが何回、そのサイトにアクセスしたかを表す指標です。
■一般的なWebサイトのCVRの計算式
CVR(コンバージョン率)=CV(コンバージョン)数÷訪問数(セッション数)×100
仮にあるECサイトで月間の訪問数(セッション数)が10,000、商品購入回数が500回だったとしましょう。この場合、CVRは以下のようになります。
500(商品購入回数)÷10,000(訪問数)×100=5%(CVR)
ただし、サイトの特性や分析の目的によって分母、分子を変更するケースがあります。以降で代表的な例を紹介しましょう。
1. ユーザー数起点のCVR(コンバージョン率)の計算方法
訪問数、CV数ではなくユーザー起点でCVRを分析したいこともあるはずです。つまり、「Webサイトやアプリを訪れたユーザーのうち、何人がCVをしたかを知りたい」ケース。この場合は以下のような計算式を採用します。UU(ユニークユーザー)数とは、計測期間中にWebサイト・ページ、アプリを訪れた実人数(延べ人数ではない)のことです。
■ユーザー数起点のCVRの計算式
CVR(コンバージョン率)=CV(コンバージョン)をしたUU(ユニークユーザー)数÷UU(ユニークユーザー)数×100
2. 特定のページを閲覧したセッションのCVR(コンバージョン率)の計算方法
例えば、Aというページを改修したとき、その結果としてCVRがどのように変化したかを知りたいことがあります。このとき、Webサイト全体のCVRを分析するのは非効率かつ不正確です。ページA単独のパフォーマンスを測るには、以下の計算式を使います。
■特定ページのパフォーマンスを測るためのCVRの計算式
CVR(コンバージョン率)=ページAを経由したCV(コンバージョン)数÷ページAの訪問数(セッション数)×100
3. 広告に対するCVR(コンバージョン率)の計算方法
Web・アプリマーケティングにおいて、広告出稿の目的はほとんどの場合、CVの獲得です。つまり、商品購入数やサービス申し込み数、アプリのダウンロードの増大が重要であり、広告のパフォーマンスを知るためにはCVRの計測が必要不可欠であるということです。
広告の課金形態によって異なるのですが、クリック課金(クリック数に応じて費用が発生する)の場合は以下のような計算式でCVRを求めます。
■クリック課金型広告のCVRの計算式
CVR(コンバージョン率)=CV(コンバージョン)数÷広告のクリック数×100
CVR(コンバージョン率)を改善する方法・ノウハウ
CVRを改善するために実施する施策を総称してCRO(Conversion Rate Optimization)と呼びます。「シーアールオー」とアルファベットをそのままに読むのが通常で、日本語では「コンバージョンレート最適化」と訳されます。日本ではまだあまりメジャーではありませんが、欧米では非常に強化が進んでいる施策群です。
CROには、関連用語として後述するLPO(Landing Page Optimization)やEFO(Entry Form Optimization)なども含まれており、さらにWebサイト・アプリのビジネスモデルによって、注力すべき施策が異なります。そこでここではあらゆるWebサイト・アプリに共通し、高い効果が期待できるふたつのCVR改善法を紹介します。
【改善法①】Webサイト・アプリの表示速度(サイトスピード)を高速化する
CVRを改善したいなら真っ先に注目したい、最高の施策がWebサイト・アプリの表示速度(サイトスピード)の高速化です。
大手CDN事業会社・Akamaiの調査レポート「2017年春 オンラインリテールの現状-パフォーマンス」によると、ページの表示速度が1秒遅くなるだけで20%以上もCVRが低下してしまうことがわかっています。逆にいえば、1秒の高速化で20%以上のCVR改善が期待できるということです。
■ページ速度低下がCVRに与える影響(デバイスタイプ別)
※出典:「2017年春 オンラインリテールの現状-パフォーマンス」Akamai
また、Repro株式会社が行った「Webサイトの表示速度改善についての実態調査 2023」では、表示速度改善にかかわるほぼすべての施策が、CVR改善に対して期待以上の成果をもたらしているということも判明しました。
