2023.03.20
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モバイルアプリが持っている機能のうち、ユーザーにとってもアプリ事業者にとっても欠かせないのが「プッシュ通知」。プッシュ通知とは、アプリからのお知らせやメッセージを直接、スマートフォンのロック画面やステータスバーなどに表示する機能のことです。
ユーザーはリアルタイムの情報取得に、アプリ事業者はMAUや継続率の改善などを目的として日々利用しています。このページではプッシュ通知の種類と配信・表示の仕組み、さらにはプッシュ通知活用のメリット・デメリット、配信のコツや成功事例まで、プッシュ通知について徹底的に解説していきます。
プッシュ通知とは、アプリからのお知らせやメッセージを直接、スマートフォンのロック画面やステータスバーなどに表示する機能のことです。LINEやSMSなどのメッセンジャーアプリが新着メッセージを通知したり、ニュースや天気予報アプリが最新情報を表示したり、ショッピング系アプリがクーポン情報を配信したりするのに利用されています。カレンダー、スケジュール管理アプリから指定日時にリマインドが届くのもプッシュ通知の活用例のひとつです。
アプリが起動されているか否かに関わらずメッセージを表示・配信できるため、ユーザーにとっては「リアルタイムで情報を取得できる」「重要な情報を見逃さずに済む」、アプリ事業者にとっては「MAU(月間アクティブユーザー数)や継続率の改善につながる」「休眠ユーザーの復帰を促進できる」「即効性のあるプロモーションができる」などといった大きなメリットがあります。
■プッシュ通知の表示例
「Repro App」を使用して作成したプッシュ通知のプレビュー表示。
ひとくちにプッシュ通知といってもいくつかの種類があります。ここでは、代表的なものをピックアップしてその意味と配信・表示の仕組み、活用例を紹介します。
「リモートプッシュ通知(リモート通知)」とは、モバイルデバイスがインターネットに接続されているときに外部のサーバーから配信されるプッシュ通知のことです。アプリが外部からのプッシュ通知リクエストを受信したタイミングで、デバイス内の処理が開始され、ロック画面やステータスバーなどにメッセージやアイコンが表示されます。
リアルタイムにユーザーが必要とする情報を配信できることから、メッセンジャー系アプリのメッセージ受信通知、SNSの更新情報通知、ショッピングアプリ、ゲームアプリのお知らせ通知などに利用されています。
リモートプッシュ通知は、「デバイスにインストールされているアプリ」「プッシュ通知の配信を要求する自社のサーバー」「プラットフォーマーのプッシュ通知配信サービス(iOSでは「APNs(Apple Push Notification service)」、Androidでは「FCM(Firebase Cloud Messaging)」)」の連携によって配信されており、わかりやすく表現すると以下のような図になります。
■リモートプッシュ通知が配信される仕組み
このとき重要な役割を担うのがトークン・IDと呼ばれるデバイスの識別情報。この存在によりユーザー(デバイス)ごとに個別のプッシュ通知を送ることが可能になるのです。
「ローカルプッシュ通知」とは、モバイルデバイス内だけで表示が完結するプッシュ通知のことです。アプリに対するユーザーの操作が起点となって機能するため、インターネットに接続していない状況でもプッシュ通知が表示されます。
代表的な活用例として挙げられるのは、スケジュール・タスク管理アプリのリマインダー機能。アプリに登録した日時になるとリマインドが表示されるのはローカルプッシュ通知の働きによるものです。そのほか、ゲームアプリやマッチングアプリの利用制限解除の通知などにも利用されています。
■ローカルプッシュ通知が表示される仕組み
「リッチプッシュ通知」とは、画像や動画、音声を添付できたり、ボタンの挿入、レイアウトの変更などができたりするプッシュ通知のことです。テキスト、絵文字のみで構成される一般的なプッシュ通知に対して、より豊かな表現ができるプッシュ通知と考えるのがわかりやすいでしょう。基本的な仕組みはリモートプッシュ通知やローカルプッシュ通知と同様です。
■プッシュ通知とリッチプッシュ通知の違い
左側が通常のプッシュ通知、右側が画像を添付したリッチプッシュ通知の例。(「Repro App」を使用して作成したリッチプッシュ通知のプレビュー表示)。
「Webプッシュ通知」とは、Webブラウザを介して配信されるプッシュ通知のことです。Webブラウザから配信されるプッシュ通知の許諾に対して許可をすると、プッシュ通知を受信するためのIDが発行され、Webブラウザを開いていない状況でもWebサイトからのお知らせが表示されます。