■表示速度(サイトスピード)の改善施策が「CVR改善」にもたらした成果
※出典:「Webサイトの表示速度改善についての実態調査 2023」Repro株式会社
Webサイト・アプリの表示速度(サイトスピード)の改善は、非常に高い角度でCVRを向上させることが証明されていると考えていいでしょう。
【改善法②】仮説・検証設計されたA/Bテストを繰り返す
そして、CVR改善の基本中の基本といえるのがA/BテストによるPDCAサイクルを実現することです。といってもWebサイト・アプリの中にCVRに影響を与える要素が無数にあります。例えば下記のようなものが思いつくのではないでしょうか。
- 掲載されている画像は魅力的なものか
- 掲載されているコピーは魅力的でわかりやすいか
- 購入や申し込みページへの導線は適切に確保されているか
- 広告文とLP(ランディングページ)の内容に齟齬はないか
- 購入・申し込みページの入力フォームの項目が多すぎないか、わかりづらくないか
数え上げればきりがありません。そこで、確実に実施したいA/Bテストのコツを3つ紹介しましょう。これを押さえておけば、A/Bテストを効果的かつ効率的に行えるようになるはずです。
・A/Bテストのコツ①:コンバージョンに近い要素から行う
改善施策を実装し、A/Bテストを行う箇所は、コンバージョン、つまりユーザーが購入や申し込みを行うタイミングに近いところから行うのが鉄則です。ECサイトであれば購入ページやカート、予約サイトや資料請求型のサイトであれば、申し込みフォームが該当します。
コンバージョンに近い要素を優先的に改善する理由はふたつ。ひとつはユーザーのニーズが限定されているからです。例えば、家電ECサイトのTOPページと購入ページを比較してみましょう。TOPページにアクセスしているユーザーは何を考えているでしょうか。「エアコンが欲しい」のかもしれませんし、「PCが欲しい」のかもしれません。特に目的の商品がなく訪れている可能性もあるでしょう。そんな様々なニーズを持ったユーザーを購入へと導く施策を立案するのは非常に困難です。
一方で購入ページにアクセスしているユーザーはどうでしょう。購入する商品は決まっていて、あとはお金を支払うだけの段階です。実店舗に例えるならレジに並んでいる状態。このときのユーザーのニーズは「スムーズに支払いを済ませたい」にほぼ限定されているのではないでしょうか。つまり、改善施策として「いかにスムーズに支払いを完了させられるか」だけに着目して施策を検討すればいいわけです。
ふたつめの理由は影響範囲が大きいからです。ECサイトの場合、ユーザーは購入前に必ず決済ページを通過することになります。どのようなページ、どのようなチャネルからアクセスしたとしてもこのことは変わりません。つまり、コンバージョンに近い要素を改善することは、Webサイトのあらゆるページの成果を改善することにつながるのです。
■ニーズの幅とCVR改善施策の影響範囲
CVR改善のためのA/BテストはCVに近い要素から行うほうが、施策立案が楽で、効果の影響範囲が広い。
・A/Bテストのコツ②:ユーザー目線で課題を抽出し、仮説を立案する
改善施策はユーザー目線で課題を洗い出して、仮説を立案してください。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これが実践できていないWebマーケターは意外に多いものです。改善施策を検討する際に「●●機能を実装すればCVRが上がるのではないか」「デザインと訴求コピーを最適化すればCVRが改善するのではないか」などと提案したことはないでしょうか。この言葉はすべて事業者目線のものです。
ユーザー目線で考えるなら、「機能」「デザイン」「訴求コピー」といった表現は使用しないはずなのです。「商品が見つけづらいのではないか」「商品の魅力がわかりやすく伝わっていないのではないか」。これがユーザー目線での仮説立案です。ユーザーに見てもらいたいもの、知ってもらいたいことを阻害している要因を探すことから始めるのです。「機能」「デザイン」「訴求コピー」は阻害要因を少なくするテクニックでしかありません。