iOS、Androidともに、プッシュ通知を表示・配信するためには、ユーザーからの事前の許諾が必要です(AndroidはAndroid 13以降)。許諾を得られないと、ユーザーはアプリの機能を十分に使いこなせなくなる可能性があり、アプリ事業者の視点では、ユーザーとの貴重なコミュニケーションチャンネルが失われることになります。
プッシュ通知の許諾ダイアログは、アプリの初回起動時に表示するのが一般的なので、ユーザー、アプリ事業者双方のメリットが失われないよう、わかりやすい導線を設計することをおすすめします。
前述した通り、ユーザーがアプリを起動していない状況でも、スマートフォンなどのモバイルデバイス上にメッセージを表示するのがプッシュ通知の機能です。続いては、この機能がユーザー・アプリ事業者にとってどのようなメリットをもたらすのかを詳しく見ていきましょう。
■ユーザー・アプリ事業者にとってのプッシュ通知のメリット
ユーザーのメリット | アプリ事業者のメリット |
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ユーザー目線で見ると、最も大きなメリットといえるのが、プッシュ通知のリアルタイム性です。
例えば、LINEやInstagram、Twitterなどのメッセンジャー、コミュニケーション系のアプリを利用しているときに、メッセージ受信をいちいちアプリを開かなければ確認できないと考えるとどうでしょう。とても面倒に感じるのではないでしょうか。すぐに返信すべきメッセージに気づくのに長い時間がかかってしまうかもしれません。そこで活躍しているのがプッシュ通知です。アプリの起動なしでメッセージ受信の通知をデバイス上に表示することで、リアルタイムのコミュニケーションを実現しているのです。
そのほか、プッシュ通知のリアルタイム性が重要視されるアプリの代表例として、ニュースアプリや天気予報アプリが挙げられます。最新のニュースを常時取得できるようになるだけでなく、台風情報、地震速報の受信など、自分の命を守るためにもプッシュ通知は活用できます。
アプリ事業者からの有益な情報を見逃しづらくなるという点もプッシュ通知の大きなメリットです。例えばEC系のアプリからはプッシュ通知を介して、キャンペーン情報や新商品の入荷情報、ゲーム系アプリからはイベント開始や新機能の追加についてのお知らせが送られてきます。
仮にアプリを起動しなければキャンペーン情報を確認できないとすると、お得な割引やポイントアップ、キャッシュバックなどを逃してしまう可能性が高まります。経済的な意味でもプッシュ通知を受信するメリットがあるのです。
プッシュ通知はアプリ事業者が配信するものだけではありません。ユーザー自身が設定し、プッシュ通知をデバイス上に表示することもできます。カレンダー・スケジュール系のアプリに搭載されているリマインダー機能がその代表例。スケジュールやタスクのリマインダーとしてもプッシュ通知は利用価値があります。
アプリ事業者の視点で考える場合も、プッシュ通知の最大のメリットといえるのがそのリアルタイム性です。キャンペーンや新機能追加のお知らせをリアルタイムにユーザーに届けることによって、コンバージョンやアプリの起動を促すことが可能になります。
■プロモーションコードを配信し購買を促すプッシュ通知の例
⇒ 「【海外ノウハウ】効果的な10のプッシュ通知事例とその理由」を見る
モバイルアプリはダウンロード・インストール後の継続利用によって利益を生み出すビジネスモデルを採用しているのが一般的です。そのため、起動率や継続率がビジネスそのものに大きな意味を持っています。一方でインストール後30日目の継続率は5.7%にしか過ぎないというデータ(Statista社)もあり、ユーザー維持は簡単ではありません。
そこで活用されるのがプッシュ通知です。アプリを起動しないユーザーに対してもメッセージを届けられるため、有益な情報を配信することでアプリ起動を促すことが可能になります。ひいてはアプリをより多く体験してもらうことによって、アプリの魅力を伝え、継続利用を促進させるのです。
■ユーザーのアプリ起動を促進するためのプッシュ通知の例
⇒ 「【海外ノウハウ】プッシュ通知でやって良いこと、いけないこと」を見る
アプリをインストールしているにもかかわらず一定期間、起動せず、利用を辞めてしまったユーザーを休眠ユーザーと呼びます。プッシュ通知はアプリの起動にかかわらずメッセージを届けられるため、休眠ユーザーの復帰にも効果を発揮します。