■ユーザー目線の課題抽出(アパレルECの場合)
CVRを改善するためには、CVRという数値に向き合うのではなく、ユーザーの課題と向き合うことが重要。ユーザー体験の悪さがCVRの低下につながってる。
・A/Bテストのコツ③:同一箇所のテストを複数並行して行わない
A/Bテストは非常に小さな要素の変更を比較して、どちらがユーザーに取って有益なのかを検証するためのものです。複数の変更を同時に進めてしまうと、何がどのような効果をもたらしたのかがわからなくなってしまいます。A/Bテストは必ずひとつの要素ずつ実施すると覚えておきましょう。
CVR(コンバージョン率)改善の成功事例
CVRを改善するための考え方はわかっても、具体的に施策に落とし込むにはノウハウや経験も必要。そこで続いては、実際に大幅なCVR改善を実現した事例について紹介します。CVRの改善はトライ&エラーの積み重ねが非常に重要です。ぜひ自社のサイトに当てはめて、そのままに真似してみてください。
【d fashion®︎】高速PDCAとカゴ落ち対策でCVRを272%改善
マガシーク株式会社が運営するアパレルECサイト「d fashion®︎」では、わずか2カ月間でCVR272%改善の実現しています。そのカギになったのがカゴ落ち対策。つまり、カートに追加したにも関わらず購入・決済に至っていないユーザーに対してのアプローチを強化したのです。
カゴ落ち対策はCVに最も近い箇所の改善。まさに前述した「改善施策のA/Bテストはコンバージョンに近い要素から」というCVR改善の鉄則が機能したというわけです。
カゴ落ち対策を即実装。たった2カ月でCVRが272%改善
(「d fashion®︎」マガシーク株式会社様)
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【ウエディングパーク】ユーザーに合わせた対話型コミュニケーションでCVR140%改善
株式会社ウエディングパークが運営する結婚式場ポータルサイト「ウエディングパーク」が実施したCVR改善の施策はユーザーのセグメントと、セグメントに合わせた対話型コミュニケーションです。これにより、初回訪問者のCVRが140%も改善しています。
ユーザーの目線でWebサイトを体験し、ユーザーの行動が滞りがちなポイントを特定。ページやスクロールに合わせて適切なメッセージを自動表示した施策がポイントとなっています。「A/Bテストはユーザー目線で仮説設計を行う」というCVR改善の基本を徹底した結果といえます。
ユーザーに合わせた対話型コミュニケーションでCVR140%改善
(「ウエディングパーク」株式会社ウエディングパーク様)
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【オミカレ】サイトスピードを約1秒高速化、CVRが即時116%改善
株式会社オミカレが運営する婚活プラットフォームの「オミカレ」。オミカレのユーザー層は非常に幅広いため、必ずしもハイスペックを持ち、高速通信ができる環境で利用しているわけではありません。そこで、強く意識していたのがWebサイトの表示速度。サイトの表示がもたついてしまうと、心地良くサービスを利用してもらえず、CVRが落ちてしまうリスクを実感していたのです。
そこで、「Repro Booster」というサイトスピード改善ツールを導入。導入直後にページの表示速度は約1秒改善し、CVRは116%改善しています。CVRを改善するには、サイトスピードの高速化が必須であることがわかる好例といえます。
サイトスピードを約1秒高速化、CVRが即時116%改善
(「オミカレ」株式会社オミカレ様)
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【WEGO】200以上の施策を高速PDCA、CVRは180%改善
株式会社ウィゴーが運営するアパレルECサイト「WEGO」。WEGOが実現したCVR改善は、施策の質、量ともにまさにお手本ともいえるものでした。WEGOではCVRを向上させるために、なんと200以上の施策を実施。A/Bテストを繰り返しています。その結果として得られたのが、CVR180%改善という結果でした。
CVR向上に大きなインパクトを与えたのは、商品詳細ページとスタッフによるコーディネート紹介ページの連携強化。ポップアップメッセージよる導線を追加したのです。施策の背景にあったのは、「店舗ではスタッフの着こなしやアドバイスを参考にするお客様が多い」というリアルな接客経験。ユーザー目線の施策立案と高速PDCAが圧倒的な効果を生み出しました。
200以上の施策を高速PDCA、CVRは180%改善
(「WEGO」株式会社ウィゴー様)
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【青山商事株式会社】店舗で培った接客ノウハウをオンラインへ。CVRは200%以上の改善
青山商事株式会社が運営するECサービス「洋服の青山アプリ」「洋服の青山オンラインストア」でテーマとなったのは、長年の店舗運営で培ってきた接客ノウハウをオンラインサービスにも活用すること。アプリマーケティングツール、Web接客ツールを活用し、数多くの施策を実装することで、アプリ経由のEC売上が前年比284%、Webサイト単体のCVRも200%以上の改善という非常に大きな成果を実現しました。
店舗接客のノウハウをオンラインで。CVRは200%以上の改善
(「洋服の青山アプリ」「洋服の青山オンラインストア」青山商事株式会社様)
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あわせて覚えたいCVR(コンバージョン率)にかかわるマーケティング用語
LPO(Landing Page Optimization|ランディング・ページ・オプティマイゼーション)
「LPO」とは、英語の「Landing Page Optimization」の頭文字を取った略語で、日本語では「ランディングページ最適化」と訳されます。読み方は「エルピーオー」とアルファベットをそのままに発音するのが通常です。なお、「ランディングページ」とは、そのWebサイトにアクセスした際に最初に訪問したページのことです。
Web広告施策に関連してよく使われる言葉で、この場合のLP(ランディングページ)は、CVRの最大化を目的として広告用に制作された専用Webページという意味合いです。コストが発生しているため、広告LPのCVRは、通常のWebサイト以上にシビアに計測され、改善が求められます。
LPOにおいては、ページ全体のデザイン、コピーワーク、訴求文やボタンの色、アニメーションなど、CVRを高めるための手法が詳細に検討されるのが通常です。
EFO(Entry Form Optimization|エントリー・フォーム・オプティマイゼーション)
「EFO」とは、英語の「Entry Form Optimization」の頭文字を取った略語で、日本語では「エントリーフォーム最適化」「入力フォーム最適化」と呼ばれるもの。発音する際は「イーエフオー」とするのが一般的です。
WebサイトでCVをするときには、入力フォームへの情報入力を求められるケースが多々あります。例えば、商品購入時には氏名やクレジットカード情報を、会員登録や資料請求時には住所、氏名、メールアドレスなどの入力を求められることが多いでしょう。こういった入力フォームへの情報入力の完了率を向上させるために実施するのがEFOです。
CVの直前作業であるにもかかわらず、情報入力の手間によってユーザーが離脱してしまうケースは珍しくありません。CVRの改善に対し、EFOは大きな役割を担っています。
広告におけるCVRとCTR
広告のCVRを考える際、混同してしまいがちな指標にCTR(Click Through Rate・クリック・スルー・レート)というものがあります。CVRが広告をクリックしたセッションのうち、何%がコンバージョンに至ったかを示す指標であるのに対し、CTRは広告が表示された回数のうち何%がクリックされたかを示す指標です。
広告を配信しても最終的に商品の購入やアプリのダウンロードといったCVに至らなければ売り上げ増加にはなりません。CV数を増加させるには、効果的な広告によってクリック数を増やし、購入意欲の高い見込み客をより多く獲得することも重要です。CTRは広告施策の効果を比較する際の大切な指標のひとつとなります。