プッシュ通知にはメリットが多い一方で確実にデメリットも存在しています。ユーザー視点で捉えた場合のプッシュ通知のデメリットは、不要なプッシュ通知が増えると、かえって有益な情報を取得しづらくなるという点です。増えすぎたプッシュ通知は確認・整理をするだけでも手間がかかります。
アプリ事業者視点で考えた場合のプッシュ通知のデメリットは、ユーザーに不快感を与えるプッシュ通知を配信してしまうとアプリ自体のアンインストールに繋がるというリスクがあることです。「ユーザーに関係のない内容を配信する」「同一の内容を繰り返し配信する」などが、ユーザーに不快感を与えるプッシュ通知の代表例。
2022年にReproが実施した最新調査によると、プッシュ通知に不快さを感じたときの対処法として20~30%程度が「そのアプリを削除する」と回答しており、不用意なプッシュ通知の配信はかえってユーザーを減少させる要因にもなるのです。
■プッシュ通知に不快さを感じたときの対処法
※各プッシュ通知の配信状況について「とても不快だと感じる」「やや不快だと感じる」と回答した人が対象。
※出典:「アプリプッシュ通知に関するユーザーインサイト調査」Repro株式会社
それでは、ユーザー・アプリ事業者双方にとってメリットのあるプッシュ通知とはどのようなものなのでしょうか。最後に、プッシュ通知のベストプラクティスを紹介しましょう。少しの工夫でコンバージョン数やMAU、継続率が格段にアップするかもしれません。ぜひ、参考にしてください。
プッシュ通知はモバイルデバイスの小さな画面で表示されます。「メッセージはシンプルに」が鉄則です。中でも注意が必要なのは改行と絵文字の使い方。効果的に改行を利用し、最も届けたいメッセージを訴求してください。絵文字を過剰に使用するのもNGです。目立たせたい言葉の前後にピンポイントで使用することで視認性を上げるように心掛けましょう。
株式会社FOOD & LIFE COMPANIESの「スシローアプリ」では、プッシュ通知の内容の工夫だけで、予約数が15%改善するという成果を得ています。
プッシュ通知配信における基本中の基本といえるのが、ユーザーのプロフィールに合わせたセグメント配信です。株式会社ファンケルでは、同じ内容の一斉配信が主だった状況を、セグメント配信に重シフトチェンジすることで、アクティブユーザーが大幅に増大するという成果を得ました。
プッシュ通知の開封率を上げ、ユーザーにより役立つ情報を届けたいと考えるなら、配信タイミングの検討も重要です。「ユーザーが欲しいと思ったときに必要な情報を届ける」。おもてなしの精神が非常に大切なのです。
株式会社フジテレビジョンが運営するアプリ「FOD」では、動画視聴履歴に合わせてプッシュ通知等を配信することで動画再生率が1.3倍に。ゴルフネットワークプラス株式会社の「ゴルフネットワークプラス」では、アプリ内行動とプッシュ通知、アプリ内メッセージの組み合わせでMAUを大きく伸ばしています。
プッシュ通知の開封率はアプリのジャンルによって大きく異なります。「Push Notifications & Mobile Engagement: 2021 Benchmarks」(Airship社)によると、アプリのジャンルを区切らない場合、iOSで3.4%、Androidで4.6%程度が一般的であるという結果が出ています。ただし、エンターテインメントアプリでは2.3%、金融・保険アプリでは22.1%などといったように大きな開きがあるため、平均値にこだわる必要はありません。
アプリのジャンルによって大きく変動しますが、iOSでは51.2%、Androidでは81.0%程度が一般的であるというデータがあります(「Push Notifications & Mobile Engagement: 2021 Benchmarks」(Airship社))。ただし、このデータはAndroidでプッシュ通知の許諾が不要であった時代のものであり、現在ではAndroidも50%程度に近づいている可能性が高いと考えられます。
Reproが2022年に実施した「アプリプッシュ通知に関するユーザーインサイト調査」では、同一アプリからのプッシュ通知が1日に5件以上になると、不快さを感じるユーザーが過半数を超える結果となっています。また、HelpLama社の調査では「64%の人が、週に5回以上プッシュ通知を受けると、アプリの使用を完全にやめてしまう」という結果も出ています。アプリの機能・ジャンルによって必要とされるプッシュ通知の数に大きな差があるため、このようなデータの差が出ていると考えられますが、不要な配信は控えることをおすすめします。
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