・広告のCVR・CTRの計算例
例えばFacebookのアプリインストール広告において、「パターンA」の広告と「パターンB」の広告を配信し、広告表示回数はA、Bともに20,000回、クリック数はAが1,200回、Bが1,600回で、CV数(アプリのインストール数)はAが60、Bが40だった場合、CTRとCVRは以下のようになります。
広告の場合、クリック数=セッション数となるので、CTR、CVRの計算式はそれぞれ、「CTR=クリック数÷広告表示回数」「CVR=CV数÷クリック数」です。
■広告のCVR・CTRの計算例
広告パターン |
広告表示回数 |
クリック数 |
CV数 |
CTR |
CVR |
パターンA |
20,000 |
1,200 |
60 |
6.0% |
5.0% |
パターンB |
20,000 |
1,600 |
40 |
8.0% |
2.5% |
パターンAとパターンBを比較すると、CTRはパターンBが、CVRではパターンAが勝つ形になっています。CTRが高いということはクリックが多いということ、広告バナーやリンクテキストにより魅力があったことを示します。つまり、パターンBの広告のほうがユーザーの興味を引いたわけです。
一方でCVRは、広告とクリック後にアクセスするページ内容に影響を受けます。パターンAのほうがCVRが高いのは広告の着地先となっているLPの品質が良かったのかもしれません。
マイクロコンバージョン
「マイクロコンバージョン」とは、Webサイトが本来目的としているCVに至るまでに、その中間地点として定められているCVのこと。
例えばECの場合、商品購入をCVとするのが一般的ですが、その手前で「カート追加」「決裁画面へのアクセス」といったユーザー行動を挟むのが通常です。このような、最終的なCVの手前で発生し、かつCVに対して影響力の大きなユーザー行動をマイクロコンバージョンとして設定し、よりきめ細やかなWebサイト改善を実施する企業は少なくありません。
Web接客・Web接客ツール
「Web接客」とは、Webサイト上でリアル店舗で行われるような接客を行うことです。そして、「Web接客ツール」は、Web上での接客を効率的かつシステムとして自動化するためのツールの総称。
ユーザーの行動に合わせた商品・サービスのレコメンドや、「カゴ落ち・カート落ち(カートに入れたまま決済を行うのを忘れ、購入に至っていない状態)」の削減、関連商品の同時購入促進などの施策を実施でき、CVRの向上につながります。
CVR(コンバージョン率)についてのよくある疑問
Q:CVR(コンバージョン率)の平均的な数値ってあるの?
CVRはそのWebサイト・アプリで設定されているCVの種類、CVするためにかかるコスト(商品価格や利用料金のほか、手間・時間も含む)などによって、大きく変動するため一般的な平均値というものは存在しません。CVRはサイトごとに異なるものと覚えてください。
とはいえ、自身が運営しているWebサイト・アプリのCVRが良いのか悪いのかを、大まかに把握しておきたいという人は多いはず。参考値として2023年のRuler Analytics社の統計データを紹介しましょう。
■業種別の平均CVR(コンバージョン率)【Webサイト】
- ECサイト(BtoC):2.1%
- ECサイト(BtoB):1.8%
- 金融関連サイト:3.1%
- ヘルスケア関連サイト:3.0%
- 不動産関連サイト:2.4%
- 旅行関連サイト:2.4%
Q:CVR(コンバージョン率)の目標の設定方法を知りたい
前述した通り、あらゆるWebサイト・アプリに当てはまるCVRの平均値というものは存在しません。つまり、目標値もサービスごとに設定するのが原則です。ではどうやって目標値を定めればよいのでしょうか。おすすめなのが、Webサイト・アプリの最終目標(KGI)から逆算して目標値を定める方法です。
仮に、月の訪問数が10,000セッション、商品単価が2,000円のWebサイトで、売上100万円をKGIとして設定したとしましょう。このとき、500人が商品を購入してくれればKGIが達成できるわけですから、目標とすべきCVRは5%であるといえます。